神様にぼくとおかあさん以外全員消してって頼んだら
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「たとえば」と言って、先生は黙った。煙がしきりに出る。
「たとえば、ここに一人の男がいる。父は早く死んで、母一人を頼りに育ったとする。その母がまた病気にかかって、
いよいよ息を引き取るという、まぎわに、自分が死んだら誰某だれそれがしの世話になれという。
子供が会ったこともない、知りもしない人を指名する。理由わけを聞くと、母がなんとも答えない。
しいて聞くとじつは誰某がお前の本当のおとっさんだとかすかな声で言った。
――まあ話だが、そういう母を持った子がいるとする。すると、その子が結婚に信仰を置かなくなるのはむろんだろう」
「そんな人はめったにないでしょう」
「めったには無いだろうが、いることはいる」
「しかし先生のは、そんなのじゃないでしょう」
先生はハハハハと笑った。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています