女性はともすると、自分の力でもないものを楯にして、相手を軽蔑する。


人間の想像力の展開には永い時間を要するもので、
咄嗟の場合には、人は想像力の貧しさに苦しむ。


天才はどんなに若く死んでも薄命であってはならない。


精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。


ほしいものが手に入らないという最大の理由は、
それを手に入れたいと望んだからだ。


愛というものは共有物の性質をもっていて
所有の限界があいまいなばかりに多くの不幸を巻き起す。


われわれは自分の弱さをいやがる気持ちから人の長所をみとめる。


女性はそもそも、いろんな点でお月さまに似てをり、お月さまの影響を受けてゐるが、
男に比して、すぐ肥つたりすぐやせたりしやすいところもお月さまそつくりである。


男の嫉妬の本当のギリギリのところは、
体面を傷つけられた怒りだと断言してもよろしい。


美しい女と二人きりで歩いてゐる男は頼もしげにみえるのだが、
女二人にはさまれて歩いてゐる男は道化じみる。

三島由紀夫