混乱する経済下で悪化するベネズエラの医療事情について、同国の感染症の権威、
フリオ・カストロ医師(54)が産経新聞のインタビューに応じ、
「過去40年間ほぼ根絶されていたマラリアなどが大流行している。
政府はワクチンを持っているはずなのに国民に接種していない」と指摘し、
「問題は国民の食料、健康事情を無視する政治システムにある」と政府の医療政策を批判した。
主な一問一答は次の通り。
     


 −−ベネズエラの医療事情は

 「ベネズエラは、世界保健機関(WHO)が設定した妊婦死亡率や乳幼児死亡率などの指標目標にすべて逆行している。
マラリア、ジフテリアなどが大流行しており、昨年のマラリアの患者数は40万人、今年は100万人だ」

 −−医薬品の不足に国民が苦しんでいる

 「医薬品不足は最近5年間で厳しさを増した。すべての医薬品は米国や欧州連合(EU)から輸入されており、
ベネズエラで生産されているものはない」

 −−医師らが国外へ脱出している

 「過去10年間に大学を卒業した医師の65%が国外へ脱出した。
移植のための施設も閉鎖され、簡単な臓器移植もできなくなっている。
かつて実施していた肝臓、腎臓移植も、ここ2年はやっていない。首都カラカスの大学病院でさえ水道が出ないこともある。
政府は2年間、医療統計を公表しておらず、情報がなければ感染症などの対策はやりようがない」

産経ニュース
https://www.sankei.com/world/news/180520/wor1805200029-n1.html