・日本の「コロナ対策」が世界でまったく評価されない理由─韓国やドイツより被害は少ないが…:Courrier Japon

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に広がるなか、感染の爆発を抑えて落ち着きを取り戻しつつある国もでてきた。

韓国は一時、新興宗教内でのクラスター発生による感染爆発に苦しんだが、それをみごとに抑えこみ、アメリカ、カナダ、スペインなどが文在寅大統領に感染症対策のアドバイスを求めているという。

全土で1万以上の集中治療病床が確保されているドイツも小康状態を見せており、医療崩壊を起こしたイタリアやフランスから患者を受け入れながら、経済活動再開へと踏み出している。

だが実は、こうした模範国とされる国と比較しても日本の死亡者数は対人口比で少ない。
米ジョンズ・ホプキンス大学が公表する4月22日時点の統計によれば、日本の死者は人口1億2600万人に対して281人だが、韓国は5100万人に対して238人、ドイツも8300万人に対して5100人にのぼる。

3月末には「ニューヨークの二の舞になるか」と日本の状況を誰もが危惧したが、医療現場はひっ迫しているものの何とか持ちこたえている。欧米諸国が相次いで感染爆発を起こしたなか、日本の状況は善戦していると言ってもよいだろう。

にもかかわらず、日本のコロナ対策は各国政府や感染症専門家、SNSでまったく評価されておらず、それどころか無視されている。いったいなぜなのか。

「福島」を彷彿

この疑問に対し、香港メディア「アジア・タイムズ」が二つの興味深い理由をあげている。

第一に日本は初動がまずかった。2月に起きたクルーズ船ダイアモンド・プリンセス号でのクラスター発生は、世界中の人々に強烈な悪印象を残した。
日本政府はなかなか有効な対策を打ち出せず、船内の感染者数はみるみる増えていった。さらに下船した乗客を公共交通機関で帰宅させ、市井にまで感染が広がるという致命的なミスもおかした。

世界は、この一件を見て2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を思い出したと「アジア・タイムズ」は指摘する。ずさんな対応を重ねる政府と、それをただ静観する国民。特に、周辺国が日本の状況を見てパニックに陥っているにもかかわらず、大きな声をあげない国民に対して世界は違和感を覚えたという。

こうした過去の失策の印象が強すぎるうえ、新型コロナの脅威は長期化すると見られていることから、日本の感染症対策はまだ評価の段階にはないと見られている。


「日本は大食いなのに、痩せてる女の子みたい」

第二にあげられるのが、日本の感染症対策の“不可解さ”だ。

韓国やドイツは、検査の規模を拡大し、効率的に治療や隔離を進めた。こうした対策は感染症専門家の推奨とも一致しており、成功の要因は明確だ。

一方、日本は検査の拡大に対していまだに消極的で、欧米と違って厳しい都市封鎖も外出禁止令も課していない。企業のリモートワークは遅々として進んでいないし、スーパーマーケットや商店街は買い物客であふれ、休業補償の不確かさからまだ営業を続ける飲食店もある。

欧米ともアジアの成功国とも違う独自の道を歩む日本で、なぜ感染爆発が抑えられているのか──理由を説明できない不明瞭さが、日本を評価することを躊躇させるのだという。

アメリカの退役軍人でアジア情勢に詳しいアル・ジョンソン氏は、世界が日本を見る目を「アジア・タイムズ」で次のようにたとえている。

「日本はジャンクフードばかり食べてまったく運動しないのに、痩せてる女の子みたいなんです。そういう子は、嫌われるか、無視されるかのどちらかです」

Courrier Japon

4/23(木) 19:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200423-00000004-courrier-int