週刊現代
実は厳密に決まっている
いまや日本文化を代表するコンテンツとなったアニメ。'15年のアニメ産業の市場規模は1兆8253億円と、超巨額のマーケットに成長している。
アニメを作るうえで不可欠なのが声優だ。かつては「売れない俳優がやるもの」といわれていた声優だが、ここのところその人数は急増している。現在、Webサイト「声優データベース」に登録されているのは約4000人。養成所などに所属している「声優の卵」は、実に30万人いるといわれている。
決して簡単にやっていける世界ではないイメージが強いが、彼らの給料はどのようにして決まっていくのか。
実はプロの声優は、ランク付けがされ、それに基づいて給料が支払われるようになっている。これを定めているのは、「日本俳優連合」という団体。このほか「日本マネージメント協会」「日本音声制作者連盟」を加えた三者が、声優の待遇に関しての取り決めを設定している。
アニメにおける最低のギャランティは、1本で1万5000円。そこから1000円刻みで上がっていく。ランクに応じたギャランティに対し、放送時間によって掛け値が変化する。さらに放送される時間帯や、地上波やケーブルテレビかどうかといった区分でも増減するなど、様々な基準から金額が決まるのだ。
このランク付けの縛りはなかなかシビアで、たとえばアニメの主人公を演じたからといって、「主人公手当」のようなものは存在しない。そして、1本のアニメでいくらしゃべっても、一言しかセリフがなくてもギャラは増減しないのだ。
キャリアの浅い声優は最下層の「ジュニア」にランクされるが、彼らの台所事情はかなり厳しい。放送時間が30分だろうと90分だろうと、ジュニアのギャラは一律1万5000円の最低額なのだ。彼らはあくまで「お試し期間」で、少なくとも3年間、その状況で仕事をしなければならない。
夢のある仕事ではあるが、声で食っていくためには、相当な覚悟が必要ということだ。(嶋)

『週刊現代』2017年7月15日号より

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52188