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【フランス・オピニオン】マクロンの改革に国民が激怒するフランスの特殊事情【舛添 要一】[12/05]
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2018/12/06(木) 18:22:17.13ID:CAP_USER
・ぬるま湯に慣れ切った国民性は「痛みを伴う」改革を許容できない

フランスのマクロン大統領が最大の危機に瀕している。

 フランス全土に反政府デモの嵐が吹き荒れ、暴徒と化したデモ隊は、破壊活動、放火、略奪を繰り返し、治安部隊と激突している。花の都パリでは、シャンゼリゼ通りにまで瓦礫の山ができ、観光業や外食産業は大きな打撃を受けている。

「マクロン辞任しろ」の声

 G20から帰国したばかりのマクロン大統領はさっそく現場を視察したのだが、「マクロン辞任!」という罵声で迎えられる結果となった。今回のデモは、来年1月に予定されている軽油とガソリンの燃料税の引き上げに対する不満がデモにつながったが、根底にはマクロンが進める「構造改革」に対する不満があり、それが臨界点に達した結果と言うことができよう。

マクロンは、フランスのエリート中のエリートである。パリの政治学院(Sciences-Po)→国立行政学院(ENA)→財務監察官というコースを辿って、ロスチャイルドグループの投資銀行入りした。私もパリ時代に、両校のゼミの講師を勤めたことがあるが、日本で言えば、名門受験校→東大法学部→キャリア公務員試験合格、財務省→一流銀行という経歴である。そこでM&Aなどで辣腕を発揮して、当時のオランド大統領に抜擢されて経済相に任命された。

 そのときに、ルノーと日産の統合を図ろうとしたが、ゴーン会長に拒まれた。しかし、2017年5月の大統領選挙で当選し、国家の頂点に立つと、ゴーンと力関係が逆転した。それが今回のゴーン逮捕劇、つまり日産によるゴーン追放クーデターの伏線になったことは、11月21日の本欄(「知られざる圧力、ゴーンは常にフランスを向いていた」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54734)で説明した通りだ。

 マクロンは、金融界出身だけにフランス産業の活性化、国際競争力の強化を優先課題としている。その点では、安倍首相が進めようとしている改革と方向性は同じである。

 具体的には、まず、日本の「働き方改革」と同様な、解雇しやすくする労働法改正である。フランスは労働組合が強く、極めて社会主義的な国であり、企業がいったん雇った労働者の首を切るのは容易ではない。そこで人員整理ができず、人件費負担が重くなって、フランス企業の国際競争力が低下する。「痛みを伴う」マクロン改革を進めれば、当然のことながら、ぬるま湯に浸かった労働者の反感を買う。

 さらには、法人税を現行の33.3%から段階的に25%まで下げようとしている。仏企業が国際競争に負けないためである。また、start-up、つまりベンチャーなどの起業を支援する諸政策を遂行している。

 以上のような規制緩和政策は、小泉内閣が声高に叫んだ構造改革と同様な政策だが、たとえば解雇が容易になれば労働市場は流動化するが、既得権益を死守しようとする労働者は反発する。いったん与えた権益を剥奪するのは、政治的に大きなリスクを伴う。

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2018.12.5(水)JBpress 舛添 要一 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54868
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2018/12/06(木) 18:22:40.48ID:CAP_USER
「公務員天国」

 フランスは「公務員天国」だ。日本人は「欧米」とひとまとめに考える癖があるが、アメリカとフランスは全く違う。フランスは、前述したように、社会主義的であり、極論すればアメリカよりも中国に近いのだ。

 私は、フランスの国会で仕事をしていたこともあって、国会議員のみならず、国会職員にも友人がいる。彼らの仕事ぶり、生活ぶりを見ていると、「フランスでのんびりと楽しく暮らすには、公務員になるにかぎる」といつも思っていた。

 給料は保障されているし、長いバカンスもある。さらには、様々な保障や特典もある。仕事も融通がきき、人員過剰なので1人、2人私用で欠けても問題は起こらない。私も、よく国会を仲間と抜け出して、近くのカフェーにお茶を飲みに行ったものである。

 また、国会の職員パスを見せれば、商品を割引して売ってくれる店も沢山ある。まさに公務員天国だ。しかも、そのような状態に対して民間から批判が出るわけではない。官尊民卑の国なので、下手にお上を批判するとどのような災いが起こるか分からないからだ。

 さすがに、少しずつだが役人批判は強まっているのだが、「官尊民卑」と言われる日本と比べても、まだまだフランスは役人天国である。

 こうした状況をマクロンは改革しようとした。そこで意気込んで、公務員12万人の削減を打ち出したのである。最大の目的は財政赤字の削減だ。同じ目的で、国民に対しては社会保障費の抑制により、国民負担を増やそうとしてきた。

 日本だったら、増税、たとえば消費税増税は激しい抵抗を呼ぶが、社会保障費の負担増はあまり注目されない。それは、社会保険料が給料から天引きされるからであり、マスコミが保険料率の上昇を大々的に報じないかぎり(ほとんど報じないのが実態である)、国民は気づかない。しかも、医療期間の窓口で3割の自己負担分を支払えば済むので、尚更のことである。
燃料価格に敏感にならざるを得ない生活環境

 しかし、フランスでは医療費はまず全額自分で払う。そして、後日領収書を添えて社会保険庁に書類を出し、還付請求をする。この面倒なプロセスのおかげで、フランス国民は自分たちの社会保障負担がいかに大きいかを実感するのである。そのため、社会保険料の負担増は大きな社会問題となりやすい。

 さらにフランスは国土が広く、公共交通機関が日本ほど発達していない。とくに地方ではそうである。まさに車がなければ生活ができないのである。私もフランスの地方都市、グルノーブルで2年間生活したことがあるが、車のない生活は考えられなかった。

 そういう生活環境なので、ガソリンの値段が1円でも上がると大変である。町内で隣人達と顔を合わせると、「中東危機のせいで、ハイオクで1リットル、○フラン△サンチームだよ。参ったな」というような会話をいつもしていたことを記憶する。つまり、ガソリンの話題が茶飲み話となるくらいに、ガソリン価格は生活に切実な問題なのである。

 地球温暖化対策を決めたパリ協定の推進役がフランスである。環境問題に取組には財源が要る。それを捻出するための燃料税の値上げだ。だが庶民的な感覚では、「大企業優遇する法人税の値下げをしながら、庶民泣かせの燃料税の引き上げとは何事か」という不満となるのである。

 結局、フランス政府は、反政府デモに対応して、来年1月からの燃料税の引き上げを延期することを決めた。これで自体が沈静化するかどうか、現時点では不透明だが、地球温暖化防止を優先課題とするマクロン政権にとっては大きな失敗になったのは間違いない。

 今後マクロン大統領が、今回の異常事態にどう対応するかについて、世界は大いに注目している。なにしろ彼は、ドイツのメルケル首相と並んで、ポピュリズムに対抗する欧州の大黒柱なのだから。(2018/12/05 9:20)

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