アトピー性皮膚炎などによる皮膚乾燥の治療薬として処方されている医療用保湿剤「ヒルドイド」(ヘパリン類似物質)を、
女性が美容目的で使うケースが増えているーー。

大手企業の健康保険組合で作る「健康保険組合連合会」(健保連)が9月に公表した報告書で、
こうした実態を指摘、ヒルドイドを単独で処方する場合は保険の適用から外すことなどを提言した。

一方、日本皮膚科学会は10月31日「保湿剤による治療を必要とする患者に大きな不利益を生じかねない」として、処方の制限に反対すると決めた。
これまで処方を受けてきたアトピー性皮膚炎の患者たちから、保険適用外による自己負担額の増加を不安視する声もSNSなどで上がっている。

健保連は公表した報告書の中で、

・ファッション雑誌や美容雑誌で過去10年程度にわたり「ヒルドイド」が美容アイテムとして紹介されている。

・芸能人、モデル、美容形成外科医らがブログやSNSで「美容アイテム」として紹介している

・美容目的でヒルドイドを処方してもらうことを勧める記事や処方される方法を説明する記事もある

などの実態を踏まえた上で、

「美容に関心の高い女性の間で皮膚科等を受診し、乾燥肌等の訴えでヒルドイドを化粧品代わりに処方してもらうことが流行している可能性が高い」

と指摘した。

さらに、2016年9月までの2年間に保湿剤が1種類以上外来で処方された健保連のレセプトを分析。すると保湿剤のみの処方は、女性に偏っていた。

25〜54歳の男女で比べると、女性への処方増加率が男性の5倍以上にのぼるなど、
「数年前から現在に至るまで、美容目的で『皮膚乾燥症』の病名で処方を受ける患者が増えている可能性がある」とした。

こうしたことなどから、ほかの外皮用薬やアレルギーの治療で使われる「抗ヒスタミン薬」と一緒に処方されていない場合は
「保険適用から除外する」などと提言。この提言内容が実現した場合、年間93億円の薬剤費の削減が見込めるという推計を公表した。

続く)
ハフポスト
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/31/hoshi_a_23261667/