・「とらのあな」約25年の売り上げ上位作品は?
・「平成のオタクカルチャー」を振り返る
・「ワンピース」がランクインしない、とらのあな固有の文化

「総額1億円超え! とらのあな 平成最後の大感謝祭」というものが、とらのあなで始まるそうです。1億という数字もすごいけど、「とらのあなの『平成最後』」って、絶対特殊でしょそれ。他書店とルート違うでしょ。

かつて(というか今もですが)、僕はとらのあなが地元にできてから、コミックスと同人誌を買いに、足繁く通っていました。「その時欲しいものは買わないとだめだ」という意識があったので値段は見ない。気になったら後の自分のために買う、という生活を送っていました。

とらのあなでは、どの時期も、売れ線のコミックスやラノベが大々的に商品展開されていました。ぼくが今もなお愛している作品『けいおん!』が、めちゃくちゃ売れていたことは今でも鮮明に覚えています(もちろん特典目当てに買いに行きましたとも)。

とらのあなといえば、僕にとって2000年代〜2010年代のオタク文化のど真ん中にあるお店です。

ここで売れているものを見れば、平成中盤から後半のオタクコンテンツの潮流を垣間見ることができるのではないか?

ということで今回は、平成に入ってから全ての(※とらのあなが開店して以降)、総売上上位作品を年代順にピックアップしながら、「オタク・サブカル書店から見える平成オタクカルチャー」を振り返ってみようと思います。

同人誌・商業誌、それぞれの商材別売り上げ集計データをもとに記載
※データは「とらのあな」提供。詳細な売り上げ・ランキングは非公開
※年表記はコミックス発売日にあわせています

(中略)

■2002年(平成14年)
『げんしけん』(2002年〜2016年)

■2003年(平成15年)
『よつばと!』(2003年〜)
『涼宮ハルヒの憂鬱(文庫)』(2003年〜)

■2004年(平成16年)
『真月譚月姫』(2004年〜2010年)
『Take moon―武梨えりtypeーmoon作品集』(2004年)

■2005年(平成17年)
『らき☆すた』(2005年〜)

『こどものじかん』(2005年〜2013年)
『ひだまりスケッチ』(2005年〜)

■2006年(平成18年)
『かみちゅ!』(2006年〜2007年)

『GA 芸術科アートデザインクラス』(2006年〜2016年)
『とある科学の超電磁砲』(2007年〜)
『魔法少女リリカルなのはStrikerS THECOMICS』(2007年)
『東方儚月抄 Silent sinne』(2008年)
『けいおん!』(2008年〜2010年)
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(文庫)』(2008年〜2013年)

■2009年(平成21年)
『ソードアート・オンライン(文庫)』(2009年〜)
『僕は友達が少ない(文庫)』(2009年〜2015年)

■2010年(平成22年)
『ドリフターズ』(2010年〜)

■2011年(平成23年)
『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)

■2013年(平成25年)
『艦隊これくしょん-艦これ-アンソロジーコミック 横須賀鎮守府編』(2013年〜)

■混沌と変化し続ける、平成オタクカルチャー

一気に振り返ってきましたが、売り上げからここまで露骨にオタクの本流の歴史が見て取れると、ちょっと嬉しくなります。

自分が好きだった話題の作品はみんなも大好きで、10年以上前、僕と同じく多くのファンがこぞってとらのあなで買ってたんだなぁ。

一方で、『げんしけん』や『おれいも』などから見て取れる、オタク文化の変容っぷりは少々心に刺さるものがあります。移り変わるものも沢山あるということ。

混沌と変化し続ける平成オタクカルチャーと、それを間違いなく牽引してきたとらのあな。その売上の歴史を見ると、酸いも甘いも含めて、マンガ・ラノベ文化を楽しんできた記憶が蘇ります。後悔は本の置き場所以外はなにもない。そして、これからもまだまだ楽しめる!

また、平成最後となったいま、現在の売上上位がどうなっているかも見てみると、最新の「オタク」の姿がちょっとだけ見えておもしろいかもしれません。

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