訪日客の増加を受け、カプセルホテルなどの「簡易宿所」が急増している。東京23区と全国20の政令指定都市の施設数を朝日新聞が調べたところ、3月末時点で4342カ所と、5年前の3倍近くに増えた。これまでホテルや旅館よりも規制がゆるく、6月に解禁された「民泊」と違って通年営業も可能なためだ。

 簡易宿所はほかに、ベッドがずらりと並ぶ相部屋タイプや、ユースホステル、ペンション、山小屋などがある。旅館業法は「宿泊する場所を多数人で共用する」タイプの宿泊施設と定め、営む場合は自治体の営業許可が必要だ。

 施設数は2013年3月末時点では1489件だった。京都市の増加率が最も高く、5年前の6・4倍に増えている。京都市内の件数は2291カ所と全体の半分を占める。ほかに福岡市(4・8倍)、大阪市(4・6倍)など、訪日客の人気エリアを抱える都市で特に伸びた。東京23区は1・7倍。観光名所の浅草がある台東区や墨田区での増加が目立った。

 こうした急増は、「ホテルや旅館より、簡易宿所の方が営業許可をとりやすかった」(厚生労働省生活衛生課)のが一因だ。スプリンクラーの設置といった防災の基準は基本的に一緒だが、今年6月に緩和されるまで、ホテルと旅館は客室数がそれぞれ10室、5室以上と定められ、部屋面積やトイレのタイプなど、簡易宿所と比べて規定が厳しかった。

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朝日新聞デジタル
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