スポーツ報知2021年3月27日 6時0分
https://hochi.news/articles/20210326-OHT1T50464.html

 スポーツ報知の相撲漫画で長年親しまれ、元力士で日本相撲協会公認の漫画家でもある琴剣淳弥(本名・宮田登)さんが26日午前5時10分、千葉県内の病院で死去した。60歳だった。家族の意向で死因は公表しない。琴剣さんは最高位は三段目だったが、現役時代から絵の腕前は角界では有名で、引退後は漫画家として活躍した。通夜、告別式は29、30日に営まれる。

 家族によると、琴剣さんは21日の夜に体調不良を訴え、救急搬送され入院。懸命の治療が続けられていたが、26日に帰らぬ人となった。

 明るく人なつっこい性格、何よりも相撲愛あふれる温かな作風で親しまれた。場所中はスポーツ報知に15日間、イラストを寄せてくれていたが、利き腕の右手の神経麻痺(まひ)の影響で、今年1月の初場所から一時休載となっていた。ただ、「リハビリを頑張っていますので、完治まで今しばらくお待ちいただけたら幸いです」と、懸命に復帰を目指していた。5月の夏場所での連載再開を楽しみにしていたという。

 佐渡ケ嶽部屋に入門し、1976年春場所で初土俵。最高位は東三段目46枚目だったが、現役中から評判だった絵の世界で才能が花開いた。86年秋場所限りで引退後、90年から漫画家としての活動を開始。本紙では91年秋場所から連載を始めて以来、約30年にわたり紙面を彩った。相撲雑誌など多くの連載も担当した。

 面倒見がよく、気遣いもできる性格から、横綱・白鵬、秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)ら、角界関係者から慕われた。元横綱・稀勢の里の荒磯親方の引退相撲では、記念グッズなどの製作にも携わった。日本相撲協会発行の冊子や、白鵬の初の児童書の絵も担当。稀勢の里らのイラストはジャポニカ学習帳の表紙になった。両国国技館の売店でもグッズが販売されている。関脇・隆の勝ら現役力士の化粧まわしのデザインにも関わっていた。

 近年のスポーツ報知では、新型コロナの影響で中止となった昨年夏場所中に自ら関取衆に電話取材し、「ステイホーム」の様子をイラストで紹介。力士たちが心を開いている琴剣さんだからこそ聞けるエピソードを披露した。角界とファンとの橋渡し役として、さらなる活躍を期待された中での訃報(ふほう)だった。

 ◆琴剣 淳弥(ことつるぎ・じゅんや)本名・宮田登。1960年7月6日、福岡県田川郡出身。佐渡ケ嶽部屋の元大相撲力士。15歳で先代の佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)にスカウトされ、76年春場所で初土俵。86年の現役引退後、漫画家としての活動を始めた。日本相撲協会公認の漫画家として活躍。スポーツ報知では本場所中の15日間、相撲イラストを描いた。

 ◇故・琴剣氏の葬儀日程

 ▼通夜 3月29日午後6時

 ▼葬式 30日午前9時

 ▼会場 ともにセレモ船橋駅北口ホール