この魂に遺された物。曖昧で、揺ぎ無く、何よりも近くて、幾ら手を伸ばしても決して届かない、
あの人の、唯一つの想い。
降りしきる雨の冷たさ。抱き締めた身体の温かさ。寄り添った笑顔の優しさ。頬に零れ落ちた、痛みにも似た熱さ。
そして憶えている。温もりは離れ、程無く潰えて。染み渡る儚さが、俺に永遠の離別を告げた。
この下に、俺の母さんが眠っている。子供の頃、よく此処で泣いた。誰にも見られないよう、秘め事にして、此処でだけ、俺は涙を流せた。
だが、何時からか、涙に取って代わった。疑念に似て程遠い、心を黒く震わせる情念。俺以外に、此処に来るべき“奴”がいる。
あの時、あんたは何をしていた?そして今、あんたは何をしている?
答えろよ、クソ親父が。
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イーヴル「ギャアァァーーーッ!!!!」
レイク  「おらおらァ!死ねやバケモンが!」
イーヴル「ゲ…!ゲ…!」
レイク  「しけた声出してんじゃねー!もっと叫べェ!!」
イーヴル「ギャ…!ギギ…!」
イーヴル「ギャァァァァァーーーッ!!」
レイク  「そうだ…!その声だァ…!」
レイク  「堪んねェ…!ゾクゾクするぜ…!」
レイク  「ヒャーッハハハハハッ!!」

そう、イーヴルスイーパーをやる理由。それが半分は趣味で在る事の理由。
イーヴルを殺す事。それは一つの稼業、一つの正義として認められ、
大手を振って堂々と、何にも憚らずに為せる業。
故に俺はイーヴルを殺す。その血肉と悲鳴を刹那の潤いに。全てを棄てて、赤黒い風景に身を投げて。
生きれば生きる程、ムカつくだけ。世界がまた一つ、色褪せるだけだ。
死んじまえ。何もかも死んじまえ。
だがな、イーヴルさんよ。若し出来る事なら、俺はあんた達に一つ聞きたい事が有る。
生まれて来て、幸せだったか?