2023.01.27

新たな魔女っ子もののスタンダードとなった名作『魔法のプリンセス ミンキーモモ』。しかし、さまざまな状況から視聴者の予想もつかなかった衝撃的な展開が放送されることになりました。その事情について振り返ってみましょう。

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新たな魔女っ子シリーズの金字塔となった『ミンキーモモ』

『魔法のプリンセス ミンキーモモ』 Blu-ray Disc BOX 3(バンダイビジュアル)
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 本日1月27日は、1983年に『魔法のプリンセス ミンキーモモ』第46話「夢のフェナリナーサ」が放映された日です。放送から40年の時が経ちます。この第46話は本作の第1部最終回で、当時の視聴者に大きな衝撃を与えたエピソードでした。

 本作は女児向けに作られた、「魔女っ子もの」と呼ばれるジャンルのTVアニメ作品です。人びとが夢を失ったことで、夢と魔法の国「フェナリナーサ」は地球から離れてしまいました。フェナリナーサを呼び戻すため、プリンセスであるミンキーモモが、人びとに夢を思い出させるため奔走するという物語でした。

 この際、モモは大人になる魔法で18歳の姿に変身します。その変身シーンを当時の流行だった新体操を思わせるダンスでバンクシーンにしたのが、それまでの魔女っ子ものになかった発想です。以降の魔女っ子もので「変身バンク」は定番となり、現代の「プリキュア」シリーズにまで受け継がれる伝統的な手法となりました。

 また、「変身して大人になる」というパターンも以降の魔女っ子ものに受け継がれたもので、それまではあまりクローズアップされてこなかった要素です。これは本作のテーマが「夢」で、メインターゲットとなる女児層に合わせたものでした。大人になって夢をかなえたいというのは、当時の子供たちにとって一番身近な想いだったと思います。

 しかし、その大人も満足させるクオリティの高い内容と作画レベルから、本作は本来のターゲットでなかったアニメファンにも高評価を得る作品となりました。

 その一端が、総監督の湯山邦彦さん、原案・構成の首藤剛志さんというコンビにあります。後にTVアニメ『ポケットモンスター』を立ち上げたふたりと言えば、納得される方も多いことでしょう。この湯山さんと首藤さんのふたりが、単なる子供向け作品を超えた『ミンキーモモ』の物語を生み出しました。

 さらに当時の女性声優として高い人気を誇っていた小山茉美さんが、主人公であるミンキーモモを演じ、主題歌を担当していたことが高い年齢層にもアピールできた要因です。そのため、アニメ雑誌での扱いも当初から大きなもので、全年齢層が楽しめる作品となりました。

 その一方、本来の目的である女児層の人気は、可もなく不可もないという平均点だったようです。スポンサーのポピーで販売する関連オモチャの売り上げも、それほど高いものではありませんでした。そのため、番組は本来の予定である1年(52話)を前に42話で打ち切りになることが決まります。

 しかし、これにアニメスタッフが猛反発しました。そこで広告代理店である読売広告社がなかに入る形で46話まで製作するということになり、第43話から最終回に向けた伏線を入れ込んだストーリーとなります。そして、後世に残ると言われた衝撃の第46話「夢のフェナリナーサ」へと続くことになりました。

※以下には『魔法のプリンセス ミンキーモモ』の結末に関する詳しい記述があります。閲覧する場合はご注意下さい。

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