0001しじみ ★
2018/04/09(月) 16:58:02.40ID:CAP_USERけん引するのは、映像ストリーミング(ビデオ・オンデマンド)勢力だ。
ここ数年、カンヌ映画祭やアカデミー賞の審査を悩ませているのが、
劇場映画の最高峰といえる賞にエントリーしてくるネットフリックス、アマゾンなどのオリジナル作品群だ。
今年3月のアカデミー賞では、ネットフリックス制作のドキュメンタリー「イカロス」が賞を受賞。
昨年のカンヌ映画祭では、同じくネットフリックスの2つの作品がエントリーした。
今年からは長期の劇場公開を義務づける制限が課されるなど、ストリーミング勢力の浸透に対する審査側の抵抗感をにじませる。
映画のほか、すでにアメリカの良質なテレビ番組を決めるエミー賞では、
ネットフリックス、Hulu、アマゾンなどが制作した作品が目白押しの状態だ。
映像ストリーミングのなかではもちろん、ネットフリックスが台風の目だ。
世界約200カ国に1億2000万人近い契約者を有している。
1作当たり、ハリウッド大作並みの1億ドルを超える制作費をかけるケースもあるというのだから、
放送局や映画産業は気が気ではない。
ネットフリックスだけで、今年、作品の制作と調達に70億ドルかけるとしているが、
その多くがこの放送局や映画産業からのライセンスに充てられる。放送局や映画産業にとり、
ストリーミング勢力が脅威でもある一方、まとまった収入源として顧客でもあるわけだ。
前稿「音楽ストリーミング『スポティファイ』に刺客次々」では、
音楽分野でナンバーワンのスポティファイを取り巻くライバルの動きを扱った。
映像ストリーミングのネットフリックスではどうだろうか。
実は、こちらも来年にかけて大きな構図の変化がありそうだ。
ひとつは、スポティファイと同様、グーグル(ユーチューブ)やアマゾンなど、IT勢力が王者の座を奪うべく動いている。
特にアマゾンは、ストリーミングを視聴できる「プライム」会員を、米国内だけでも約9000万人(昨秋)を抱える。
規模ならネットフリックス契約者を上回る。
もうひとつ、そしてネットフリックスにとり本当の脅威は、既成放送勢力だろう。
上記したように、作品のライセンスだけでいえば、既成勢力にとりストリミーング勢力は、顧客だが、
その新興勢力が良質なオリジナル作品づくりに乗り出すなら、話は別だ。
昨年12月に象徴的な事件が起きた。
「メディア王」ルパート・マードック氏率いる21世紀フォックスが、
映画・テレビ事業を約500億ドルでウォルト・ディズニーへ売却すると決めたのだ。
同氏は、この売買劇が、ネットフリックス対抗策であることを公言してはばからない。
「ディズニーとフォックスが一切をネットフリックスに売らなくなったら、どんな効果が生じるか興味深いだろう」と語る。
事実、ディズニーは自らのストリーミング事業を今年中にも開始すると同時に、
ネットフリックスらへのライセンスを停止すると宣言した。あからさまな「ネットフリックス包囲網」のスタートである。
従来のケーブルTVだけでは契約者を維持できない状況に陥っている作品供給側は、
自らストリーミングに進出するタイミングを見計らったともいえる。
スポティファイ同様に破竹の勢いでユーザーを伸ばしてきたストリーミングの覇者が、正念場を迎える。
画像:「メディア王」マードック氏
https://www.nikkei.com/content/pic/20180405/96958A99889DE0EAEAE0E3E3E1E2E1E2E2E1E0E2E3EA9AE7E493E2E2-DSXKZO2882114030032018H56A00-PN1-3.jpg
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO28821130Q8A330C1H56A00/