2018年8月30日 22:11 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34807930Q8A830C1910M00

【モスクワ=小川知世】ロシア国防省は30日、9月1日から8日に地中海で大規模な軍事演習をすると明らかにした。ミサイル巡洋艦など軍用船舶25隻以上、戦闘機約30機が参加する。ロシアが支援するシリアのアサド政権が反体制派の最終拠点である北西部イドリブ県への圧力を強めており、米国による介入をけん制する狙いとみられる。

インタファクス通信が伝えた。演習は海軍や空軍を中心にバルト海や黒海に展開する艦隊などが参加を予定。戦略爆撃機や対潜哨戒機も投入する。同省は空海域での破壊工作や魚雷攻撃への防衛などを想定した複合演習になると説明した。

シリアでは近くアサド政権による反体制派への総攻撃があるとの観測がある。米国は同政権が再び化学兵器を使うことを警戒。ロシアが艦隊を地中海に派遣していると報じられ、総攻撃と連動した動きとの見方が出ている。ロシアは戦力を地中海に集めることで、アサド政権に自制を求める米国がシリアを攻撃するのを抑止したい考えだ。

ロシアのラブロフ外相は30日にシリアのムアレム外相とモスクワで会談した。反体制派の根絶に向けた連携を確認した。ムアレム氏は「化学兵器を保有していないし、使う必要性もない」と述べ、米国を念頭に化学兵器使用への懸念を打ち消してみせた。