ねぇねぇ、その銃、触らしてよ
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ねぇねぇ、その銃、触らしてよ
-------ヴァーン-------
そう聞いた女の子はあっという間に頭を吹き飛ばされてしまった
そう、ここは銃を持って戦う女の子、通称ガン・ガールズと一般人の女の子がともに通う学校、女子銃器訓練及び
それに伴う社会的摩擦を軽減するために一般人の女生徒を共に通わせることを想定された県立高校
これ、正式名称ね
「アッタマクるんだよねあ・あ・い・う・の」
ドゴ！
頭を吹き飛ばされた女生徒は腹を蹴られ、A棟校舎2Fの窓を直撃した
凄まじい轟音であった
「なんで一般人と一緒の学校に通わなきゃいけないんだっつーの」 >>467
これmobb deepの方が良いよな？
なろうで差し替える 第百四十六話 高校
あいつと同じ高校に入った
この頃になるとあいつは手下を大勢引き連れていた
てことはこれ全員我の下僕か
よし、よくやった
褒美を使わす
お前は我が政党のナンバー2にしてやろう。一生仕えろ。我が年を取ったらケツも拭け。分かったか？
「エーベルハルト様。用意が整いました」
「うむ、政治の世界に乗り出すか」
ドープサグライフを送る我だがこれからは人前では控えんとな
この後、自由戦争主義大日本帝国党を立ち上げ、日本を永遠に変えることになる
後まで続く軍拡路線の始まりである https://i.imgur.com/qQWszvg.png
FUCK LABELです
プレジデントエミネムさんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/qy0LiGL.png
エルソナロちゃんです
他中 彼方さんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/kv7FQMw.jpg
エルソナロちゃんです
りおたーどさんの作品でした
ありがとうございました 実は差分みたいのがいくつかあるのですがこれを使います 第百四十七話 チーズバーガー外交
米軍が運転するジープから次から次へと道端にチーズバーガーが無造作に落とされてゆく
それに群がる子供たち
そう、これはチーズバーガー外交
アメリカの権威復活のために、アメリカの文化を知ってもらおうとしてこの作戦が立てられた
「ほ～ら皆の大好きなチーズバーガーだよ～」
「コーラもあるよ～」
「わ～いチーズバーガーだ」
「わ～いコーラだ」
アメリカ復活計画は大々的に行われていた 第百四十八話 大天使降臨
自由戦争主義大日本帝国党は次から次へと変わっていく大統領に苛立っていた
早くエーベルハルトに逢いたい
その気持ちが彼女たちを突き動かした
――戦争へと
まず軍拡をした
確実にこちらの被害は死者0名で済ませられるほどの超絶パワーバランスを成し遂げた
この時点で完全なる世界征服を成し遂げているし、半永久的な世界平和なのだが、そうはしなかった
自由戦争主義大日本帝国党は売国をした
こちらの最新鋭の兵器を裏で流しまくって、こっからではどうやっても戦況をひっくり返せないだろうというところまで売りまくった
さて、ここからが本番である
日本は全世界に向かって宣戦布告をしたのだ
一斉に稼働する全世界の兵器たち
戦況は開戦直後からかなりまずい
正にミサイルが日本に到達し、夥しい程の世界中の軍艦が日本に攻めてこようとする正にその時である
大天使が降臨した
予想通りだった
党員は歓喜した
「「「「エーベルハルト様～」」」」
「待たせたな」
上空から舞い降りる天使の輪っかと巨大な羽を持つ大天使が地上へと降り立った
その一連の動きはとても神聖で…
するとどうだろう、突如として宇宙から謎の物体が！
これは、エーベルハルト専用爆撃機である
エーベルハルトは目にもとまらぬ速さでジャンプすると、上空の遥か彼方にある爆撃機に乗り込んだ
「全速前進、参りま～す」
日本列島と同等程の大きさという未曽有のサイズの爆撃機から落とされる爆薬が世界を焼き尽くす ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァッヴァ
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ
ズヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
世界は焼き尽くされた
エーベルハルトを復活させた党員は後悔の念に苛まれていた
「やっぱり戦争なんてしちゃ駄目なんだ～」
「世界中の人ごめんなさい～」
「え～ん、フランクフルトだってチーズバーガーだってチャーハンだって大好きなのに～」
「心配するな」
突如としてその子の横に現れるエーベルハルト
「え？」
「また復興すればいいんだ。日本も手伝ってやればいい。そしてちょっとずつ日本人の下に合う味にすればいいんだ
そうやって侵略するんだよ？」
「「「「「Heil Eberhard」」」」
そしていつのまにかエーベルハルトは上空にいて、巨大なエーベルハルトの顔がニコっとした
「「「「大統領～～」」」」
「「「「また降臨してください～～」」」」
「また来るよ」
天使になれば物理法則すら捻じ曲げられるのだ！
――エーベルハルト 第百四十九話 死後の遊園地
「はっはっは、我は偉いのだ！あれ」
いきなり我に返るエーベルハルト
「目が覚めましたか？エーベルハルトさん」
「ぬ、エーミッヒか。ところでいつから我はここにいた？」
「幼少期からですね。ところで治りましたか？」
「何がだ」
「頭の固さが」
きょとんとするエーベルハルト。まじまじと見つめるエーミッヒ
するとどちらからともなく笑い出す両者
「こりゃ傑作だ！！！！」
「何ですかドープサグライフって。エーベルハルトさんは昔から堅物でしたよね」
「そりゃそうだ。大笑いだなこりゃ」
エーベルハルトとエーッミッヒは仲直りしたようだ
そこまで酷くは無いのですが、概ねこの通りでした。酷いお方でしたよ。おかげで付いて行くのが大変で
――エーッミッヒ https://i.imgur.com/DCA2MHk.png
エルソナロちゃんです
ののさんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/PM5DlJ3.jpg
エーベルハルトちゃんです
うぼぁさんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/9TTaMIg.png
エーベルハルトちゃんです
anonymous7080さんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/Ha1PHQX.jpg
エーベルハルトちゃんです
anonymous7080さんの作品でした
ありがとうございました 細かいところまで描きこまれてますよ～
よ～く見て下さいね 萌え大戦プロジェクト 閲覧数を上げろ
水面下で始動中 https://i.imgur.com/kDZCEz3.jpg
エビリファイムちゃんです
まきんさんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/Azubh0X.png
レッドブル200本です
他中 彼方さんの作品でした
ありがとうございました https://i.imgur.com/SPSgVuR.png
エビリファイムちゃんです
山本勘助さんの作品でした
ありがとうございました 第百五十話 お盆
昼頃、我は目覚めた
朝食を取り身支度をして家を出て、庭に置いてあるランクルのキーを回すと出発進行
今日はお盆
死者がこの世に遊びに来る日だ
せっかくの休みだし、生者の様子を見る片手間、我も遊んでみるとするか
低速で道路に出ると、高速の物体がランクルに激突してきた
ベゴッという低くくぐもった音がしたので、慌ててドアを開けて確認したのだ
すると、短い金髪の女とキックボードが倒れていた
「い、痛いデースネ↑↓↑」
「ああ、お前か、こんなところで遊んでるから」
気を取り直してランクルに乗ると、倒れてるエミリーを無視して行く当てもないドライブを始めた 「しかし、良い街だな」
整然と等間隔に並んだ道端の樹木
閑静な住宅街
S字のカーブ
雲一つない空、炎天下、緑
人がいっぱいいる高層ビル
子供が遊んでる公演
楽しそうな娯楽施設
「これみんな、我が守ってやったんだからな」
ありがたく思えよ、日本人 暫く車を走らせていると、ピリリとスマホが鳴った
今日は一人でいたかったのだがな
またドタバタに巻き込まれそうだよ
仕方なく車を道路の左側ギリギリに止めて、電話に出てやった
幼稚園の頃からの付き合いのあいつだ
「もしもし、こちら福福ラーメン屋」
「冗談はやめてください、エーベルハルトさん」 「ばれたか。何の用だ？」
「エーベルハルトさんも一緒に来ませんか？海でBBQやってるんですけど良かったら」
「分かった。玉ねぎはあるか？」
「こちらにあります。ああ」
スマホから口を離して周りの人間とコミュニケーションを取っているようだ
ちょっと待つと返事が返って来た
「レッドブル買ってきてくれませんか？」
「分かった。どこの海だ？」
「梅沢海岸です」
「了解した」
スマホを切ると、助手席に軽く放り投げた
えーっと、レッドブルでしたっけ？
コンビニへ参りま～す 有料のレジ袋を持って砂浜を歩いて行くと、いたいた、あいつらだ
エリーとエミカ、エミー、エーリカ、エーリー、それに党員のエーミッヒとエーンリッヒまでいる
「「「「Heil Eberhard」」」」
「待たせたな」 暫くBBQを楽しみながら他愛のない雑談してると、家から出るとき轢いてきたあいつの車がやってきた
BGM Nas - Street Dreams
BMW X6とキャデラック エスカレード、センチュリー、ランクルにレンジローバー イヴォークが駐車場の列に加わった
しかも音楽をつけっぱなしにしてドアも閉めずにこちらにやって来る
不機嫌さをアピールしてやろうか？
「ハーイエミリデース↑↓。私も仲間に入れてクダサーイ↓↑↓↑」
ポケットからボックスのセブンスターを取り出すと、一本取って口にくわえた
屈んでBBQの火でタバコに火を付けるとぷはっと吐き出した
煙の向こう側でエミリーがゆらゆらと近づいてくる
「あ、こんにちわ。大統領」
「おお、お前か」
舐めた態度が糞程気に入らなかったのでわざと飯時にそぐわない話を切り出"させて"やった
微弱な闇を漏らし、ちょいと脳波をいじってやる 造作もない事だ 「最近コロナ話題になってますよね、大統領」
「そうだな」
我が串を取ると奴も真似しだした
パク付きながら喋るとするか
「いい加減うんざりしますよね。そんな事より軍事のニュースやって欲しいと思いませんか？」
「コロナのどこが大事じゃないんだ？」
「え？」
「コロナが終息した後中国は全世界から総すかんだろう
どこどこの国が中国が発祥のウイルスで死者何万出たとか、賠償金を払えとか
そのいざこざで世界大戦にまで発展してもおかしくないんだぞ？
死者が出まくれば世界のパワーバランスにだって影響が出るし
それに軍事関係者にだって罹患者はいるだろう？」
「そ…そうですね↓↑↓↑↓」
「ごめん、ご飯不味くなっちゃう」
顔を見ながらまじまじと言ってやった。玉ねぎがうまい 立場が悪くなったのか、バツが悪そうにその場に立ち尽くすエミリー
周りの子は黙ってバクバク食ってる
「ご、ご飯がおいしくなくなりまーした↑↓↑」
「お、そうか、帰っていいぞ」
「し、しかーし↓↑↓、このままでは引き下がれませーん↓↑↓」
腕まくりをするエミリー
「唐突に始まるプレジデントラップ。YO YO」
レンジローバーからかかってる曲がトラックだ
BGM Nas-I gave you power
食い気味で先行を取ってやった
「プレジデントラップはこっちの方。こっちが本家本物ドロップトーホールド
この道通るぞ、ぶつかったのはそっちの方
措置の法。見るのは肉より血の方。YO」
「YO、そっちの方とかうるせーよ、細っちーの
ラップのコツを教えて欲しーの」
「ラップのコツとか自分で覚えろ
自分の心の中にあるもの出してみろ
ここはお前の居る場所じゃない。ざまぁみろ」 「Y、YO」
途中からパパドックみたいになってたのでいい所で切り上げることにした
「お疲れ、エミリー」
「Y、YO、まだ言えるYO」
エーンリッヒが腕を掴んできて上に上げた
「エーベルハルトさんの勝ち～」
わっと沸く歓声
「負けまーした↓↑↓ひとまずこの場は退散↑↓↑↓デース」
右手人差し指を天に向かって指したのを見逃さなかった
更に気分を悪くさせてやろう
ひっひ
「神を信じてるのに上を指すの？人に指差したら失礼なのに」
エミリーは振り返らずにそそくさと帰って行った 片づけは自分らでやると言い出してきたので一人ずつ握手してやると梅沢海岸を後にした
「グェー(ゲップ)、あーうまかった、BBQ。どこ行くべか」
片手でハンドルを握りながら後部座席に置いてあるCDボックスを取り出すとガサガサ漁った
丁寧に既に入ってるCDと交換して曲をかける
The Beatnuts - No Escapin This 大磯を車で走り回してるとどこも遊ぶところがないと気づき平塚までやって来た
タバコが切れたのでたばこセンターヨシノヤに寄り道してみた
「おばちゃん、なんかお勧めある？」
ふがふが言ってたので仕方なくたまたま目に付いた黄色い箱のポンポンオペラのリトルシガーを頼んでみた
近くに置いてある灰皿スタンドにビニールと銀紙を捨て、火を付ける
ふーと吹くとなめした皮の味がした
しかしフィルターは激アマだな
唇をぷちゃぷちゃさせてると後ろから声をかけられた
「エーベルハルトさーん」
カラオケに誘われてしまったよ(笑) 目の前に座ってるのはエビリファイム
まぁ、歴代の大統領の中ではマシな方だな
コーンスープをずずっと飲むと灰皿にタバコを置きマイクを手に取った
てかぁ、カラオケってあんま洋楽入ってないんだな カラオケで歌った曲一覧
恋せよ乙女
勇侠青春謳
月蝕グランギニョル
亡國覚醒カタルシス
LABYRINTH
S嬢の秘めやかな悔恨
あたしがアリスだった頃
桃色天国
跪いて足をお嘗め
ピアニィ・ピンク
コッペリアの柩
あんなかお こんなかお
Tico tico no fuba
Rose moon
BAR酔芙蓉へどうぞ
桜の花は狂い咲き
人生美味礼讃
昭和恋々幻燈館
密猟区
エスカルゴ嬉遊曲
カフェテラスでお茶をどうぞ 阿修羅姫
愛と誠
少女貴族
妄想水族館
ストロベリーパイをお食べ
禁じられた遊び
聖少女領域
銃殺殺戮天(プレジデントエミネム氏がアリプロに秘密裏にリクエストして作らせた曲。楓とリリーのOPに使われている)
それ見たことか、我の美声 エビリファイムとのデュエットを二時間ほど楽しんだ後店の前で別れた
駐車場に置いといたランクルにキーを差すと、中々エンジンがかからなかったのでキーをガチャガチャやったり
かかれかかれと言いながら頭をハンドルにゴンゴンぶつけるといつの間にか我は気を失っていたようだ
気付いたら翌朝だった(笑)
原因はガソリン切れだったらしい
仕方なく車に積んであったバカルディ スペリオールをランクルの給油口に注いでやるとエンジンを吹かした
問題なく動いたので、取り敢えずガソリンスタンドに行って給油だ 「あー喉痛っ。どこ行くべか。お盆は今日入れてあと二日か」
ガソリンをハムスターに哺乳瓶で水をやるように注いでやると満タンになったので出掛ける準備は万端だ
この辺はマジで牛糞の匂いがするので東京まで出かけることにした
長旅のお供はbiggieのBorn Againだ 「我は王様だから道のど真ん中走るんじゃーい」
大声で叫ぶ
アメリカの救急車のサイレンの音が鳴るパトランプを持ってたので車の上の部分にくっつけてやると、ハンドルを左右にぐねぐねしながら高速道路のど真ん中を爆走した
マジでみんな左右に避けてたのでそれが笑えた
暫くすると真新しい会社の看板が見えて来た
戦争歓迎新聞社と書いてある
ほー
なるほど
内戦で崩れ去った戦争歓迎新聞社だが、これはお盆の日だけ復活する
生前慣れ親しんだ場所がないと死者が寂しい思いをするので、これは御許の配慮である
興味が湧いてきたので高速を降りるとここは一般道路だ
ドリフトで駐車場に乗り付けると二丁のベレッタをダッシュボードから取り出すとこの会社に乗り込んだ 二人のウグイス嬢に軽く挨拶して、党員に都合の良い記事を書き、党員を甘やかした罰として社員とすれ違いざまにベレッタを地面に打ち込んでやった
マガジンがいくらあっても足りないよ
結構な階数まで来たのだが、あいつはいなかった
「確か日本を内戦へと導いた大馬鹿者がいたような気がするのだが…残念だ」
一階まで行くとウグイス嬢がどこかに電話してるのが見えたので此方から見て左のウグイス嬢の左のこめかみギリギリに撃ってやると速攻で電話を切った
「すまないが、此方の会社にエリジェイルロスという人間はいるか？」
困ったように顔を見合わせるウグイス嬢二人
するとこちらから見て右のウグイス嬢が普通に喋り出した
「彼女は今日は来てません。自宅を訪ねてみてはどうでしょうか？」
しつこく食い下がり、自宅の周辺の地図を描かせると、それを手に車に戻った
フロントガラスの真ん中ら辺にくっつけてやるとドライブの始まりだ
その家はすぐに着いた
ビル群からちょいと進むと山があり、ある程度まで進むとぽつんと一軒家がある
そこがエリジェイルロスの家だ
インターフォンが無かったのでいきなりドアを開けてみた。鍵はしてなかった
すると野生の感で敵を察知したエリジェイルロスが立っていた
「こんにちわ～、福福ラーメン屋でーす」 「お、おお…」
低くくぐもった声を出すエリジェイルロス
あまりの出来事に驚いてるらしい
「こんにちわ。エーベルハルトさん」
「うむ」
我は言われる前にソファに腰を下ろした
「良い家だな。外に薪もある。自給自足か？」
「そうですね。晴耕雨読の生活をしております。たまに気が向いたときに新聞社の方に出向いて記事を書くという形ですね」
「それは大変だな。風呂入る時どうしてんだ？自分で火起こししてから入んの？」
「えーっと」
「飯は？人里まで降りんの？まさか現地調達？」
「そうですね、あはは」
照れるエリジェイルロス
「そうそう、実は戦争歓迎新聞社のウグイス嬢に地図を描いてもらったんだがな」
「え？そうなんですか？」
「見てくれ。良く出来てるだろう？社員の教育が行き届いてる証拠だ」
ポケットからくしゃった地図を卓袱台に乗せると、案の定エリジェイルロスはまじまじと体ごと乗り出して見て来た
「えーどれですか？地図うまいですね」
子供の様な好奇心旺盛な表情をするエリジェイルロス
その表情はそのまま暫く固定されることになる
卓袱台の上にインテリアの振りして置いてあったナイフの鞘を抜いて地図めがけてドーンと刺してやった
笑顔のまま固まってる姿は滑稽だった 「褒められると思ったか？」
更に威圧してやる
両足を勢いをつけてドーンと卓袱台の上に乗せてやった
「日本を内戦に導いたそうじゃないか。お前の記事がきっかけだぞ
ここいらで名誉挽回してみるか？何か記事でも書いてみろ。この場で」
すると、目にも止まらぬ速さで卓袱台に刺さったナイフを左手で抜きこちらの顔面を狙ってくるではないか
しかし、我にはこの程度のスピードは何ともなかった
訓練されているなと思った。こいつを倒した者は相当の手練れだろうなとも思った
紅茶を淹れるついでにラスクを焼くレベルの余裕さで、しかもバターまで付けれるくらいの、そういう、ゆったりとした時間の流れを感じさせる一撃だった
造作もない
右手で奴の左手ごとナイフを弾いてやると、左手でベレッタを取り出し奴の額を狙った
すると奴は右手でベレッタを強引に振り落とし、口をぐわっと開けてこちらに噛みつこうとしてるではないか
やや楽しい。そんなところか
若干の恐怖を覚えたので、すぐに決着をつけることにした
「バージョン2じゃい」
右手でベレッタを抜き、卓袱台にドンと乗せると引き金を引いてもないのに銃が暴発した
「あ痛ぇーーーー」 馬乗りになって暫く素手で殴りまくってるとその内大人しくなったので、怪我をしてる右足の内側の部分の応急処置をしてやった
あんな記事を書いた理由を聞くと、こんな答えが返ってきたのだ
「世間知らずでごめんなさい」
仕方ない、許すか
もっと人里に降りた方が良いよとアドバイスすると、牛糞臭い森からはおさらばした 人と関わるってのは楽しいな
特に、相手より優位に立った時の高揚感が何とも言えん
といっても、自分の気に入らない奴限定だがな
そうそう、会いたい奴がいたんだ
こいつん家は知っていた
神奈川まで戻るとエリピリャエルの自宅を訪れた
インターフォンを鳴らすと母親が出て来たので丁重に挨拶すると家の中に入った
「今お茶出してきますので」
「構わん。エリピリャエルはどこにいる？」
「はい、一階の畳の部屋でぐっすり眠っておりますよ」
「そうか」
案内された部屋に入るとベッドの上でぐーぐー寝ていた
暫く立っていると、エリピリャエルがぱちりと目を覚ました
「どうする？遊びに誘ってやらなくもない」
「うーん、エリピリャエルはもうちょっと寝てる」
するとまたぐーすか眠りだした
さて、待つか
本棚には絵本がずらずらと並んでいた
母親がこの部屋で読み聞かせしてたんだろう
適当に読んでみるか
我は無造作に絵本を一冊手に取った
ぼくはおこったというタイトルだった
数分もしない内に読了した
まさにこれは我のことだな
自分より低い奴に何か言われると気が立って仕方がない
他におれはティラノサウルスだを読んだ
なるほど、子供向けと見せかけて実は深い内容を語ってるんだな
お利口になるに決まってるよ
な？エリピリャエル 「一緒に遊びに行くか？」
「まだ寝てるのー」
一緒に布団に入ってやることにした
「うーん、寝心地悪いのー」
「まぁまぁ、そんな事言うな」
さて、寝るか
良い夢を見た気がするが起きた途端に忘れてしまったよ
「起きろ、エリピリャエル」
もう夜だ
時計は深夜を回っていた
「うーん、はっ」
急にがばっと起きるエリピリャエル
「遊ぶのー」
もう夜だよ。お前に付き合ってたら時間がいくらあっても足りないよ
若干呆れたが、障害者だ、優しくしてやらねばならん
何故だか我はこの子と一緒にいると落ち着いた
騒がしい世間の争いから避けるため、安らぎを求めてこの子の元に来てるのかもしれない
「遊ぶか？今からじゃ夜の店くらいしかやってないぞ？」
「夜の店ってなーにー？」
「ふふ、よし、良いとこ連れてってやろう」
「どこー？夜の店ー？」
起きたてでぼけぼけしてるエリピリャエルの靴を履かせてやると外に出た
さあ、出発だ BGM UPS - We Came to Party!!!!
「この曲たのしー」
飽きさせないようにCDをかけてやった
高速道路を爆走してやっとの事で着いたのがここ、東京ディズニーランドだ
CDが後部座席に散乱してるが気にしなかった
党員に連絡を取ってアトラクションを動かしてもらえるよう手配しておいた
貸し切りだよ。エリピリャエル
「着いたぞ」
「わーい遊園地だー」
一人でとことこと走って行ってしまうエリピリャエル
案の定こけて泣き出したので取りあえず慌てることなくキーを抜きドアを閉じた
車の鍵をかけすたすたとエリピリャエルの元に行ってやる
「えーんえーん。転んじゃったよー」
服をはたいて砂埃を払ってやるとさあ楽しい遊園地に入園だ
迷子にならないように手を繋いでやる
「何に乗りたい？」
「ジェットコースター」
幼稚園生くらいの発音でそう言うエリピリャエルと一緒にジェットコースターに乗ってやった
こういうのは人がたくさんいるから(あのキャーキャー音)楽しいんであって
多少の高揚感はあったが終始無言だった
しかし、隣に乗ってるエリピリャエルがぐおーぐおーと言ってるのでそれが面白かった
せっかく楽しい所にいるんだ。多少オーバーリアクション程度が丁度いいだろう
しかしこいつと二人きりではどうも楽しみに欠けるな
スマホで招集をかけた
党員全員集合だ わらわらと集まりだす党員
アトラクションを動かすのに必要な人材まで集めてしまったので、勿論ジェットコースターにも乗れない
するとエーミッヒが話しかけてきた
「あれ、その子ってあれじゃないですか」
こちらに駆け寄ってきて耳打ちしてきた
「障害者の」
こいつの持ってた酒瓶でガーンと頭を殴ってやった
おいらの友達だぞ！
「気にするな。ディズニーランドでは良くあることだからな」
我がエリピリャエルの心配をしてやると当の本人はぼけーっと夜空を見つめていた
「いっつっつ…」
頭から血を流していたが、丈夫な奴だ。こんなもん何でもないだろう
「ごめんね、エリピリャエルちゃん。ディズニーランドは楽しい？」
「うん。楽しい。もっと乗りたい」
急に笑い出す党員達。我もつられて笑ってやる
「車に？」
「え？」
「待ってろ。持ってくる」
駐車場まで戻り、ディズニーランドに車で侵入してやった
入場口ごとぶち壊して暫く進むと広場があるのでそこに車を止めた
実は車のオーディオに音楽のデータを入れてあるので(その数驚くことなかれ400万曲！ノイズからクラシック、ヒーリングミュージックからグラインドコアまで揃ってるぞ)
いくつかフォルダがあって、四年位前に作ったフォルダ(これには1000曲程入ってる)を設定して、ランダム再生することにした
ボタンを押すと、宴の始まりだ Boondox-Sippin
Mos Def - Brooklyn
Immortal Technique - Bin Laden (Ft. Mos Def)
Immortal Technique - Freedom of Speech
Immortal Technique - Mistakes
Outerspace - "Angels Of Death" (feat. Immortal Technique & Vinnie Paz)
Skrewdriver - White Power
Vance Joy - 'Riptide'
Six Feet Under - Amerika the Brutal
Sultan feat. Ixzo - Que De La Peufra
R.A The Rugged Man - Tom Thum
Vinnie Paz - God Bless
MIGHTY JAM ROCK／RUB A DUB WESTERN feat. BOOGIE MAN, VADER, ARM STRONG from ﾗｶﾞﾗﾎﾞMUSIQ
SUPER STAR feat.湘南乃風／VADER
360 ft Gossling - Boys like you Lyrics eminem -
run rabbit run
Brain Damage
Rock Bottom
Kill You
The Way I Am
Drug Ballad
White America
Business
Without Me
Like Toy Soldiers
Mosh
One Shot 2 Shot
We As Americans
Lose Yourself "Weird Al" Yankovic - Another One Rides the Bus
Silencer - I Shall Lead, You Shall Follow
CARCASS - Ruptured in Purulence
Krypt - I Am God
Krypt - Krypt
The Berzerker - Eye for an eye
The Berzerker - Death Reveals
Dimmu borgir - Puritania
Dimmu Borgir - Hybrid Stigmata
Korn - Got The Life
Korn - Freak On a Leash
All That Remains -We Stand
Infernal War -Spill The Dirty Blood Of Jesus
Boney M - Rasputin (Loud Bit Project Remix 2011) サカナクション - 夜の踊り子
Skrillex - My name is Skrillex
Skrillex - Scary Monsters And Nice Sprites
Skrillex - Kill Everybody
Vader - Raining Blood
Vader - Xeper
Behemoth -Slaves Shall Serve
Aeon - Soulburner
Decapitated - Spheres Of Madness
Mayhem - Freezing Moon
Marduk - Blutrache
L'Arc~en~Ciel Blurry Eyes
Marilyn Manson - The Beautiful People
Marilyn Manson - This is Halloween BOOWY- PLASTIC BOMB
HOTEI - スリル
HOTEI - RUSSIAN ROULETTE
ガゼット - 舐
SIAM SHADE- せつなさよりも遠くへ
霞みゆく空背にして/Janne Da Arc
シャムシェイド -1／３の純情な感情
川本まこと- 1/2
JUDY AND MARY - motto
Judy And Mary - Over Drive
Judy and mary - そばかす
黒夢- Like＠Angel(これは、ラストライブの音源だ。こっそり参加して録音した)
B'z Pleasure'98 -人生の快楽
B'z - ギリギリchop
かまいたち - へのへのもへじ スガシカオ - 19才
Slipknot - Psychosocial
Slipknot - (Sic)
Slipknot Scream
Iggy Pop - Real Wild Child
UneXpect - Desert Urbania
ねごと -sharp♯
友達なんていらない死ね -神聖かまってちゃん
Naglfar - Black God Aftermath
Intouchable feat. Rohff - Warriorz
Avril Lavigne - Sk8er Boi
2pac feat Dr.Dre - California Love
Swedish House Mafia - Save The World (Knife Party Remix)
Story of Our Lives - Twiztid KABAL - "HORRORCORE BOUILLABAISSE"
Daddy Yankee-Camouflage
Daddy Yankee - Gasolina
Ice Cube - You Can Do It, featuring Mack 10 ,Ms Toi
Insane Clown Posse - Jump Around
The Black Eyed Peas - Boom Boom Pow2Pac - Temptations
The Black Eyed Peas - Pump It
The Boomtown Rats - Banana Republic
2Pac - Letter 2 My Unborn
2Pac - Temptations
2pac -Troublesome '96
trips-horrorcore anthem
Weird Al" Yankovic - White & Nerdy RIP SLYME - 熱帯夜
RIP SLYME - JOINT
HALCALI - Strawberry Chips
OKONA-X - EQUIS.EX.X やべ、適当すぎた
党員にお使いに行かせて買ってこさせたレッドブル200本と我のお気に入り、バカルディモヒート(度数18のやつ)400本と
チョコモナカジャンボ156個とたこ焼き10個入りのが49個と寿司屋からトレー事買ってきたうにが109個と
大量のタバコとアッパー系のドラッグを全員で食い散らかし貪り尽くした
花火もやった
エリモゲロが口にロケット花火を突っ込んで笑いを取ってたな
党員でストームをやったり扇風機ヘドバンをやったりして楽しんだ
メロイック・サインを出し、モッシュダイブ、リフトアップ、レッキング、ポゴダンスもやった エリピリャエルが「友達呼んで良い？」とか言って、なのにスマホは持ってないわ電話番号が分からないわでぐだぐだした後
誰を呼びたいのかと聞き出すと、友達の障害、おっと、施設の子を呼びたいと言い出した
そっか、こいつは施設に入りたがってたな
しかし入ってもない施設の子と友達なのかと質問すると「ううん」と言ったのでスマホを叩き割りそうになったが我慢した
エーミッヒのスマホに施設の子の電話番号が入ってたのでエーミッヒが代わりに電話して連絡した
今から遊びに来ないか？と
障害者なので、危ないので車で党員に迎えに行かせたのだ
施設は東京にあって、意外と近かったのですぐに来た
って、聴覚障害かよ
始めは振動が楽しいとか言ってたがその内飽きたのかいつの間にか姿は消えていた
エリピリャエルもだ
宴は終わり、もうすぐ夜も空けてくる頃合いだ
片づけなくていいか、死んでるしな。全員
我が先頭に立ち、大勢引き連れてディズニーランドの外に出た
そこには砂遊びをして疲れて眠ってるエリピリャエルたちがいた
放っておくか
ランクルも一緒にな
因みにランクルは破壊されて使い物にならなくなっていた
どうやら盛り上がりすぎたらしい
ぶち壊しやがって 党員たちとは入り口のところで別れた
行く当てもなくすたすた歩いてると、海があったので入ってみることにした
誰も見てなかったので、服を脱いでその辺の砂浜に置いて海に身を投じた
どこまでもどこまでも進んで行き、仰向けになって空を見た
日が昇ってきたな
肺に入ってる空気を抜き、沈んでいく
どこまでも、どこまでも
何時間経っただろうか
死なないのかな、一回死ぬと
空気がなくなったふりをして一気に海面まで駆け上がる
「ぷはぁ」
あたりを見回すと、360度全てが海だった
いけね、遠くに行き過ぎた
ここで説明しよう
死ぬとこういう事も出来るようになるのである
天使の羽を生やし、一瞬で上空まで飛ぶと、地面を見つけた
では何故車を使ってここまで来たかって？
楽しみでドライブすることもあるよ(笑)
羽を羽ばたかせ、ゆっくりと砂浜まで行き、地上に降り立った
天使の羽を収束させ、体をぶるると震わせ水を切った
服を着て、さあ出発だ 元々行く当てもなくて海に行ったのだが、海には入り終わったし
さて、そろそろやる事もないぞといった塩梅だ
みんな何して遊ぶんだろうな
ところでお盆は今日が最後の日らしい
寝すぎたべ、これ
寝お盆だこれ その辺をぶらぶら歩いてると、トヨタ ランドクルーザー プラドに乗ってるエルドランプがこちらに向かってきた
窓ガラスを開けてこちらに話しかけてくる
「おはようございます、エーベルハルトさん」
こいつはまぁまぁな方だが如何せん幼稚すぎる嫌いがあるな
無理もない、学校と国会しか世間を知らないしな
自ら足を運んで庶民の生活を知ってこなかった
さぞかし良い環境で育ったんだろうよ
だからちょっとのことで傷つきすぎてすぐ駄目になってしまう
我はスラム街でもたくましく生きていけるぞ？
そうだな、ストリートのbeefで有名になってその内メジャーデビューだな
なんならドラッグの売人から麻薬王に成り上がったっていい
それか車の整備でもしながらハンモックに揺られてゲットーで生きるniggaの成長を見守ってるだろうよ
「おはようエルドランプ。どうした？」
「少し話しませんか？」
ランクルの助手席に乗るとエルドランプはそのままニュースキャスターになれるのではないかと思わせるような流暢な日本語で語りだした
この程度、元大統領なら造作もないだろうよ
車がゆっくり動き出す
運転しながら喋りたい様だ
どこか行くのかなぁと思いながら話を聞く 「まず申し上げておきたいのは、この車、差し上げます」
「分かった。貰っておこう」
「TX Lパッケージ 7人乗りです」
「カラーはスーパーホワイトⅡだな。良い車だ」
「エーベルハルトさん昔からランクル好きなんですね。昨夜、といっても日付は変わっていませんが、党員から聞きましたよ
小学生の頃からランクル乗ってたって。エーミッヒちゃんから聞きましたよ」
む、我の個人情報を流したなあの野郎
「そうだよ。車が好きでな。車も銃も奴とお揃いだ」
「そうなんですか？初めて聞きました」
「党で使う銃を統一しようという話が出てな、共通の銃とマガジンを使えば色々効率もいいだろ？」
「借り回しもできますしね」
当たり前だろ。馬鹿かこいつは
軍事に携わる者にとっては知ってて当然の常識をわざわざ説明しだしたので内心かなりキレてた
子供向けか
「扱い易く実績もあるベレッタを選んだんだよ」
そろそろ車の話に戻ってくんねーかなぁ
「ところで、心の中の声が丸聞こえなのですが…」
「わざとに決まってんじゃん」 こいつは信用ならなかった
すぐ辞める奴は大体そうなんだがな
今、こいつと魂をチャネリングしてる
だから敵意がないって事も分かってんだけどね
車のリクライニングレバーを下げてインパネに両足をガンと乗せると1秒で眠りに就いた
くだらなすぎる
寝お盆だ
寝る
悪夢を見た気がするが全く覚えてなかった
気付いたら昼だった
浅い眠りだなと思ったらこいつに起こされたらしい
エリピリャエルだ
我の体を揺さぶってる
エルドランプは当然いなかった
「ねぇねぇ、遊ぼー」
あまり機嫌がよくなかったのでつい怒鳴ってしまった
「うるせぇな」
体をびくつかせるエリピリャエルだったが、それでも我の許を離れない
どうやら懐かれてしまったようだ
後部座席に乗り込み、積んであったパイナップルの缶詰を開けると備え付けのプラスチック製のフォークでバクバク食べだした
「送ってくよ」 神奈川の自宅まで送り届けてやると別れの挨拶もしないですぐ別れた
ばいばーいと言ってたのが聞こえたような気がするが風の音にかき消されて聞こえたんだか聞こえなかったんだかって感じだ
何で我はこんな苛ついてるんだろうな？
理由 その１ エリピリャエル
理由 その２ 前のランクルのオーディオに入ってた音楽のデータが消えたため
結論 全部だ
後、なんとなく周りの人間とレベルが合わない気がした
まぁ、これは我が唯一無二の大統領であるからして、当たり前の事なのであるが 大好きな車でドライブしてると、段々と怒りも冷えてきた
ここでふと思いついたことがある
闇の端をちょいと摘まんでやると、でちの出来上がりだ
エリピリャエルのところに送ってやった
あいつが寂しがるといけないしな
でも、「エリピリャエルはもう寝るのー」とか言って相手にされないかもしれないが(笑) 取り敢えずエリモゲロを呼び出しCD持ってこいと命令した
なんとかHIP HOP系だけは確保して片っ端からオーディオにデータを読み込ませていく
後部座席にはCDが散乱していたが気にする事はない
どうせエリモゲロのだ
「後で返すよ」
そう言い残しエリモゲロとは別れた
BGM 2Pac - Hit 'Em Up スマホから連絡が来て統合幕僚長が中心の会食があるとのことだった
こういう類の情報はすぐ我の元に来るよう党員に徹底させてる
ニュースになることから、ニュースにならない個人的なことまで、全て筒抜けなのだ
インフィットを全滅させるという多大なる武勲を立てた者だな
すぐにエーミリハイトと連絡を取った
「もしもし、我だ」
電話口から「おぉ…」という感嘆が漏れる
「返事がないならすぐ切るぞ？」
電話越しで慌てるエーミリハイトが目に浮かんだよ
「失礼しました。エクルヴァルクルショーンも来ますがよろしいですか？」
こいつも内戦で武勲を立てた者だな
「いいだろう。どこに行く予定なのだ？」
「お寿司を食べようかと思ってるんですが」
指定された店に行くために東京まですっ飛ばすこと一時間ほど、すぐに辿り着いた
「こんにちわ～。こちら福福ラーメン屋でーす」
どよっとする皆共
我が来ることは知らせておいたのだがな
緊張してる様子が手に取るように分かる
我の威圧感に押されたか？
因みに、陸上、海上、航空幕僚長も参上している
コネ作りをしたい若手(と言ってもその筋ではそこそこ名の通ったエリートなのだが)も大勢来ていた ん、こいつは見ない顔だな
この店には何度か来たことがあるのだが
エシンクという名札が胸に付いていた
凄く小さく、我の股間程の身長だろうか？
足元近くまで届く純正の金髪
寿司職人見習いだろうか？
寿司職人のよく被る白い帽子と白衣を着ていた
膝を折って顔の高さをその子と同じ身長まで下げてやる
「可愛いね。何て言うのかな？」
「……」
何も答えない
すっくと立ちあがり辺りを見回す
統合幕僚長が二人いた
あ～喧嘩してぇ
こいつら我より強ぇんだろうなぁ
と思ってたら意識がふらふらしだした
もう限界らしい
世の中気に入らないことだらけだ
「どうしたんですか？その血だらけ」
エーミリハイトが一番先に言ったのが頭にきた
気付くの遅っ。早く手当しろよ
椅子がクッションになって顔面強打だけはなんとか避けられた 因みに道中エミリアリックウォーターの襲撃を受けて重傷を負った
軍拡派の過激派だが、自由戦争主義大日本帝国党とは別組織だ
不法な商売をしてその資金で軍拡をし手柄を得るというのがこの組織の方針なのだが、役に立つ部分もあるので党は泳がせていたのだ
それで不幸になった日本人がどれほどいることか…
軍拡というのは同意なのだがな
こいつらはちと過激すぎる故、罰も兼ねて車ですれ違いざまに顔面に向かってベレッタを一発撃ちこんでやったのだが、危険を察知してかすぐにハンドルを切られ
すぐ後を追いかけてきて、ランクルの後ろにつけてきて、その状態で走りながら銃撃戦を繰り広げた
奴の銃弾を全弾避け切った上で、奴の車のオイルタンクに見事命中させてやった
奴の車は大破したが、しつこいのなんの
車を壊されたくなかったので、取り敢えずブレーキを全力でかけて路肩に止め、車から降り、迫り来るエミリアリックウォーターをがっぷり四つで受け止め
そこからすぐに殴り合いの喧嘩になった
音楽がかかりっぱなしだ
BGM Junior M.A.F.I.A. - Player's Anthem (feat. The Notorious B.I.G.) ストリートファイトなので、クリンチというルールは当然存在せず、お互い、まともにヒットすれば確実に失神するレベルの拳が高速で飛び交った
何発か我の頬を掠ったが、これは後から効いてきたな
腹も何度か殴られたが、動きを読んでいたため(手が追い付かなかった)、殴られる前に腹に力を入れたので大丈夫だった
頭に来た以前に強すぎて倒すのがやっとだった
秒間6回のフェイントを入れた後バックナックルを奴の右頬にクリーンヒットさせ、やっとのことで倒した
そこでようやっと頭に来る余裕がでてきて、倒れ伏してる奴の顔面をガンガン蹴りまくってやった
他にも何か技を食らった様な気がするが、記憶が少々飛んでいた
スマホを確認する余裕が出て来たので、メールを確認すると、新着が10件程来ていて、ああ、思い出した
寿司に行くんだったっけ
メールを開く前に思い出したのでスマホをポケットにしまうと、そのまま何事もなかったかのように寿司屋に行くことにした
えーっと、どこだっけ？
そっか、寝お盆だったな
一分ほど仮眠を取るとすぐ寿司屋に行かねばならないことを思い出し、普通にここまで来たという塩梅だ
何故か我は血だらけだったが、気にならな過ぎて今まで気づかなかったというわけだ
「ま、そういうことだ。分かったか？」
海上幕僚長のエリースタインが手当てをしてくれたので、その間暇だったので上記の事を説明した
「どんな武器で攻撃されたんですか？」
寝お盆だ。寝よう
食事をする場所とはまた別の奥の方にあるこの部屋で休むことにした
覚醒と睡眠の狭間で「お休みなさい」という言葉が聞こえたような気がした 騒がしい声で我は起きた
あのメンツでこうなるか？と訝しむが、打ち解けたのかな、と思う事にした
傷はすっかり治っていた
一旦服を脱ぎ、全身に巻かれた包帯を取り外し、着替えなおす
それより、我より強い奴が二人もいることに頭に来ていた
まぁ、軍人なのだから、強いのは当たり前なのだが、抑えが利かないんだよ。困ったことに
こうやって偶に合っても上辺だけのコミュニケーションを取るだけなのだ
書類上での話だが、常に殴り合ってきた関係だ
こちらが期間内にこれだけの軍拡をしろと命令してもそれを越えてくる
良いことのように聞こえるかもしれないが、それで割を食うのは国民だ
党はバランスを非常に重要視していて、きっちり計画もあるのに、全部踏みにじってくるのが統合幕僚長の役目なのだ
おまけに軍拡派の過激派までいる。恐ろしい程の軍拡路線なのだ
軍拡路線に打って出た建前上今更軍縮などできるわけもなく、日本は再び戦争という坂道へと転がり落ちていくというわけだ
複雑に絡み合ったシステム上、これを壊すのは至難の業だ
各界の利害が一致してるからだ
皆で築いたものを壊す者がどこにいるというのだ？
当たり前だが、国民もこのシステムに組み込まれている
毎年性懲りもなく選挙で我が党に票を入れてくれるというのだからこれ以上おいしい話は無い
自業自得な上に墓穴を掘ってる
しかし、心が痛まないわけではない
国民が可哀そうだよ
もっとこう、普通の生活がある筈なのに
今どきの若い者はどこで何をして遊んでるのだろうな？
しかし、敗戦というのは二度と経験させまいと思う
因みに、政権交代されるものなら日本国内での大規模なテロも厭わない さて、寿司でも食うか
「こんにちわ～。福福ラーメン屋でーす」
「へい、毎度。すきやばし次郎です」
凛とした少女の声がした
ああ、さっきのエシンクちゃんか
「何にしますか？」
「うにを頼むよ」
「へい、うに一丁」
台に登ってせっせとうにを握ってくれた
エガルモディールに席を譲ってもらった
コネ目当ての媚売りでもしてたんだろうか
両隣は統合幕僚長、エーミリハイトとエクルヴァルクルショーンだ
「よぉ、クソども」
両腕をこいつらの肩にかけてやった
ぴくりとも動こうとしない
最高濃度の闇を横の二人に浴びせてやると一瞬で負けた
起きたことを説明しよう。光に浄化されそうになったので、生命の危機(これは冗談ではない)を感じた
我を含めた三人の顔が銀河が渦巻いてる宇宙の顔になる
闇と光が混ざり、溶け合い、カオスになった
この時点で、三人でかかれば御許すら殺せそうなレベルだったのだが、光が勝り、我は聖になってしまった
あれ…何で涙が…
本当の我は…このような性格だったのか…
ふと目の前にあったうにが目に留まったので食べることにした
「おいしい」
我ながら子供みたいな声を出してしまったよ
そうかそうか、我はずっと、死んだことを根に持ってたのだな
晴れ晴れとした心境だ 両隣の統合幕僚長はニッコリしている
「エーベルハルトさんに敵意なんかあるわけないじゃないですか」
エーミリハイトが話しかける
「尊敬してます。お会いできて光栄です」
エクルヴァルクルショーンが言う
心の中で悪態をつく癖をやめたよ
じゃあなんで必要以上に軍拡を…嫌、やめよう。寿司を食べよう
こいつらも大変なんだ
皆人気取りに必死なんだ
「エシンクちゃん、ぼたんエビくれる？」
「へい、ぼたんエビ一丁」 程々腹が膨れたのですきばやし次郎を後にした
楽しい会食だったよ
エピリエロが一発芸を連発して笑いを取ってたな
さて、お盆もあとちょっとで終わりか
「ぐぇー」
ランクルで東京を暫くドライブしてたらあっという間に夜だ
スカイツリーで夜景を楽しんだりした
少しは感傷に浸る時間も必要だろう
車を運転することに疲れたので東京を練り歩くことにした 屋台が並んでるところに来た
「こんばんわ。こちら福福ラーメン屋でーす」
「何？それは我のセリフだぞ？」
本当にあったのかよ、このラーメン屋
名前につられて屋台に入ってみた
「お勧めは福福ラーメンです」
「じゃあそれ」
「はい、福福ラーメン一丁」
さっき寿司を食べたばかりだったのだが、このラーメンは別腹だった
「ごちそさん」 そろそろお盆も終わりか
さて、帰りますか
そうだ、でちを呼び戻すのを忘れてた
しかし、でちを召喚しようとしても何者かの力に阻まれできなかった
何故だ？
でちの身に何が？
羽を生やし、ふわっと地上から浮き上がると羽を羽ばたかせ急いで神奈川に向かった 羽を折りたたみ、翼をすっと消す
便利なものだな
玄関の鍵は開いていた
エリピリャエルが寝ている畳の部屋まで行くと、何と、でちがぎゅうぎゅうに握られてるではないか
だから呼び戻せなかったのか
「何をする、やめろ」
「え？」
「うわぁーーーーーーー！！！！」
あたり一面に細かくちぎられたでちがいた
これは、丁度魂の切れ端みたいなもので、ちぎるたびに新しい我になるのだが
ま、ちょっとオーバーリアクションすぎたな、後で回収すればいい
問題は、エリピリャエルに暴力を振るわれて、属性が闇になってしまったことだ
「何するんだ貴様！！！！」
エリピリャエルはとぼけてる
「えー、だって遊んでただけだもん」
慌ててエリピリャエルの両手に握られているでちを取り上げると、一難去ってまた一難
さて、こいつらをどうするか
名づけるならば、0,001%のでちだな
すぐに回収したはいいものの若干の闇が紛れ込んだ
本体の方のでちも回収してやると一瞬で純正の闇が出来上がった
このまま御許と戦争したい気分だった
「エーベルハルト悪くなった。戦いたい」
「喧嘩ですか？」 笑顔でそう言ってやると、エリピリャエルと魂のチャネリングを切ってやった
するとすぐに赤子のように泣きじゃくるエリピリャエル
眩い光が我を襲う
エリピリャエルの本気だ
気付いたら闇が忽然と姿を消し、我の心は晴れ渡るように清々しかった
力を使い果たしたエリピリャエルは、そのまま放っておいたら消え失せそうなほど衰弱していたが、無視した
気でも引きたかったのかねぇ
無邪気とは邪気が無いと書いて無邪気というが、こいつは邪悪そのものだろう
分かってるよ。格好良い我が好きだったのだろう？
体を折り曲げ、キスをしてやるとエリピリャエルの家を後にした 運転席に誰も乗ってない我のランクルが丁度迎えに来てくれたようだ
BGM Boondox-Angel Like
「助かるよ。気が利くね」
ランクルの運転席に乗り込むとふっと車が消えてしまい、空気椅子になってしまった
「あれ？」
車から人間に変身した御許がすぐ後ろにいる気配がした
どうやら迎えに来たようだ
この世で特別な武勲を立てた者は、御許が直々に迎えに来るという
すっくと立つと、振り向き、敬礼をした
しかし誰の姿も確認できなかった
気付いたら神になっていた
あの世の死者全員からの最高のプレゼントだよ 第百五十一話 世界征服
日本は、今まで以上に軍拡に励み、苦労の末、確実にこちらの被害ゼロで世界征服できるレベルにまで到達した
しかし、戦争はしなかった
もう、二度と、永遠に、戦争をする国など現れる事は無いだろう
そう、日本は世界を征服したのだ
一発の銃弾も撃たず。軍艦を1mmも動かすことなく。一滴の燃料も使うことなく
圧倒的パワーを持つ日本と戦っても勝ち目などない
ならば取り入ろうと、全世界が思ったのである
世界は、日本式のルールを受け入れた
世界が、日本基準になった
日本は、そして世界は、二度と戦争する事は無かった
世界に、完全なる平和が訪れた 因みに、これからも萌え大戦は続きます
しかし物語はここでENDということで(^^;)
ニュースでやってるような時事ネタにはたまに反応します
そのネタを使って小説を書こうかな、と https://i.imgur.com/cEk0h3g.png
エビリファイムちゃんです
他中 彼方さんの作品でした
ありがとうございました 第百五十二話 癒着
日本には大企業がいくつもある
その中の代表的な幾つかを紹介しよう
巨大物流会社、野座間。流通網は日本列島に脈々と広がっている
デジタル製品、ソフトウェア開発ならお手の物、エレパ
世界基準のソーシャル・ネットワーキングサービス、コッブ・エサーフ
世界規模の検索エンジンを持ち、インターネット関連のサービスに特化したエルゴーグ
その全ての企業が裏で自由戦争主義大日本帝国党と繋がっている
企業が売り上げた莫大な利益の大半を党が受け取っているのだ
しかし、遊んでると思ったら大間違い
その金で軍拡をするのである
至って真面目な党なのである
この裏で流される金だが、企業の方にとってもメリットはある
売り上げを伸ばしやすいように法改正をしてやるのである
おかげでどちらにも旨味がある
更に世界進出しやすいように軍のバックアップも付くというおまけ付き
危ない場所でも安全に金儲けができるのだ
党と企業はグルなのである 第百五十三話 危険な取引
これは我がまだ生きていたときの話だ
トヨタの社長、エトゥルユータが上納金を渡すために会いたいと言ってきた
上納金はいつも銀行振り込みなのだが、今回は勝手が違った
様子がおかしいなと思った
落ち合う場所と日時を向こうが決めてきたので、その通りに従うことにしたのだ
予定通りその場所に行くと、侘び寂びを感じさせる日本式の豪邸があった
落ち着いた雰囲気だ。ロープライスだがハイクオリティだなとも思った
党員に建てさせた我が別荘(偶に遊びたいときに皆で良く)に比べたら大分見劣りするがな(笑)
こりゃこいつの家か？
低姿勢で出迎える老婆を無視して土足で(嫌、欧米ではスタンダードな価値観なのだが)家の中に入ると
また案内する別の老婆がいたので(こいつん家は何人老婆を雇ってるんだ？)誘導されること数回、大きな畳の部屋に入った
「ご機嫌よう。ミスエーベルハルト。ささ、こちらに座ってください」
我の分の座布団が一枚用意されていた。椅子ではなかったので機嫌が悪くなったが、仕方なくそこに座ることにする
テーブルは無かった。日本の住宅にしては大きすぎる部屋にこいつと二人きりだ
高級な和式ホテルに来たようで多少の気持ち悪さを感じたが我慢するしかあるまい。こいつも代表だし、我も代表だ
「何だ？」
単刀直入に聞くと、結論を渋りだした
「まぁまぁ、ゆっくりしていってください、どうでしょう？この庭。腕の良い庭師に作らせたんですよ」
「何だ？」
更に威圧してやる 「まぁまぁ」
奴は横を振り向くと、そこには奇妙な模様に整えられた砂と、2～3個の適当の間隔で置かれた石があった
興味がなかったのでまじまじとこいつの顔を見つめてやった
ところでご存じだろうか？日本人の顔は外国人からするとダウン症の顔に見えるらしい
目のやり場に困るというのはこういうことだ。しかしそうするしかあるまい
「見てくださいよ。侘び寂びを感じますでしょう？」
食い気味で言ってやった
「何だ？」
奴はぴくりとした後、全然動かなくなった
「持ってこい」
低くドスの利いた声で扉のすぐ向こうで待機していた老婆が「はい」と答え、待つこと数分、ブツが持ち込まれた
アタッシュケースが奴に渡され、中身を確認したのかとっとと老婆を追い払った
「この度はこんな貧相な邸宅にお招きしてしまって誠に申し訳ありませんでした」
アタッシュケースを横に置くと頭を畳にくっ付け、土下座をしだした
ここまでするか？日本人
こりゃよっぽどのことがあるんだなと期待する
「態度で分かっておりました。どんどん怖くなるので…予定を数時間ほど切り上げました
この後庭を散歩した後お食事を振る舞おうと思っていたんですが…」
喋ってる間中ずっと「何だ」と言い続けてやった
それでも折れない。立派な女だよお前は
「料亭に行って舞妓遊びをする予定までありましたが、やめましょう
私目、エーベルハルト大統領にぴったりの貢ぎ物を差し上げようと思いまして
ええ、これを差し上げます。上納金の代わりと言っては何ですが、これをお収め下さい」 土下座しながらアタッシュケースを渡されたので、受け取ることにする
「有名な外国人のリークです。お好きなタイミングでお使いください
世界各地に散らばった社員が独自に調査したものです」
これはこれは、てっきり最新の兵器の設計図かなんかと思ったよ
それよりずっとリーズナブルで、破壊力もあるだろう
最高のプレゼントを頂いてしまったよ
今日一日だけは、こいつに付き合ってやってもいいかなと思い始めたが、高圧的な態度を取り続けてしまった手前、自分から折れることはできなかった
これも大統領の宿命だ。仕方あるまい
「何だ？」
更なる貢ぎ物を期待したつもりだった
「お気に召しませんでしたか？」
期待外れだ。これで手一杯らしい
「そんなもん、我が党がとっくに調べ済みだろう」
嘘をついた。まぁ部分的に重複はあるだろうが、知らない情報もありそうだ
こうでも言わないと党の権威が薄れかねない
良くやった。褒めて遣わす
ゆっくりと立ち上がると、アタッシュケースを持ち、家を後にした
ありがとう
――エーベルハルト 第百五十四話 ニトラム・ディーフコル
ニトラム・ディーフコルという会社がある
世界最強の軍事企業だ
世間には公にされていない、秘密裏に存在する会社である
これに投入される資金は年々増えて行っており、今では1000兆円を越える
しかし、世界が平和になった後も、外部の人間には誰にも知られることもなく、ひっそりと存在していたのだ
何故、こんな会社が？
疑問に思うだろうが、この会社は裏から世界を支えているのである
平和な世の中でも些細な事件や事故はある
一秒でも早く軍隊と投入し一揆を収めたい。一秒でも早く現場に駆け付けたい刑事、消防車、警察官、救急車
彼らを一秒でも早く自らの戦場へと送り届けたい
そんな思いが彼らを革新へと導いた
地球に生きてる者は、誰でもこの会社に、無自覚で資金を提供しているのである
そして、我々が築き上げた平和の上でのうのうと暮らしている 今回は、この会社がまだ現役バリバリで絶好調でノリノリで軍拡をしていたときの話をしよう
我はエーミッヒと二人きりで極秘の会議をしていた
「さて、エーベルハルトさん、今月の軍拡ですが、どうしましょう？」
こっちがどうしましょうだよ。もう、エーミッヒちゃん
何か手を打たないと
三菱重工業や三菱電機、川崎重工業等、日本の代表的な軍需企業だけでは手が回らなかった
日本を纏め上げ、世界を相手取っても圧倒的に勝てる程の、そんな超巨大企業が欲しかった
「そうだな。ニトラム・ディーフコルに取り入るというのはどうだ？」
「日本の会社で助かりましたね。我々で独占してしまえばいいんですよ」
危ない橋を渡ろうとしていた
この会社は、独自の私兵を持っていて、イラク戦争にも参加していた会社だ
一言で言うと、危ない
現地で非道な殺害をして回っていて、米軍からも煙たがられていた
しかし、実績はある
取り入る事が出来れば、百人力だが…
「そうだ」
「何ですか？」
トヨタの社長から貰ったリークをエーミッヒに見せた
机にしまっておいたのだ
「これは…」
「それをそこの社長に渡すのだ」
細工は流流仕上げを御覧じろとやらだ
これが日本を世界最強国家にまで伸し上げた最たる理由である
ま、実はチーム戦なんだがな
ぺらぺらとリークの束をめくっていくエーミッヒ
「承知しました」 我の目論見通り、ニトラム・ディーフコフはそれを使ってリークをちらつかせ、世界のトップを次々と引き抜いていった
科学者を筆頭に、世界中の知能が集うことになったのである
日本傘下の軍需多国籍企業
最高じゃないか？
正直、これに敵う者は地球上に存在しないのではないかと思った
しかし、その代償にシビリアンコントロールを失うことになるのだが
憂うものがあるとすれば、国民だ
更に生活に苦痛が伴うことになるだろう
この世で一番偉いのは我か？統合幕僚長とはいい勝負か？嫌、奴のが強いだろうし…
それともニトラム・ディーフコフの社長か？インフィットのボスか？まさかトヨタの社長か？
考えに考えた挙句、結局答えは出なかった
嫌、すぐに出たのかもしれない
しかし、認める事が出来なかったのだ それと、ゴキブリのように暗躍するインフィットなのだが、その存在は全く掴めなかった
こいつら、どこの誰で、一体どこに隠れてるというのだ？
この存在だけが我が党のウィークポイントだったが、それを除けば概ね情勢は良かった
かのように見えたのだ
かつての我には…
まさかあのリークをこっそり持ち出して味方を大勢作ってるとは思わなかったよ
自分の傍に自分より上がいることが嫌だったんだろう？
盛大などっきりを仕掛けられたよ(笑)
友達だと思ったのに
――エーベルハルト 第百五十五話 どっきり前夜
どっきり前夜、やけにみんな優しかった
そういうことか
殺す気満々だったんだな、エーミッヒ
ところで我、死後の世界にやけに興味があった
死んだらどうなるんだろうってずっと思ってて、でも結局答えは出なかった
そもそも魂なんてものがあるのか？まず、現実には物質があるだろう？
物質として観測されないものがどうして存在するのか？
考えてみれば簡単だ。そんなものは実は存在しないのだが、現に御許はあるし、死んだ人間にも合う事ができてる
これはどういうことか？というと、こんな言葉がある
エーベルハルトちゃんは私の心の中でずっと生き続けてるよ、と
誰かが亡くなったときのお決まりのセリフなのだが、これが実は真実なのである
まず、この機能は人間に元々備わっている機能(自覚がある者は殆どいない)で、あるきっかけを満たすと出現する
そう、脳内に妄想として現れるのである
人間には物を記憶するという機能がある
要は、今まで見たり聞いたり、会ってきた人間が(死者も含む)妄想に現れるのだ
普通に死者とも喋れるし、予言めいたことを教えてくれたりする
発現の条件なのだが、これはいとも簡単である。人を殺せばいいのだ
人の脳みその中に人が住む、ということなので(言葉が軽いように思われるが、これは大変なことなのだ)
悪人を選んで発現するのだ やけに、生前高い所から落ちて死ぬ妄想がちらつくとおもったら、これのせいだったのだな
例えば、ライト兄弟がいるだろう？飛行機を発明した、あの有名な
しかし、手柄はライト兄弟のものだ
誰も飛行機のアイデアを彼らが授かったとは思ってもいまい
善意でそうすることもある。歴史上の預言者もこの類だ。彼らは天から言葉が降って来たと思い込んでいる
だが、悪意を持って(脳内に)出現することもある
要するにお迎えが来ていたのだ
I AM GOD
――エーベルハルト 第百五十六話 明日はどっきり
夜、あまり寝付けなかった
寝返りを繰り返し打っていると、アダムの一人称視点でイヴとセックスしてる妄想がちらついた
丁度我も左側をベッドに着けていたし、妄想の方も左を地面に着けていた
目の前にいる筈もないイヴと繋がっていた
異変に気付くには時間はかからなかった
気でも狂ったのだろうか？
暫く、このどこかから送り付けられてくる妄想を見てやることにする
「血生臭い…」
「え？」
不意を突かれ、声が出てしまった
イヴの瞳に映るのは、木に吊るされたいくつもの人間…
「(これ全員…死んでる…)」
「見ーたーなー」
妄想は途切れた
我は眠ってしまったようだ 第百五十七話 夜明け
朝起きた後、暫くベッドの上で寝っ転がっていた
昨日のことが引っ掛かっていたし、それもあるのだが、やはり我の頭にあるのは統合幕僚長とニトラム・ディーフコルとインフィットだった
一人では殺せないと思ってた
今の我には、何か足りないと思ってたのだ
そう、常識離れした非現実的な超能力めいた力が
死んだら何か分かることもあるかも知れん
そう思い、ベッドから起きた
さて、今日は誕生日だったな
なんかくれんの？
――エーベルハルト 第百五十八話 通勤前
奇妙な予感めいたものが通勤前の我を突き動かした
統合幕僚長とニトラム・ディーフコルの社長を呼び出したのだ
場所は駅前の喫茶店
COFFEE YAMAGOYAだ
喫茶店のドアを開けると、例の二人がいた
そして驚くことに、インフィットのボスがいた
この顔は知ってる。街中に張り紙がされてるからな
瞬間湯沸かし器とはこのことだろう
右のホルスターからベレッタを取り出し、奴の額ど真ん中に狙いを付けるのも束の間、統合幕僚長に取り押さえられてしまう
床に突っ伏す我
「な、何をする！離せ！」
「静かにされたまえ」
「う、うわー！」
勝てないことは分かってた。これ以上やられないために、わざと弱いふりをする
屈辱だった
必要以上に暴れたため、腕を更にきつくされる
「やめてくれー！」
「落ち着きたまえ。悪いようにはしない」
腕のロックは数分後に解かれた
おまけで殺意満点だ
統合幕僚長に脇腹に銃を突き付けられながら世界最強クラスのクソ野郎がこの場にいることについての説明を受けた
おまけに今日我の身に降りかかるできごとの予定も教えてくれた 内容はこうだ
我は今日どっきりをしかけられるらしい
何のことはない、ただの誕生日プレゼントだった
どっきりそのものがそうなのだが、大取はエーンリッヒとのことだった
ああ、本会議場で我に悪態をついたものだな
まだ覚えているぞ
そして我にとってはこれが最大のプレゼントだった
なんと、インフィットが傘下に下ったそうだ
なるほど、それで
今日は良い日だ
しかし、押さえつけられたことに加え(普通あんな長くやるか？)、やはり統合幕僚長の方が強いという厳然たる事実に対し頭に来ていた
それと、やはりニトラム・ディーフコル社の抑えが利かない(これはこれから先に進むにつれてどんどん酷くなるだろう)(自分で調子に乗らせといてなんだが)ということに対してもだ
それと、やはり傘下に下ったとはいえ、この手でぶっ殺したい気持ちで満々だった
世界は、複雑怪奇な巨大な歯車で回っていて、インフィットも残念ながらこれに組み込まれている
それに、あんなレベルの低い人間(エーンリッヒ)をけしかけられることになるなんて、世の中気に入らないことだらけだ
これが我にとってどれ程頭に来ることで恥ずかしいことか。諸君ら想像できるか？
何についても一番じゃなきゃいけないんだよ。トップに求められているものは常にベストだからだ
せっかくだ、雑談するか
因みに、隙(恐らくこれはない)を見せたらすぐにベレッタを抜き全員殺す 「大統領はキレ過ぎる嫌いがあるからして、予め教えておいたほうがよろしいかと思いまして」
エーミリハイトが切り出した
予め教えたらそれはどっきりではないだろう
「…」
しかし喋る気にはなれなかった
はらわたが煮えくり返っていたからだ
「ウェスティンホテル東京での会食ですが、これに私も参加します。仕事が終わったら行きますよ」
ニトラム・ディーフコル社長のエストライヒャーが言う
癖のない真っすぐな金髪は腰まで届いていて、前髪がきっちりと整えられている
青い目が無表情と相まって余計冷酷さを感じさせていた
こいつとはもう二度と会いたくなかった
今日呼び出したのは、今日という日自体に嫌な予感がしたので、何か知ってる情報はないかと聞きだすためだった
まさか我の知らないところで盛り上がってるとは露知らず
これからは書面上のやり取りだけにしようと決めた
って、会食に参加するだと？
ではその前に退散するとしよう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
