6/3(土) 10:00配信 The Telegraph
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170603-00010000-clc_teleg-eurp
 大気汚染物質の濃度が規制値以下でも心臓に有害であることが判明し、研究チームは歩行者に歩道の端を歩くよう警告している。

 英ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)の研究チームは、
ディーゼル自動車から排出される最小の微粒子でさえも、心臓発作や心不全、さらには死亡のリスクを引き上げると結論付けた。

 直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質(PM2.5)は、炎症、血管の狭窄(きょうさく)、
高血圧と関係があるとされており、英国の都市ではその濃度が1立方メートル当たり
25マイクログラム以下となるよう法令で定められており、この基準を超える場合には罰金が科される。

 しかし同研究チームは、低濃度のPM2.5でも心臓に損傷を与える恐れがあることを発見し、
予防策として混雑した道路を避けるよう人々に呼び掛けている。

 ロンドン大学ウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)の心臓専門医で
臨床研究フェローのナイ・アウン(Nay Aung)医師は「吸い込む有害物質の量を減らすために、
自動車から最も離れた歩道の端を歩き」、「汚染レベルの高い時間帯と場所を避けるべきです」と語った。

 また「自転車通勤をしたいが通勤時間の交通量が多い場合、交通量のより少ないルートを探す」ことや
「心呼吸器疾患の人は、ラッシュアワーのような有害物質の濃度が高い時間帯に屋外で過ごす時間を制限する」ことを呼び掛けた。

 研究チームは英国人4000人以上の心臓をスキャン検査し、彼らの住所と有害物質濃度のデータを比較した。
すると高コレステロール、肥満、喫煙など他の要因を考慮しても、有害物質濃度のより高い地域に住む人々の
心臓が最も肥大が進み、健康状態も最悪だった。

 PM2.5に対する英国の平均的な暴露濃度は、欧州の目標値とされている1立方メートル当たり
25マイクログラムを下回る約10マイクログラムだが、本研究ではそれでもなお有害と判明した。

 アウン医師は、チェコの首都プラハ(Prague)で開催された心臓MR学会「EuroCMR 2017」の発表で
「このことは現在の目標値が安全ではなく、さらに引き下げる必要があることを示唆しています」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News