2019年09月23日 11時00分 公開
今日書きたいことはこれくらい:
なぜ「キン肉マン マッスルタッグマッチ」は対戦ゲームにおける極めて重大なマイルストーンなのか?
ビデオゲーム業界に「キャラ性能差」を持ち込んだのは誰だったのか、という話。
[しんざき,ねとらぼ]

 突然で申し訳ないんですが、初代の「ストリートファイターII」で、ザンギエフを使ってダルシムと対戦したことってありますか? あるいは、ザンギエフを使ってガイルと対戦したことは?

ライター:しんざき


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しんざき プロフィール
SE、ケーナ奏者、三児の父。ダライアス外伝をこよなく愛する横シューターであり、今でも度々鯨ルートに挑んではシャコのばらまき弾にブチ切れている。好きなイーアルカンフーの敵キャラはタオ。
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 ご存じの通り、多くの対戦格闘ゲームには「キャラ差」というものがあります。使用するキャラクターには明確な性能差があって、程度の差こそあれ「強い」キャラもいれば「弱い」キャラもいます。そして、「弱い」キャラで「強い」キャラに立ち向かうためには、並々ならぬ努力と研究が必要とされます。

 初代「ストリートファイターII」で言うと、前述のザンギエフは基本的に「弱い」キャラクターとして扱われています。後々研究によって改善された部分もあるものの、動きは遅い、突進技はない、飛び道具はないで、砲台キャラに近づくためには並々ならぬ苦労が必要でした。

 当初「終わっている」組み合わせとして取り沙汰されていたのは、主にザンギエフ対ガイルでした。必死に近づいてスクリューを狙うザンギを一生ソニックとサマソで落とし続けるガイル、という光景はどの対戦台でも日常的に見られたもので、ある種のお約束展開、パンをくわえて走る少女が曲がり角で運命の人に衝突するようなものでした。

https://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1909/22/l_nt_190922shinzaki02.jpg

 その後、さまざまな研究によってこの組み合わせは多少マシになったのですが、ザンギエフ対ダルシムの方が実ははるかにキツい、ということがもう少し後になって判明することになります。当時のザンギエフ使いの努力、苦労、そして創意工夫と叡知は、千年の歴史に残すべき結晶だと思います。

 「わざわざ弱キャラを使わなければいいじゃん」と思いますか? 「お金を出してゲームするのに、弱いキャラでわざわざ苦労して何が楽しいの?」と感じるでしょうか? なるほど、その通り。全くその通りです。あなたは正しい。何も間違っていない。

 けれど、あれは熱かった。誰が何と言おうと絶対に、間違いなく、熱かったんです。



→「公平でない」からこその熱さ
→「キャラ差があることによって発生する遊び」のルーツは「キン肉マン」である
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1909/22/news030.html