日本のゲームシーンにテーブルトークRPGの楽しさを広め,国産のファンタジー小説として広く親しまれた「ロードス島戦記」。2018年にはシリーズ30周年を迎え,2019年4月1日には待望の新シリーズの発売が予定されている。

(中略)

■子供の頃からゲーム好き。そしてTRPGに魅せられる

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。水野さんは京都で子供時代を過ごされたそうですが,現在のお仕事に関わるような原体験はあったのでしょうか。

水野氏:
 子供の頃からありとあらゆるゲームが好きでしたね。囲碁,将棋,トランプ,人生ゲーム,魚雷戦ゲーム……ゲームセンターにも入り浸っていました。あかん(関西弁で「駄目な」の意)子供でしたね(笑)。“ウォーゲーム”は高校生の時に仲の良いいとこから「バルジ大作戦」(※3)を教えてもらったのが最初でした。

4Gamer:
 そうした中で安田 均さんに出会い,後にグループSNEに参加するところまでつながると思うのですが,どのようなキッカケだったのでしょう。

水野氏:
 高校生の頃にSF同人誌を作るサークルに入り,そのサークルが主催するコンベンションでゲストとして招待した安田さんのお世話役のようなことをしたのがきっかけで知り合いになりました。僕がゲーム好きだったので神戸の自宅に招いていただいて,一晩中ゲームを遊んだりしましたね。
 ただ,安田さんのゲーム仲間は相手が素人でも手加減しない人たちで,いろいろとひどい目にあいました(笑)。「Dune」(※4)というゲームを初めてプレイした時には,ナビゲーターのプレイヤーに強襲されて,1ターンで滅んだり。「こんなのありですか!?」と聞いたら「これはそういうゲームや!」と言われて,うなずくしかなかったり。

4Gamer:
 まさにボードゲームの通過儀礼があったわけですね(笑)。同じハードコアゲーマーの臭いを水野さんから感じ取ったからこそ,本気のプレイをした……とかでしょうか。

水野氏:
 そうかもしれません(笑)。その後,僕もその伝統を受け継ぎ,初対面の人にも容赦なくプレイするようになりましたから。そのなかで,安田さんはいつも楽しそうにプレイされていました。だから,初心者にもゲームの魅力が伝わるのだろうなと思いましたね。

4Gamer:
 なるほど。そんな経験が,後にTRPGを広める「ロードス島戦記」につながったのかもしれませんね。

水野氏:
 そうですね,自分達がTRPGを楽しんでプレイすれば,それが読者にも伝わるとは思いました。

4Gamer:
 コンピューターゲームとの出会いも同じ頃なのでしょうか。

水野氏:
 ええ。安田さんの家にあったAppleIIのコンパチ機(※5)で,「Wizardry」(※6)を遊ばせていただきました。それから大学に入って自分でパソコンを手に入れるまでは,安田さんの家で(ボードゲームの)例会が終わった後に遊んでいました。

4Gamer:
 当時のパソコンはかなり高価でしたし,持っている友達の家で遊ぶのは“あるある”ですね(笑)。あまり落ち着いてプレイできなかったりもしますけれど。

水野氏:
 そうなんですよね。ある時,ボードゲームの「Civilization(邦題:文明の曙)」(※7)を遊んでいると,例のごとく僕の文明はあっという間に滅ぼされてしまって,手が空いたんです。そこで嬉々としてWizardryを遊びはじめたんですが,Civilizationで「内戦」というイベントが起こるたび,「反乱軍のプレイを担当してくれ」と呼び戻されたりして(笑)。結局,メンバー全員が寝てからひとり徹夜でWizardryを遊ぶみたいことがよくありました。

4Gamer:
 (笑)。そこから,どのようにしてTRPGと出会ったのでしょうか。

水野氏:
 まず,安田さんから「TRPG」という面白い遊びがあるから,英語を読めるならぜひ遊んでください!」と,すごい勢いで勧められました。そこで「Traveller」(※8)のセッションに参加してみたんですが,「自分の手で物語に介入できるなんて,これこそ僕が求めていたものだ!」と,TRPGという概念に魅せられたんですよ。
 そして「D&D」の「赤箱」(※9)を購入して……京都では手に入れられなかったので大阪のゲームショップに行ったのを覚えています。当時は,辞書と首っ引きになりながらマニュアルを読みましたね。

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