エジプト・ギザにある世界最大のピラミッド(クフ王のピラミッド)を宇宙から降り注ぐ宇宙線で透視したところ、
長さ30メートル以上に及ぶ未知の大空間が見つかったと、名古屋大と高エネルギー加速器研究機構などが参加する国際共同研究チームが発表した。
約4500年前に造られた巨大ピラミッドは内部構造や建築方法などが多くの謎に包まれており、発見は大きな手掛かりになりそうだ。
論文は2日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。


 調査は、宇宙線が地球の大気に衝突して生じる「ミュー粒子」を利用して行われた。
ミュー粒子は透過力が強いが、密度の高い物質に当たると一部が吸収され、空洞など密度が低い部分では吸収されにくい。
検出器で粒子の飛来方向と透過率を計測すれば内部を透視できるため、
東京電力福島第1原発の溶融燃料探索や火山のマグマの分布調査などで使われている。


 名大の森島邦博特任助教らは、特殊なフィルムを使った検出器をピラミッドの「女王の間」に設置。上から降り注ぐミュー粒子を測定した。
 その結果、ピラミッド内部で19世紀に発見された「大回廊」(長さ約47メートル)と呼ばれる通路の上方に、
少なくとも長さ30メートル以上の空間があることが判明。高エネ研やフランスの研究機関が設置した別の検出器でも、空間があることが裏付けられた。
大きさは大回廊と同規模とみられるが、通路なのか複数の部屋が連続しているのかなど、詳しい形状は分からない。
 森島さんは「ピラミッド調査の歴史上、最大規模の空間の発見だ。
もし遺物が残っていれば、当時の状態を留めたものがあるはずで、すごい発見につながる可能性がある」と話している。


【関連ソース画像】
国際研究チームが発見したピラミッド内部の大空間(矢印の白い点の部分)の想像図
https://www.jiji.com/news/kiji_photos/0171102at96_p.jpg
ピラミッド内部の図
https://www.jiji.com/news/kiji_photos/20171102ax12_p.jpg

時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017110201314&;g=soc