海賊版だと知りながら漫画や写真をダウンロードすることを違法化するべきか。文化庁が29日、著作権法を改正するための検討を始めた。利用者側に働きかけることで、海賊版サイトの運営を立ちゆかなくさせる狙いがある。音楽や動画ではすでに違法化され罰則もあるが、静止画は対象外だった。来月にも具体的な制度設計に入る。

 29日の文化審議会著作権分科会の小委員会で初めて議題に上がった。海賊版対策のため接続遮断を法制化するかどうか政府の検討会議で議論が紛糾する中、「できることから取り組もう」(文化庁の担当者)との思惑がある。

 日本雑誌協会の担当者は、ネット上には漫画以外にも経済誌や写真週刊誌を無料でダウンロードできるサイトがあふれていると指摘。違法化すれば「ダウンロードしてはいけないと知らせることができ抑止効果がある」と訴えた。出版社などでつくるコンテンツ海外流通促進機構(CODA)の担当者は、五つの海賊版サイトの9月までの半年間のダウンロード数などから推計すると被害額は計1085億円になると主張した。

 文化庁によると、海賊版の漫画や記事の画像、写真などを端末にダウンロードして読む行為のほか、ブログなどに載ったイラストや写真が作者や撮影者の許可を得ずに転載されたと知りながら、ブログの画面をそのまま画像として保存することなども違法行為の対象として検討する。ただ、端末に保存せず見ることができる海賊版には効力がないという。

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朝日新聞デジタル
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