光子一つを観測できる光子顕微鏡を開発 産総研


光を構成する最小単位の光子一つを観測することができる光子顕微鏡を開発した、と産業技術総合研究所(産総研)がこのほど発表した。
これまでの光学顕微鏡では不可能だった極めて弱い光も検出してカラー画像を撮影することに世界で初めて成功したという。
研究成果は英科学誌に掲載された。

産総研・物理計測標準研究部門量子光計測研究グループの福田大治(ふくだ だいじ)グループ長らの研究グループは、
これまでに超伝導現象を利用して光子を一つづつ検出して光子の波長も識別できる光センサーを開発している。
研究グループはこの光センサーを顕微鏡の光検出器に活用して光子顕微鏡の開発を実現した。
光子は色と密接な関係がある波長を持っており、波長と光子のエネルギーには相関性がある。
このため光子のエネルギーを測定すれば波長も分かって色を識別できるという原理を応用したという。

微小な試料を観察する目的で電子顕微鏡が広く使われているが、電子顕微鏡による観察画像は白黒だった。
またこれまでの光学顕微鏡は光子が数個程度のきわめて弱い光を捉えることはできず、試料のカラー画像を撮影することは不可能だった。

研究グループによれば、今回開発した光学顕微鏡を活用すれば、生体細胞が放つ微弱な発光を観察することや、
微量な化学物質を蛍光分析することなどが可能になる。このため、医療・バイオ分野や半導体分野の研究開発・製品開発で利用が期待できるという。
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/04/20170410_01.html