0001鳥獣戯画 ★
2021/12/08(水) 20:33:21.21ID:CAP_USERhttps://magmix.jp/post/70171
円谷プロにより製作された『ミラーマン』は、ウルトラシリーズとは異なる路線を目指した意欲作でした。しかし、その展開は思うようにいきませんでした。背景には、兄弟とも言える裏番組との戦いがあったのです。
本日2021年12月5日は、半世紀前の1971年にフジテレビで特撮ヒーロー番組『ミラーマン』が放送開始した日。つまり、2021年は放送50周年の節目になります。
『ミラーマン』は『ウルトラマン』をはじめとする円谷プロが制作した巨大ヒーロー特撮番組。当時の子供たちの人気も高く、後述するようにリメイク作品も複数あるので比較的、知名度の高いヒーローのひとりでしょう。しかし、TV放送までには紆余曲折がありました。
もともと本作の企画は1969年に円谷プロを退社し、その後は沖縄県に帰郷した脚本家の金城哲夫さんが置き土産として残したものだったそうです。それから本格的なTV番組として企画されていくのですが、その間に小学館の学習雑誌などの児童誌で本編とは異なるデザインのミラーマンが活躍するマンガが連載され、そのデザインのソフビ人形がブルマァクで発売されるなど、本作の知名度を上げることに貢献していました。
余談ですが、このマンガ版ミラーマンのデザインは、後のリメイクとなるビデオ作品『ミラーマンREFLEX(ミラーマンリフレックス)』(2006年)や、劇場版『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)に登場したミラーナイトに活かされています。
その後、円谷プロは在京5局及び系列局に本作を売り込みます。一度は『巨人の星』の後番組に決まりかかるも実現には至らず、原作者の許諾が下りなくて製作中止となったアニメ作品『長くつ下のピッピ』の代わりとして、フジテレビでの放送が決まりました。奇しくも、このふたつの放送枠のメインスポンサーは大塚製薬グループでした。
こうして放送開始が決まった本作は、同じ時期の円谷プロ作品『帰ってきたウルトラマン』との差別化を図るため、子供向けながらもドラマ作りに重点を置いたシリアスな作風を目指して作られます。そして、「ウルトラシリーズではやらなかったことをやる」ということを念頭に置いて世界観が構築されました。
ウルトラシリーズのような戦闘的な防衛チームでなく、兵器を持たない科学者たちの専門チーム「SGM」を生み出し、主人公である鏡京太郎はチームの一員でなく新聞社のカメラマンという設定になります。この他にもインベーダーが作品全体を通しての敵としてレギュラーに据えられたり、同じ怪獣が何度も出たりする点も、ウルトラシリーズとの差別化のためだったそうです。
こうして円谷プロの意欲作として放送開始された『ミラーマン』ですが、思わぬライバルとの戦いが待ち受けていました。
『ミラーマン』最大のライバルとなったのが、TBSで1週間前に放送を開始した特撮ヒーロー作品の『シルバー仮面』でした。皮肉にも、両番組ともこれまでにないシリアス路線の特撮ヒーロー番組として企画された、兄弟のような存在だったのです。
もともとTBSの日曜日19時からの30分枠は、「タケダアワー」と呼ばれる「ウルトラシリーズ」が放送されていた時間帯でした。円谷プロにとって古巣とも呼べる枠で、しかも『シルバー仮面』のスタッフには、かつてウルトラシリーズを一緒に製作した人も多くいたのです。
ウルトラシリーズ終了後、タケダアワーはさまざまな作品を放送してきました。円谷プロは『ウルトラセブン』の後番組『怪奇大作戦』を最後に枠から撤退しています。その後はウルトラシリーズの一作である『キャプテンウルトラ』を製作していた縁で、東映の特撮時代劇『妖術武芸帳』を放送するも打ち切りとなりました。しかし、穴埋めで製作したスポコンものの『柔道一直線』が予想外のヒットとなり、同じくスポコンものの『ガッツジュン』を経て、ふたたび特撮ものである『シルバー仮面』に戻ってきたのでした。
一方の『ミラーマン』も、前番組がスポコンアニメの代表作ともいえる『アタックNo.1』で、そのころからフジテレビは激しい視聴率争いを続けていました。しかも、フジテレビが大塚製薬、TBSは武田薬品と、スポンサー同士も同系列のライバル関係だったのです。さらに、この放送枠には子供向けだけでなく、85年まで続いたNET (現在のテレビ朝日)の長寿番組『アップダウンクイズ』もありました。
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