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アニメ「伝説巨神イデオン 接触篇」「伝説巨神イデオン 発動篇」が2月11日、「さぬき映画祭2019」を開催中の香川・イオンシネマ東高松で上映され、総監督の富野由悠季氏、映画祭ディレクターの本広克行氏が登壇した。

1979年放送のTV版「機動戦士ガンダム」に後に制作された「伝説巨神イデオン」は宇宙に進出した2つの種族が無限のエネルギー「イデ」をめぐり、闘いを繰り広げる伝説アニメ。80〜81年のテレビ放送は打ち切りになったが、熱狂的なファンによって人気が再燃し、劇場版が製作された。

富野監督は「接触篇」の上映後に登場。完成後も度々見直したが、「こんなすごい映画とは思わなかった!」と興奮したように話し、満席の観客から拍手を浴びた。「これまでのイデオンの印象は制作状況の悪さもあって、稚拙にしか見えず、作品を通しての感想はなかったが、今回は1作品として見ることができた。作画もひどい。何もかもひどいけど、『こんな話かよ』と驚いた」と話した。

プラモデルや超合金の玩具も持っていたという本広監督は高校の学園祭で、イデオンの巨大な造型物を作った大ファン。物語の素晴らしさを称えると、富野総監督は「人間関係の入れ子構造が上手だなと思った。(自分自身が)経年劣化を起こしていて、だんだん、ああいうことができなくなっている。たったひとつの言葉で人間関係を結びつける。見事だな、と思った」と話した。

劇場版「接触篇」はTV版とは違うアニメーターが担当した。「テレビ版の寄せ集めの印象しかなく、『発動篇』を受けるイントロにもなっていないのでは、と思っていた。オカルトは好きではないが、当時のオカルトブームに引っ張られていることに改めて気づき、映画は必ずしもひとりの意志では作られていない、時代性にも引っ張られるのだなとも思った。こんなことは当時、意識してなかった」と自作を再発見していた。

諸条件は「ガンダム」より劣悪だったそうで。「『(玩具の)金型を作っているから、変更してもらっては困る』と言われて、頭に来た。当時の自分の精神状態はやばかった。それを制御しようとして、うつ病にもなった。(こんな壮大な話は)一人の能力では無理。チャラチャラやっては作れない。いい経験ではあったけども、自分に能力がないことも自覚した。能力があれば、スピルバーグにもなれただろうな」と謙遜していた。

「さぬき映画祭」は11日まで開催。

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