ふたまん2021.04.16
https://futaman.futabanet.jp/articles/-/120451

■サッカーに青春をかける女子フットボーラーの物語
最初に紹介する作品は、地方大会止まりの女子サッカー弱小校の少女たちが、サッカーに情熱を傾ける姿を描いた『さよなら私のクラマー』(TOKYO MXほか)です。

「女子サッカー」はオリンピック種目で、2011年には「なでしこジャパン」がワールドカップを制覇するなど輝かしい成績を挙げました。ただ、男子サッカーあたりと比べるとアニメ作品に取り上げられることも少ないので、今回はあえてマイナースポーツの代表としてチョイスさせていただきました。

本作は「埼玉県立蕨青南高校」の女子サッカー部が舞台。主人公の恩田希が、元日本代表であり蕨青南のOGである能見奈緒子をコーチに迎え、中学時代に活躍した選手たちを始めとする個性的な面々と頂点を目指すというストーリーです。

サッカーアニメといえば、ド派手な必殺シュートが飛び交うものを想像しがちですが、本作では地に足のついたリアルなサッカーを展開。そういう意味では地味に見えるかもしれませんが、情熱的な少女たちがサッカーに青春をかける魅力的な姿を見ることができます。

本作の原作漫画を手がけたのは、アニメや実写映画にもなった『四月は君の嘘』の新川直司氏。すでにテレビアニメ版の前日譚ともいえる中学生時代の希が描かれる劇場版(6月11日公開)の公開も決定しており、両方あわせて見ることでより作品を深く楽しめそうです。

■インドの国技をアニメ化!
2作品目に取り上げたいのは、南アジア諸国で数千年の歴史を持ち、インドの国技でもあるスポーツ「カバディ」をテーマにした『灼熱カバディ』(テレビ東京系)です。

カバディはオリンピック種目ではありませんが、アジアのオリンピックとも呼ばれる「アジア競技大会」の正式種目となっているスポーツ。もしかすると、いずれはオリンピックの正式種目にも選ばれるかもしれませんね。

サッカーの名選手だった主人公・宵越竜哉は「私立能京高等学校」に進学するも、スポーツとは無縁の生活に。しかし、とある理由からしぶしぶカバディ部に入部することとなり、次第にカバディの魅力にのめりこんでいくという物語です。

「カバディってどんなスポーツ?」と聞かれ、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。一応アニメやルールの動画などを見た筆者のイメージでは「ボールの代わりに人間を使って行う、格闘技のようなドッジボール」といった印象。

試合を見ると想像以上に駆け引きのあるスポーツで、指先や足先といった末端の動きがポイントです。アニメ『灼熱カバディ』では、まだ本格的な試合シーンは放送されていませんが、PVではリアルな試合を意識した映像が見られるので、今後の熱い試合描写に期待したいところですね。

『灼熱カバディ』は、武蔵野創氏が小学館の携帯アプリ「マンガワン」や配信サイト「裏サンデー」などで連載中のコミックが原作となっています。

■男子ならではのダイナミックな演技に注目!
最後に紹介したいのは「男子新体操」を扱ったオリジナルアニメ『バクテン!!』(フジテレビ系)です。新体操といえば、華やかな女子新体操をイメージするかと思いますが、実は男子新体操競技も存在するんです。しかも、男子新体操は日本発祥!

さて、そんな男子新体操に青春をかけた男子高校生を描く『バクテン!!』の舞台は、宮城県にある“アオ高”こと私立蒼秀館高等学校。中学最後の夏に男子新体操に魅せられた主人公・双葉翔太郎が、アオ高に入学し、男子新体操の門を叩く……というストーリーです。

このアニメの見どころはなんといっても、競技中の選手の動き。といっても、現在アニメではしばらくは地味な基礎練習的なシーンが続きそうで、競技中のシーンが描かれたのは第1話のAパート中の3分ほど。それでも床の上をダイナミックに舞う4人の選手たちの躍動感に目を奪われました。

団体戦は本来6人(最低4人)で行うもののようで、主人公の翔太郎と男子新体操ジュニア大会で準優勝の実績を持つ新入部員・美里良夜の加入により、フルメンバーで繰り広げられる団体競技シーンは今から楽しみ!

ちなみに同アニメは団体競技を軸に物語が進んでいきそうですが、男子新体操には個人競技もあるそうです。もしかしたら、そちらも描かれるのかもしれませんね。

■スポーツにかける情熱に差はない!
今期は偶然にもマイナースポーツ系を扱う作品がそろう、面白いラインナップとなりました。まだ知名度がないスポーツでも、そこに打ちこむ情熱や感動に差はありません。むしろ知らない競技に対する知見を高める機会として、アニメというのはうってつけなのかも。
(一部略)