どうにもならない自分を信じるということは、あらゆる点で、人間として僭越なことだ。


傷つきやすい人間ほど、複雑な鎧帷子を身につけるものだ。
そして往々この鎧帷子が、自分の肌を傷つけてしまう。


若さはいろんなあやまちを犯すものだが、
そうして犯すあやまちは人生に対する礼儀のようなものだ。


愛することにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠に素人である。


初恋に勝って人生に失敗するというのは良くある例で、
初恋は破れるほうがいいと言う説もある。


若さが幸福を求めるなどというのは、衰退である。


本当の美とは人を黙らせるものであります。


文学でも、強い文体は弱い文体よりも美しい。


軽蔑とは、女の男に対する永遠の批判である。


現実というものは、袋小路かと思うと、また妙な具合にひらけてくる。

三島由紀夫