名刀が作られた地と伝わる京都府八幡市八幡の相槌(あいつち)神社に、女性参拝者が急増している。これまで知名度が低かったが、本殿などの修復への協力を呼び掛けようと神社がPRしたところ、刀剣好きの「刀剣女子」がツイッターで発信して「バズった(話題が広まった)」。月2回の月次祭(つきなみさい)(1、15日)に御朱印などを求める長蛇の列ができ、宮司らは「良縁に恵まれた」と感謝する。

 今月1日の月次祭には、約100人が詰めかけた。台湾から姉と訪れたサイ・イウェンさん(35)は「インターネットで知り、ずっと来たかった」と笑顔を見せる。刀剣女子になったきっかけは、名刀を擬人化した美男子キャラクターを育てる人気インターネットゲーム「刀剣乱舞」という。

 神社の社伝によると、創建は不詳だが、千年以上前に刀工の安綱(やすつな)と稲荷神が、境内に今もある井戸の水を使って名刀「髭切(ひげきり)」「膝丸(ひざまる)」を作った。幕末の地誌「男山考古録」も同様の伝承を記す。髭切は北野天満宮(京都市上京区)、膝丸は大覚寺(右京区)が所蔵し、刀剣女子に人気だ。

 御香宮神社(京都市伏見区)で神職だった月清子宮司が10年ほど前から相槌神社の神職を兼ね、今年の春から宮司になった。本殿や社務所が老朽化していたため、ホームページや看板でPRを始めたところ、9月に参拝した刀剣女子の1人が髭切と膝丸の「聖地」としてツイッターで協力を呼び掛け、話題が広まったという。

 9月以降、特別公開を含む9日間で全国から約800人が訪れた。刀の絵入りの御朱印や絵馬も人気だ。神社ボランティア3人も刀剣女子。女性(24)は「こんなすてきな場所があるなんて。復興の手伝いをさせてほしい」という。

 今年は大阪府北部地震と台風21号で被害を受け、本殿や社務所の損傷がひどくなっていただけに、月宮司は「ありがたいの一言に尽きる。少しでも多くの人に歴史を知ってもらい、次へとつなげたい」と語る。月次祭の日は午前9時半〜正午に開所し、ホームページでも確認できる。

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