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2019/06/29(土) 14:15:45.21ID:CAP_USER第16回チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で、東京音楽大3年の藤田真央さんが2位に輝いた。4年に1度開かれる同コンクールは世界で最も権威のあるコンクールの一つであると同時に、市民が楽しみにしている大イベントでもある。スプートニクは、4年前と今回、連続でコンクールを鑑賞したモスクワ在住の日本人、大野真理さんに感想を聞いた。大野さんは「ずっと座って聴き続けるので体力的には大変でしたが、とても楽しく貴重な経験ができました」と話している。
関係者の間では、ピアノ部門に出場した25人のうち、上位3人は甲乙つけがたいと話題になっていた。1位になったのはフランスのアレクサンドル・カントロフさん。一次と二次では日本のメーカー、カワイのピアノで審査に臨んだ。また、ロシアのドミトリー・シーシキンさんが、藤田さんと同率で2位となった。ファイナルでカントロフさんが選んだチャイコフスキーの協奏曲は、第二番。他の参加者が人気のある第一番を選ぶ中、マイナーな二番を選び、勝負に出た。カントロフさんの演奏を会場で聴いた大野さんは「とても長い曲でしたが、壮大で、全く飽きさせませんでした。彼は、コンチェルトの良さで勝ったのではないでしょうか」と話す。
コンクールでは、会場が文字通り一つになる、魔法のような瞬間が訪れる。
大野さん「もちろん、皆さんすごく上手なのですが、聴いていくうちに、必ず、すごく感動する演奏というのがあるんです。なぜだかわかりませんが『この人はすごい』と感じるときがあって、審査結果を見ると、やはりその人が勝ち残っていくんです。不思議にも、それは皆さん同じみたいで、そういう人が演奏した後は、隣のロシア人と思わず顔を見合わせて、すごいねと話したりしますし、明らかに拍手も違います。普通のコンサートと違って同じような曲をずっと聴き続けるので、それぞれの個性がはっきりわかるのも、コンクールの醍醐味だと思います。」
コンクールで垣間見えるロシアのお国柄
このコンクールへ行くと、色々な意味でロシアらしさが味わえる。まず、チケットの発売日が未公表なので、買いたければ毎日公式サイトをのぞくしかない。大野さんは前回の経験を生かし、会場となるモスクワ音楽院の窓口で聞いてみたり、サイトをまめにチェックするなどして、ピアノ部門を中心に8枚のチケットを手に入れることができた。
理由は不明だが、最初の数日間、会場にはプログラムがなかった。ようやく入荷し発売開始されると、部数が足りずに売り切れとなった。
大野さん「今年は、プログラムができていなくても、演奏順を印刷した紙がもらえたので、ましなほうでした。前回は、それさえも無かったんです。前回、念のために自宅でホームページをプリントアウトしたものを持って行ったら、周りの人が『見せて』『私にも見せて』と、紙がどんどん遠くの席へ行ってしまったので、取り返しに行きました(笑)。でも、そうやって他のお客さんとコミュニケーションできたのは良い思い出です。」
今年は、よりによってファイナルで運営側のミスによるショックな出来事があった。中国のピアニスト安天旭さんの審査の際、オーケストラが本来あるべき曲順と逆の順番で演奏を始めてしまったのだ。安さんは当惑したが、すぐに気持ちを切り替え、最後まで演奏した。運営側はミスを認めて謝罪し、審査団は公式にやり直しを提案したが、安さんはその申し入れを断った。安さんは結果的に4位となったが、その勇敢な姿勢に対し、特別賞が贈呈された。
素晴らしい音楽は皆のもの
最もロシアらしいのは、チケットの異常な安さだ。予選であれば最もお手ごろな席は100ルーブル(約170円)。一番高い席でも400ルーブルだ。モスクワ音楽院の大ホールは、舞台から遠くてもよく聞こえるため、安い席でも鑑賞に問題はない。大野さんは「こんなに安い値段で素晴らしい音楽が楽しめるのは、ロシアならでは」と話す。
ちなみにプログラムは300ルーブルなので、チケットよりプログラムの方が高いという不思議な現象が起きている。学生は学生証を見せると無料で入れる。会場には年金生活者の姿も多く見られ、芸術は限られた人のためにあるのではなく、皆のものであることを実感できる。
藤田真央さん、大歓声を浴びる
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2019年06月29日 13:10 スプートニク日本
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