□陸上自衛隊の主要装備として長らく配備されていた74式戦車も、元気で走る姿が見られるのはあと少しとなりました。それに伴い、消えゆく伝統の部隊マークと、歩み出したばかりの新部隊マーク、その両方を滋賀県で見てきました。

□まもなく消える伝統の戦車隊マーク
 晴天に恵まれた2023年9月3日、滋賀県高島市にある陸上自衛隊今津駐屯地で創立71周年記念行事が開催されました。今回は、あと半年ほどで退役を迎える74式戦車を同地で見学できる最後の機会であることから、筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)もその勇姿を目に焼き付けようと、足を運んできました。

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今津駐屯地創立記念行事で観閲行進を行う第10戦車大隊第2戦車中隊の74式戦車。来年はもうこの姿を見ることはできない(吉川和篤撮影)。

 ここ今津駐屯地には、名古屋市に司令部を置く第10師団の隷下部隊である第10戦車大隊が配置されています。ただ、同大隊が装備している74式戦車が今年度末、すなわち2024年3月をもって完全退役する予定です。加えて同時期に第10戦車大隊も春日井駐屯地(愛知県春日井市)所在の第10偵察隊と統合して、新たに「第10偵察戦闘大隊(仮称)」へ改編される計画です。

 第10偵察戦闘大隊の主な装備は16式機動戦闘車や87式偵察警戒車、偵察用オートバイであり、戦車は1両も配備されません。一方、どこの駐屯地を拠点とするかは、2023年9月時点では明らかになっていません。そのため、ひょっとしたら今津駐屯地に所在し続けるかもしれないものの、現在の部隊名で、かつ戦車をメイン装備にするのは、あと半年ほどです。

 振り返ると、第10戦車大隊が新編されたのは、いまから60年以上前の1962(昭和37)年です。当初はアメリカ軍から供与されたM24軽戦車を装備していましたが、その後国産の61式戦車へ更新され、1990年ごろから現用の74式戦車を装備するようになりました。

 この間、一貫して砲塔側面に描かれてきたのが、「鯱(しゃちほこ)」マークです。これは第10戦車大隊が所属する第10師団が、名古屋城のシンボルである金の鯱をモチーフに師団シンボルマークを作ったのに因んで制定されたもので、基本的には同じデザインになっています。

 ただ、この伝統ある大隊マークも部隊自体が廃止・統合されるため、今年度末をもって消える模様です。まだ新しいマークは発表されていませんが、すでにデザイン候補は部隊内で検討中というハナシもあることから、来年度の創立記念行事でどのような部隊マークが登場するのか、今から想像するのも楽しみと言えるでしょう。

●Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)
1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「イタリア軍入門」「日本の英国戦車写真集」など。

続きは元ソースからご覧下さい。
□「獅子」から「剣歯虎」へ! 生まれ変わった今津の戦車部隊
https://trafficnews.jp/post/128045/2
□74式戦車の部品に見た技術の継承
https://trafficnews.jp/post/128045/3
□【動画】これが最後! 今津の記念行事で行進する74式戦車
https://trafficnews.jp/post/128045/4

2023.09.09
乗りものニュース
https://trafficnews.jp/post/128045