国防長官は大統領が戒厳令の全土への布告を検討していると認めるも、可能性はわずかだと述べた

ロレンサナ国防長官は15日、戒厳令の全土への拡大について、共産勢力による脅威が高まった場合にも実施することをドゥテルテ大統領が検討していることをあらためて認めた。大統領は9日、フィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)のメンバーらがルソン地方などの都市部で騒乱などを起こした場合、現在ミンダナオ地方に限定している戒厳令を全国に拡大すると警告していた。
 ロレンサナ長官は記者会見で戒厳令拡大の可能性について問われ「大統領は強い関心を持っている」と述べたが、布告拡大の可能性は「わずかだ」としている。
 大統領はこれまでイスラム過激派の勢力拡大によっては戒厳令布告を全国に拡大するとしていたが、最近は共産勢力の動きも布告拡大の理由に加えている。
 これに対し、共産党からは「布告拡大を正当化するためのキャンペーンを行なっている」と批判の声が挙がっている。
 大統領は14日の国営テレビ局PTVのインタビューで、ドゥテルテ政権の政策全般に対する大規模な抗議行動が予想される21日について、安全確保のため首都圏の政府機関の休業と休校を実施する考えを示している。
 サギサグ元上院議員や比大学ディリマン校のタン学長などにより8月28日に設立された「反専制政治運動」(MAT)は、マルコス元大統領が戒厳令を布告する大統領令に署名した21日に首都圏マニラ市のリサール公園で大規模な抗議活動を行うとして、市民に参加を呼び掛けている。(森永亨)

まにら新聞
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