マグミクス2022.05.19
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吉岡里帆さん、中村倫也さんらが出演する実写映画『ハケンアニメ!』は、アニメ業界を舞台にしたバックステージものです。「面白い作品にしたい」という想いと放送スケジュールとの狭間で揺れる監督たちの葛藤劇に加え、一流スタッフらが競作した2本の劇中アニメのクオリティの高さが話題になりそうです。

過酷な運命に立ち向かい、強大な敵と日夜戦うスーパーヒーロー&ヒロインたち。そんなアニメ作品を生み出しているアニメ業界の人びとも、容赦ない締め切りや視聴率に向き合うというハードな日々を過ごしています。直木賞作家であり、『映画 ドラえもん のび太の月面探査記』(2019年)の脚本も手掛けている辻村深月さんが2014年に刊行した小説『ハケンアニメ!』(マガジンハウス)が、実写映画として完成しました。

 アニメ業界で働く人たちを描いた映画『ハケンアニメ!』には、吉岡里帆さん、中村倫也さん、柄本佑さん、尾野真千子さんら、人気俳優が配役されています。戦国時代さながらに多くのアニメ作品がしのぎを削り合う昨今のTVアニメの制作事情が、ドラマチックに描かれています。吉野耕平監督は、大ヒットアニメ『君の名は。』(2016年)にCGクリエイターとして参加したキャリアの持ち主です。

 より面白い作品に仕上げるために、締め切りギリギリまで粘るスタッフたちの熱い想いに、キャラクターに命を吹き込む声優陣の心情なども交えた多彩な視点によるストーリー構成に加え、注目したいのは2本の劇中アニメ『運命戦線リデルライト』と『サウンドバック 奏の石』です。「本当に作品化すればいいのに」と思うくらい、魅力的な設定かつ完成度の高いビジュアルとなっています。

 2022年5月20日(金)より劇場公開される映画『ハケンアニメ!』の見どころを紹介します。

ハケンの座を競う新人監督vsカリスマ監督
 大手アニメ会社に勤める斎藤瞳(吉岡里帆)が、初めて監督に起用されたところから物語は始まります。巨大ロボットもの『サウンドバック 奏の石』で、TVシリーズの1クールを任されたのです。絵コンテやスタッフとの打ち合わせで手いっぱいの瞳でしたが、プロデューサーの行城(柄本佑)から雑誌インタビューや公開イベントにも引っ張りだされ、容量オーバー寸前です。大好きなエクレアを食べる時間すらありません。

 その瞳にライバルとして立ち塞がるのが、王子千晴(中村倫也)です。王子はかつて監督デビュー作『光のヨスガ』を大ヒットさせ、大学生だった瞳は『光のヨスガ』に感銘してアニメ業界に入ったという経緯がありました。

 カリスマ的人気を誇る王子の新作は、らつ腕プロデューサーの有科(尾野真千子)と組んだ『運命戦線リデルライト』。バイクレースをモチーフにした魔法少女ものです。『サウンドバック 奏の石』(以下『サバク』)と『運命戦線リデルライト』(以下『リデル』)は、同じ曜日、同じ時間枠での放送となります。

 放送開始前のトークショーで、憧れの王子と対面した瞳は、テンションが上がり過ぎ、「ハケン取ります!」と宣言するのでした。「ハケン(覇権)アニメ」とは、そのクールでの視聴率やDVDの売り上げなど、すべてにおいてトップに立った作品に与えられる称号です。『リデル』と『サバク』は、ハケンアニメの座をめぐって、激しいバトルを繰り広げます。

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