米政府が、餌でクマをおびき寄せて殺すなどの狩猟方法をアラスカ州で禁じる、
オバマ前政権時代の規制を撤回する案を発表した。米国立公園局(NPS)が21日に変更案を明らかにした。

変更案が成立すれば、猟師はアラスカ州内の国有地で、巣の中にいる子グマを撃つのに投光器を使ったり、
猟犬を使ってクロクマを狩ったりすることが認められる。NPSは提案へのパブリックコメントを7月23日まで受け付けている。

複数の環境団体はこの提案を「非人道的」としている。

規制が変更されれば、アラスカ州の野生動物管理者に、お菓子などでクマをおびき寄せる、
オオカミやその幼獣を巣内で捕獲する、
泳いでいるカリブー(トナカイの一種)を撃つのにモーターボートを使うといった狩猟法が認められるようになる。

こうした狩猟法は、オバマ前政権下でNPSが法的に禁止した。ただし、州内の一部地域では一部の手法の継続が認められた。

当時のNPSは、対象地域における捕食者と被食者間の自然な力学を人為的に変更してしまうことを防ぎ、
公共の安全を守るための規制だと説明していた。

アラスカ州の当局者は、クマやオオカミなど捕食動物を狩るのは、
ヘラジカやカリブーなど被食動物のスポーツハンティングを可能にするため、必要な措置だと語っている。

ライアン・ジンキ内務長官が署名したこの提案は、
「アラスカ州法で定められた、アラスカ州内の国有自然保護地域におけるスポーツハンティングに関する規制に沿う」ために、
捕食動物の狩猟に対する規則を取り除こうとしている。

提案書でアラスカ州は、狩猟法に関する規則変更の影響は「無視できる程度の可能性が高い」と主張している。

提案書は「狩猟規則の改正は、
公衆が求めるオオカミ、コヨーテ、クマや他の種の動物を狩る可能性を提供することを意図していると、
アラスカ州は強く主張する」とした。

アラスカ職業猟師協会は、前政権による規制の撤回を支持している。

同協会のソー・ステイシー政府関連業務担当ディレクターによると、
「2015年の法案は連邦政府が越権し、州当局による同州の野生動物管理を侵害しようとした事例だった」という。

提案書によるとNPSは、野生動物への影響を測る環境評価を準備する予定だというが、
自然保護活動家や環境団体は提案を批判している。

米国立公園自然保護協会は狩猟規制の撤回は「恥ずべき非倫理的なこと」だとして提案を問題視した。

同協会アラスカ担当ディレクターのジム・アダムズ氏は米紙ワシントン・ポストに対し、
「スポーツハンティング、要するにそれがこの件の全てだ。アラスカ州は捕食動物の数を減らすため、
可能な限り多くの方法で猟師を後押ししようとしている」と述べた。

アラスカ州には5400万エーカー(2200万ヘクタール)以上の国立公園が広がる。
NPSによると、これは米国全体の国立公園システム(NPS管理地域の総称)の65%を占める。

(英語記事 US to lift ban on baiting bears with doughnuts in Alaska)
http://www.bbc.com/news/world-us-canada-44215657

関連ソース画像
https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/12F64/production/_101686677_gettyimages-501760892.jpg

BBC
http://www.bbc.com/japanese/44220283