http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20170623100444.html

 2017.06.23

本学総合文化研究科広域科学専攻の舘知宏助教とマサチューセッツ工科大学のエリック・ドメイン教授は、一枚の紙を折るだけで、任意の多面体形状を得るアルゴリズムを開発しました。

一枚の紙を折って様々な形状に加工する「折紙」は、機能を持った立体構造やマイクロスケールの形状の作成方法として着目されています。舘が2007年に公開したソフトウェア「オリガマイザ」は、複雑な多面体形状を隙間なく一枚の紙から折るための展開図を生成できるシステムですが、形状によっては生成に失敗することもあり、実現可能な形状の理論的限界は分かっていませんでした。一方、折紙が任意の多面体形状を実現できることはドメインらによって1999年に証明されていましたが、この手法では折った形状に無数の隙間が生じ、「水密性」が保持されず、実用性に課題がありました。

本学の舘助教とマサチューセッツ工科大学のドメイン教授は、「ありとあらゆる多面体」について「水密に」折り出すことができるアルゴリズムを提案しました。この成果は、立体形状実現の方法としての折紙にほぼ限界がないことを示したものです。平面材料に折り線パターンを施し、その折り線パターンに沿った折り変形を発生させる「自己折り」手法への応用によって、ありとあらゆる三次元形状が平面から自動的に折り出せる革新的技術への展望があります。

この成果は33rd International Symposium on Computational Geometry (SoCG 2017) (ブリスベン, オーストラリア, 2017/07/04〜2017/07/07)で発表されます。

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アルゴリズムの全体像

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「隙間のある」折り状態 右:「水密な」折り状態