手塚戦犯説を言い続けても何の解決にもならんしなあ
鉄腕アトムの放送開始から55年過ぎ 手塚死去から30年になろうかというのに
そもそも手塚だけに原因があるなら死んでそこでリセットされてるのでは?

手塚治虫エッセイ集2巻 - 手塚治虫 - Google ブックス
https://books.google.co.jp/books?id=OSLXAAAAQBAJ

瀕死のアニメーション 134ページ

そこから先はご覧の通りですよ。
現在、製作費は五百万が加減で、六、七百万ぐらいは
スポンサーは出しますよ。見返りさえあればね。

そうなると、アニメ関係者は、アニメで食おうってことになるわけだ。
だいたい、アニメなんて、食えるわけがないんです。
アニメってのは元来独立プロの劇団とおなじような立場でね。
アニメが好きな連中が集まって、作るためにギリギリの苦しみをし、
アルバイトをしてでも好きな作品に投資していく、というのが本来の状態なんですよ。

そのくらい、アニメという世界は、きびしいものを持ってなきゃならんのですよ。
Qさんには、釈迦に説法だけどさ。


ところがアニメブームになって、食えることがわかったため、
アニメで生活をしようという連中がどっと出て来たわけ。
生活が先で、アニメは労働と、こうなったんですよ。

アニメみたいな、元来割のあわない世界にとびこんで、
アニメではとても食えないなんていうんならいっそ、初めからとびこまなきゃいいのにね。
好きでとびこむんなら、初めから苦しむ覚悟をして来りゃいいんだ。

いや、これはかつて虫プロの社長だった経営者としての発言じゃありませんよ。
絵描きとして、アニメ作家としてのぼく個人の発言なんだ。
もし異論があるんなら誰からでも聞きますよ。

もちろん、こうなった以上、アニメ労働者といわれる人達の生活権は守られるべきなんだ。
そりゃ、もしアニメが必要なら、当然の声だと思うよ。


しかしね、ぼく個人我慢ならんのはね、こういう声があるんだよ。

手塚があのアトムを売る時、べらぼうな安値できめてしまったから、
現在までテレビアニメは製作費が安くて苦労するんだと。

冗談じゃないよ。そんな世間知らずなことを言う奴らはバカだよ。
あの時、ぼくのテレビアニメが売れたからこそ、
今のテレビアニメの隆盛を見たんで君達もそれで生活してるんじゃないかとね。

そして、あの時点での製作費はあれが常識なんで、あの倍もふっかけようもんなら、
まちがってもスポンサーはアトムを買わなかったね。
そうしたら、テレビアニメ時代なんて夢物語だったろうね。