クイーンズ大学の研究者であるDayi Lin氏、Cor-Paul Bezemer氏、Ying Zou氏、Ahmed Hassan氏が、
さまざまな側面からSteamレビューを分析した報告書を公開した。レビューとプレイ時間の関係や、
ゲームレビュー特有の特徴などの傾向を分析した、興味深い内容となっている。

今回の調査対象は、2016年3月7日にSteamストアで利用可能だった8025本のゲームのうち、
レビュー数が25件未満のゲームを除外した6224本のタイトルだ。顔文字のみといった内容のないものをフィルタリングし、
10954956件のレビューを抽出している。レビューに記載されているプレイ時間はレビュー投稿時のものを反映していないため、
データ収集時の直近の6分以内に投稿されたレビューのみに絞って別途収集している。
1か月間にわたっての、28159件のレビューを収集している。

1.プレイ時間とレビューの関係。
否定的なレビューは、肯定的なレビューのわずか半分のプレイ時間で投稿される。
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図1は、ゲームを「おすすめする・しない」でレビューを区別した、
レビュー投稿時のプレイ時間分布だ。
調査によると、ゲーマーがレビューを投稿するまでのゲームプレイ時間の中央値は13.5時間となっている。
調査ではレビューを「おすすめする」「しない」に分けて分析することで、
否定的なレビューは肯定的なレビューよりも短時間のプレイで投稿されることを導き出している。
なお、平均値ではなく中央値であることに留意いただきたい。Steamレビューには極端なサンプルが存在するため、
平均値では実相とかけ離れた偏りが出る恐れがあるため、敢えて調査では中央値を使っているものと思われる。

この分析では、2174件の肯定的レビューと6285件の否定的レビューが使用されている。肯定的レビューのプレイ時間の中央値は15.5時間であり、否定的レビューのプレイ時間の中央値は6.6時間である。否定的なレビューなのだから、プレイ時間が短いのは当然と考えられるが、なかには長時間プレイしたにもかかわらずネガティブなレビューが投稿されるケースが存在する。詳細に分析した結果、ゲームコミュニティの環境(ゲームプレイをめちゃくちゃにするプレイヤーがいるなど)、最新のアップデートの品質、ゲームのダウンロード・コンテンツの価格などが、ゲームを気に入っていたプレイヤーの機嫌を損ねているという結論が導き出されている。逆説的には、最初の6時間にゲームの面白さを詰め込めば、肯定的なレビューを得られる可能性が高いといえるのかもしれない。
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ゲームプレイ時間とレビューとの関係で特筆すべきは、基本プレイ無料(F2P)ゲームと有料ゲームの違いだろう。
図2は、F2Pゲームと有料ゲームのレビュー投稿までのプレイ時間分布だ。
F2Pゲームでは約1時間のところに大きな山が出来ており、レビュー投稿が集中していることが見て取れる。
その理由について報告書では「無料ゲームはボリュームが少ない」、
「ゲームにお金を投資しなかったため、プレイヤーが早々に投げ出してしまう」という2つの推測が付け加えられている。
これは、かつて指摘された映画と、テレビドラマの脚本の違いに類似している。有料で観ることが前提の映画と違い、
無料のテレビドラマでは冒頭から視聴者の心をつかまないとチャンネルを変えられてしまうのだ。
何年もかけて開発したゲームであってもF2Pタイトルである限り、1時間以内に面白いと感じさせないと、
ゲーマーは見切りをつけてしまうということだ。長いチュートリアルやルール説明は、ゲームの死に直結するといえるだろう。

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AUTOMATON
http://jp.automaton.am/articles/newsjp/20180511-67622/