JR桃太郎線LRT化で3者合意 運行本数最大2倍、7駅増へ
岡山のJR桃太郎線がLRT化 2市とJR西が合意、本数最大2倍に
4/4(水) 23:37配信 山陽新聞デジタル
http://www.sanyonews.jp/article/694120
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180404-00010006-sanyo-l33

岡山、総社市、JR西日本がLRT化することで合意したJR桃太郎線=備前三門駅
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R桃太郎線のLRT化で合意し、記者会見で握手する(左から)片岡総社市長、大森岡山市長、来島JR西日本社長
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JR桃太郎線の地図
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岡山市、岡山県総社市、JR西日本は4日、岡山―総社間を結ぶJR桃太郎線(吉備線、20・4キロ)をLRT(次世代型路面電車)化することで合意した。
低床車両を導入して運行本数を最大で2倍に増やし、駅を増設することで住民の利便性アップや地域活性化、観光振興を図る。
沿線住民らの意見を踏まえ事業化に向けた基本計画の策定を進め、10年程度の準備期間を経て開業を目指す。

この日、岡山市役所で同市の大森雅夫市長、総社市の片岡聡一市長、JR西の来島達夫社長が非公開のトップ会談で事業概要や費用負担、役割分担などを最終確認した。
JR路線のLRT化は、富山市の「富山ライトレール」に次いで国内2例目となる。

合意内容によると、1時間当たりの運行本数はピークの午前7〜8時台が現行の3本から岡山―備中高松間は6本、備中高松―総社間は4本に増便。
その他の時間帯は同1、2本から3本にする。新たに7カ所の駅を設け、計17駅とする。新駅の場所は基本計画を策定する中で固める方針。

初期投資は約240億円で、負担割合はJR西が約24%(約58億円)▽岡山市が約29%(約70億円)▽総社市が約9%(約21億円)―とし、残りは国補助を活用する。運行経費では、年1億円程度かかる修繕費の半額を両市が負担する。運行はJR西が担う。

運賃(全線は片道410円)に関しては、1日当たり1万1千人の現行利用者数から試算すると20%アップする見込み。ただ、今後の利用予測によっては変動するという。

会談後に会見した3人は、がっちりと握手。代表して内容を説明した大森市長は「LRT化で沿線の生活は大きく変わる。一日も早く実現するよう3者で力を合わせたい」と述べた。

桃太郎線のLRT化は2003年にJRが構想を打ち出した。3者による協議は、両市とJRとの間に費用負担で意見の隔たりがあり難航したが、今年2月のトップ会談などを経て折り合った。

■魅力づくりに期待
JR西日本が構想を打ち出してから15年を経て、JR桃太郎線のLRT化がようやく具体化へ動き出した。
費用負担などで隔たりがあったJR西、岡山、総社市が歩み寄ったのは、少子高齢化を見据えれば、将来にわたる路線維持や沿線活性化に欠かせないと判断したことが背景にある。
軽量車両で新駅の設置費用が比較的安価なLRTは地方都市向きとされ、2006年に国内で初めて採用された富山市では乗客が導入前の約2倍に増えている。
便数増による利便性向上に加え、LRT自体も観光資源となり得るため、導入されれば岡山を代表する観光地・吉備路の新たな魅力づくりが期待できる。

一時計画された備前三門駅(岡山市北区下伊福上町)周辺の高架化は見送られる方向だが、踏切を信号機に切り替えることで一定の渋滞解消効果も見込める。

ただ、LRT化をめぐってはこれまでも沿線住民から「メリットが分かりにくい」という声が聞かれてきた。
両市の費用負担は初期投資で91億円、その後も路線維持のための修繕費で年間5千万円を投じるだけに、沿線だけでなく市民全体の理解を得ることが欠かせない。

会見で大森岡山市長、片岡総社市長はそれぞれ、LRT化を地域交通の再構築や学園都市づくりに活用する考えを示した。今後はJR西との協議を加速させるとともに、将来のまちづくりの起爆剤とする道筋についても早期に示してもらいたい。

■LRTとは
Light Rail Transitの略。
バリアフリー化やエネルギー効率の向上などで従来の路面電車の性能を刷新した都市交通システム。
鉄道に比べ新駅の設置が安価で、バスなど他の公共交通とも連携しやすいとされる。
欧米を中心に導入が進み、市街地活性化に効果を上げている例もある。
国内では富山市で2006年、JRの廃線をLRT化して開業。
停留所の新設や増便で乗客数も伸びた。栃木県の宇都宮市と芳賀町なども22年3月の開業を目指して準備を進めている。