芦田愛菜「エゴサーチをしよう」鈴木福「ご武運を」
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〜スマホでのやりとり〜
『芦田愛菜:今度さ、エゴサーチやろうよ!』
『鈴木福:おーご武運を祈ってるよ』
『芦田愛菜:ご武運じゃなくてー 福くんもするんだよ?』
『芦田愛菜:芦田愛菜、鈴木福って検索してずらずら出てきた結果を一緒に分析するの』 『芦田愛菜:たぶん昔の動画とかたくさん出てくるのかなー』
『鈴木福:そりゃ拷問だ』
『芦田愛菜:大丈夫だって、自分で書いた感想文とかを推敲するのと同じ感覚だよ、たぶん』
『芦田愛菜:じゃ、いつものところに集合ね!』
『鈴木福:なんか持ってく? パソコンは?』
『芦田愛菜:私タブレット持ってくね wimaxも完備でござるよ』 〜二人でよく集まる穴場〜
芦田「やあやあ」
鈴木「うす」
芦田「んしょっと」(ベンチで隣に福が座るスペースを空ける)
鈴木「とりあえずGoogleからいこうか」
芦田(ポチッ タブレット画面ON)「すずきふくっと」画面タンタン
鈴木「こらこら、何をしとるのかね君ぃ」 芦田「エゴサーチ・オブ・フクスズキですよぉ?」
芦田「『子役仲間との3ショット』だって。美羽ちゃんと心くんかー」
芦田(ほ……た……こ……ほ……た……こ……)
芦田(あ、あった)
芦田「『モテるために身長伸ばすサプリ愛用』……花音ちゃんもぶっこんできたよね」
芦田「『ほんだぼうけつ ”おめでと” 15歳祝う』乗っかってくるねーみゆちゃん」 鈴木「俺のターン!」シュバッタブレット強奪
鈴木「あしだまな」タンタン
鈴木「『6歳の自分と共演』…… あれってホンモノの過去の自分だったの?」
芦田「そうそう、あの頃もaikoさんのアルバムにコメントする撮影があってさー、8年越しの自分と共演っていうオファーが来たんだよぅ」
鈴木「てっきりそっくりさんの子役を引っ張ってきて外見寄せまくったものかと」 芦田「コメントで”この子誰ー!?”っていうのをちょっぴり期待してたんだけど、あの動画コメントできない設定だった」
芦田「他人のコメント分かんないと不安になるってのはデジタル世代のサガかなー」
鈴木「さてと」
『ギュギュ』タンッ
芦田「あっ! キミィ、そりゃいかんでしょ〜」
鈴木「ギュッギュッっとな」タンッ
芦田「アッハッ! ぶっさー!」 芦田「そして戦場はyoutubeに移る――」
➤YouTube jp 『芦田愛菜』タン
@2019 06 01 サンドウィッチマン
Aザ・ベストハウス123 芦田愛菜 鈴木福 20110504
鈴木 (スッ 指でスクロール)
BSMAPxSMAP ビストロSMAP 芦田愛菜 20101206
鈴木「2010年って年長だよね つくづく異常だよ君」
芦田「えーわたしもどういう原理に基づいて行動してたのか覚えてない」 C芦田愛菜ちゃんの35億 ブルゾン愛菜withB
Dニュース 即位改元 芦田愛菜
鈴木「ネットニュースで絶賛だったな。で、このコメントは自分で考えたの? 台本?」
芦田「んー?」(スッ 画面スワイプ)
EBABA嵐 芦田愛菜成長の軌跡 こだつde嵐20180101 Fプレバト!!才能査定ランキングに芦田愛菜ちゃん出演!
G芦田愛菜が中学最後の夏に告白「好きです、ずっと前から」
芦田「ム゛ウ〜フッwフッwフッw」
鈴木「好きです」キリッ
芦田「えどうしたの大丈夫?」
鈴木「ずっと……ずっと前から」眼力クワッ
芦田「ハハッ、似てなーい、残念でしたー」
H芦田愛菜とジュリアーノと鈴木福 FNS27時間テレビ
芦田「ム゛ハッ!」
鈴木(トトトン ページ最上部に上げる) 鈴木(→YouTube jp『鈴木福』タン)
@鈴木福Instagramはじめました!!
Aザ・ベストハウス123 芦田愛菜 鈴木福 20110504
鈴木「ベストハウスしつこいな」
芦田(ビクッ)
芦田「(さっきはスルーしたのに――)」
鈴木(スッ 下スワイプ)
(サムネをタップしてスワイプしたため、サムネの動画プレビューが表示された)
鈴木「このサムネのgifってゆーの?がまた」
芦田「(サムネがまた……なに?)」
「(『女にモテた武勇伝その1 ひっつかれる』みたいになってんのかな……今でも……?)」
「(このgif見て思い出したの? それともずっと――)」 いい歳したオッサンが必死に考えてんだろーな(笑)
続けてくれたまえ B芦田愛菜と鈴木福 仲良し&萌え&意味深シーン集
鈴木「まとめる人間も出没しはじめたか」
芦田「あの頃の二人はもういないのだよ」シミジミ
鈴木「(意味深ってなんのことを言ってるんだ?)」
芦田「(ていうかこの人はyoutubeに投稿するときに関連動画とかの表示で既に目撃してるんじゃ……?)」 C2018/7/14 メレンゲの気持ち 鈴木福
D鈴木福くん人生初の1人旅
E鈴木福 マツコ監禁<100人の愚痴を聞く>
鈴木「あーマツコさんのアレか」
鈴木「いちいち思春期だの反抗期だの言われたらねえ?」
芦田「ねえ?」 鈴木「自分ではそうじゃないと思ってても、もしかしたらそうなんじゃないかって不安になっちゃうじゃん」
鈴木「一番困るのはさ、そういうゲスなフリに対して否定したらしたでさ」
芦田「うん(あ、これマッチポンプのパターンね)」
鈴木「その態度自体を反抗期だーとか言われたら、もうどうしようもないってゆー」
鈴木「そういうのなんとかっていったよなー、何だっけ?」
芦田「あ、マッチポンプ!」
芦田(”男の子の方がネガティブないじられ方されちゃうよね”)
(って言ったら上から目線になっちゃうよね……ボツ) 愛菜ちゃんwwwwwww
どう言う結末なのか?
気になるwwwwwwww F大きなお世話TV 鈴木福 小林星蘭
G早泣きで大ブレイク! はるかぜちゃんが当時のギャラや周囲の反応を明かす……
H【THE出走】第3レース/勝手に『子役気遣い』グランプリ(小林星蘭・谷花音・田中奏生・鈴木福)
芦田「(このへんはつまんないな)」
芦田「(でも一応何か言っておかないと、露骨な感じになっちゃうかも……)」
芦田「はるかぜちゃんもだいぶ稼いでたのかな」
鈴木「春名家ではギャラの配分はどうしてるんかね」
芦田「あの人なら本気で訴訟起こして比率を決めようとするかも」
鈴木「本気で裁判やったら、実際どういう判決になるんだろ」 芦田「財産紛争になるほど稼いでる子役ってあんまいないし、わたしらでチャレンジしてみる?」
芦田「子どものタレントの取り分は何割っていう前例をつくる」
鈴木「俺たちが先導をきるわけだ、未来の搾取されし子どもたちのために」
芦田「未来の搾取されしぃ? 変なのっ」 芦田「そういう脚本でドラマのオファーこないかなあ」
芦田「あるいは一発ネタでなんかの特番に出るとか」
鈴木「コントみたいな感じ?」
芦田「そうそう。一応年末のガキ使あたりからオファーこないかな〜なんて野望を育成中」
鈴木「いやー笑ってはいけない24時はキツいかなあ」
芦田「いけるいける! 懐かしのあの人枠で」
鈴木「もう自分で書いちゃえば? なんか小説書きたいとか言ってたよね」
芦田「はあ〜、でも自作自演っていう触れ込みはちょっと危険だよね、このご時世」 芦田「何がイタくて何がセーフなのか、まだよくわかんないや」
鈴木「とりあえずギュッギュッが黒歴史なのは確定ね?」
芦田「あ! またそーゆーこと言うんだ! じゃああたしも福くんの黒歴史言っちゃお!」
鈴木「はて、なんだろう」
芦田「バスツアー」
鈴木「うーん、弱いなあ。あの程度を乗り越えてこそのプロでしょ」 鈴木「人間とはそうやって成長していくんだね」
芦田「んー?」
鈴木「たくさんの恥ずかしい経験を積むことで、恥ずかしい行動のパターンを概念化して把握すると。そうすれば、そっから先は予防できる」
芦田「じゃあわたしたちは同世代の先陣をきってるわけね」
鈴木「え、そうだっけ」
芦田「中二が習得する経験を小二までで済ませたようなもんだし」
芦田「でもよく考えたらあたしのほうが福くんより成長してるよ! あたしのほうが密度濃いスケジュールでいろいろやってきたもん」
鈴木「ん、まあな……」 芦田「そういえば楽くん、最近誕生日だったねー」
鈴木「ああ」
芦田「私たち、大体1週間間隔だね。誕生日」
鈴木「ふっ、分かりきったことを」
芦田「小学校のときはさ、クラスの中に誕生日が同じ子たちがいたら『えーすごーいぐうぜーん』ってみんなビックリしてたけど」
芦田「誕生日が同じ二人ペアがいる確率って、けっこう高いんだよね」
鈴木「ああ、俺んとこでは中1のときもその話があったよ。数学の授業で」
芦田「自分と同じ人がいる確率は365日分のクラスの人数だから、よくて1割?」 鈴木「集団の中で誰でもいいからペアがいる確率ってどういう計算になんの?」
鈴木は、タブレットの左下で電卓アプリを検索して起動させた。
CE C del ÷
7 8 9 ×
4 5 6 −
1 2 3 +
± 0 . =
鈴木(2人組が誕生日が同じ確率は――)
1 ÷ 3 6 5
芦田は、鈴木がテンキーをタップするのを見ていた。
= 0.0027397260273973 芦田「39かける?」
芦田は3を押そうとした。左手をマウスを包むように丸め、人差し指だけを伸ばして画面に触れた。
同じタイミングで、鈴木は4を押しにいった。右手を開いたまま、中指を画面に近づけた。
一瞬だけ先に画面の上にあった芦田の左手の上に、鈴木の右手薬指と小指が乗っかった。
芦田「ひとクラス40人だとして」
タブレットは、二人が入力した数字を両方とも認識して、「34」を表示した。
芦田は9を押すのをあきらめた。3を押した人差し指を、タブレットの表面に、爪の境目が白くなるくらいの力で押し付けた。押し付けたまま、スーッと指を引き下げて画面上から退場させた。ベタベタ触った指紋の無秩序な幾何学模様を拭いて、つやつやの1本線が現れた。 鈴木「ああ、40人クラスなら自分を除いて39人か」
鈴木は、偶然の産物である34という数字が表示されたまま、計算を進めた。
0.0027397260273973 × 34 × 100 =9.315068493150685‬
鈴木「9.31パーか……」
芦田「クサイ」
鈴木「それで2人組の組み合わせが何通りあるかというと」
34 × 33 ÷ 2 鈴木「34 C 2 だから……」
鈴木はつぶやきながら計算した。
芦田「ん゛ん゛ん゛ん゛」
芦田は鼻の下に空気を溜めて膨らませた。猫のようにのどをうならせて拗ねてみせた。
= 5,225.753424657534‬
鈴木「5千2百パーか。どおりでワンペアはいたわけだ」
鈴木はそう言って、ベンチの背もたれに仰向けにもたれかかった。両腕を突き上げながら空を見上げた。 芦田「34人の一人ひとり全員が誕生日違う確率が」
(”描画”検索 → ペイント起動)
一人目が365/365、二人目が364/365、三人目が363/365
芦田はペイントの白いキャンバスに、フリーハンドで計算式を描いた。
芦田「さんびゃくろくじゅうご分のなんとかっていう数字を34個かけなきゃなんない」
鈴木「それを全部計算すんの?」
芦田「ネットに計算ツールがあればすぐできると思う」(”高度計算”検索)
permutation(365,34)/365^34 = 0.2046831353798457403106
芦田「20パーがクラスメイト全員が誕生日が違う確率だから、この逆の事象が少なくともワンペアはいる確率ね」
鈴木「はは〜」 鈴木「今日はこのへんにしとくか」
芦田「ん」
芦田はタブレットの電源を落とした。
鈴木はベンチから立ち上がって、腰に手をやって伸びをした。
芦田も立ち上がって、お尻をはたいた。
分岐点まではしばらく一緒だ。
車の進行方向に逆らって、道路の右側を歩く。
鈴木は右側に芦田を追いやって、自分は車道側を歩いた。 芦田「それにしても、一夜にして6人も転校するなんてねー」
鈴木「んあ」
鈴木は、隣を歩いている芦田の左手と、自分の右手との距離感を測ることに神経を集中させた。
さっき自分が覆い被さってしまった、芦田の手の甲……すっかり成長が止まった小柄な芦田の手は、やっぱり小さかった。
歩くたびに、お互いの体が揺れるタイミングが、ランダムに組み合わされる。
離れる・離れる、離れる・近づく、近づく・離れる、近づいて近づいて…… 鈴木は、自分の腕の毛が芦田の腕とこすれる感触を覚えた。ゾクッ、と鳥肌がたった。
芦田の腕って、産毛は生えてたっけ?
鈴木「神隠しにでも遭ったんでしょ」
芦田「オドロキですなー」
芦田は、自分が壁際に追い込まれるときに、鈴木が上腕と肩でぐいぐい押してきた感触を反すうしていた。自分が「守るべき女」として扱われたという解釈で頭がいっぱいになっていた。
〜〜〜分岐点〜〜〜
芦田「じゃ、またね」
鈴木「またオフのときに」
最初にスマホで打ち合わせしていたときより、かなりしんみりとした雰囲気になっていた。 芦田は電車に揺られながら、今日1日を振り返っていた。
芦田「(はぁ……今日も私を名前で呼んでくれなかったな、福くん)」
鈴木が自分のことを気軽に名前で呼んでいたのは、いつ頃までだっただろうか。
小1のときは、言うまでもなくマルモで共演して仲良くなって、いつもじゃれついていた。いつもじゃれつきにいっては、鈴木も無邪気に愛菜ちゃんと呼んでくれていた。 小2のときも、マルモの余韻で共演することがあった。この頃までは、お互いを変に意識することなく仲むつまじかった。
小4のときは、マルモスペシャルをやった。周囲の人たちが期待している「恋仲まがいの小学生」の絵面を晒すのが、恥ずかしく思えてしまって、もう本領を発揮できなくなっていた。
VS嵐のときも、別に主役じゃなかったし、お互いを呼び合う場面がなかった。 小5の「ZIP」では、懲りずにマルモリ2014年バージョンを披露したついでに、「10年後の自分」を絵に描いて発表した。
芦田「新薬を開発したい」
鈴木「なにやく?」
芦田「新薬! 新しい薬」
鈴木「おぉ……え!? すげえな……」
そんなやりとりがあった。でも、自分たち2人が真っ向から向き合っている感じではなかった。ZIPのスタジオの人たちとか、テレビの視聴者とかいった、第三者の存在を介さないと会話ができない。その会話自体も、
”新薬”というキーワードも、コミュニケーションをとるための道具として利用しているかのような感覚だった。 鈴木「子どもがほしいです! 20代で」
インタビュアー「早く結婚したい?」
鈴木「まず子どもが欲しいから」
もっともっと、思い切って大胆なことを言ったら、どうなってたんだろう……。
――子ども? じゃあ頑張ろっか!
まさか、そんなこと言えるわけがない。そんなこと口走ったら、その場の空気が凍り付く。それだけじゃなく、カメラの向こうのスタジオも、テレビ画面の向こうのお茶の間も気まずい空気が充満してしまうだろう。 >>33 トリップミス
>>36 下から3行目 「その会話自体も、 」ミス
☆.。.:*・゚ ☆.。.:*・゚ ☆.。.:*・゚ ☆.。.:*・゚ ☆.。.:*・゚ ☆.。.:*・゚
2015年の夏は、スヌーピーの映画の吹き替えの声優をやった。子役界を引っ張ってきた4人が全員集まった、最後の仕事だ。
この頃は、赤い髪の女の子の格好をして、チャーリー・ブラウンと化した鈴木と一緒にいろんな番組に出演した。 久本雅美の「メレンゲの気持ち」にも、スヌーピーのキャラクターの扮装で出演した。この時は主役ゲストだったから、しこたま話をした。でも鈴木は全然私の名前を呼んでくれなかった。
何度か、名前を言うのが自然な流れのはずだった場面があったけれど、言おうとして適当にうやむやにしていた。まるで、女の子の名前を口にする自分が出現するのを、自分で怖がっているような感じだった。 鈴木は、youtubeで自分のチャンネルを見ていた。自分の動画の出来を、改めて確認する。
【鈴木福Instagramはじめました!!】
――鈴木福の動画を見たら、芦田愛菜の動画がサジェスチョンされるかもしれない――
心の片隅に、そんな予感が浮かんでいた。
――自分の動画を開いたときに、関連動画に表示されちゃったのなら仕方がないよな―― 3,152件のコメント
『そもそもYouTubeやってるの今初めて知った ↑9779
85件の返信を表示 ↓』
『田中圭的な俳優になりそう ↑240
4件の返信を表示 ↓』
『いや期待を裏切るイケメンになってんの草 ↑114
3件の返信を表示 ↓』
ブラウザの右側に、関連動画がずらずらと表示されている。大半がインスタグラムの指南動画だ。その中に、芦田愛菜の動画が混じっている。
【芦田愛菜&鈴木福/マルマルモリモリ】
去年たまたま視聴しただけなのに、いまだに粘着して俺の視界に入り込んでくる。 この動画は、なぜかハンディカメラでテレビ画面を直接撮影した動画だった。youtubeには「THE MUSIC DAY 2018」のマルモリの部分の動画が複数アップロードされている。
どれも直撮りのものだ。番組の時間が長すぎるから切り取り編集するのが面倒なのか、権利者削除を喰らって消滅しているのか……。
もう中身は確認するまでもなく分かっている。ムックのポジションに存在意義が分からない恐竜を置いて、自分と芦田がマルモリダンスを歌って踊る。 「子どもたちがマネした振り付けソングといえば、これ!」
司会の女性キャスターがしゃべる。
「幼稚園、小学校でみーんな踊っていました」
映像が、自分と芦田のアップに切り替わる。二人して同じような動きで舞台袖の人たちにお辞儀をした。
芦田が一瞬伏し目がちになった。それから、腰を軸にして、上半身を雑巾みたいにひねって顔を横に向けた。
鈴木に、ステージに立っていた当時の感覚がよみがえってきた。 左側に立っている芦田が、こしょこしょと身じろぎをして視線をこちらに向けた。
鈴木の脳内では、芦田が自分の顔を見ているのではないかという予想が湧き上がった。
鈴木は真っすぐ、前方の観客席を見据えていた。さすがに真横に立っている芦田のことは目視することができない。
芦田が本当に自分のことを見ているかどうかは分からなかった。それでも、芦田に見られていると考えただけで、鈴木は左頬が熱くなるのを感じた。 芦田の視線の向こうには、番組MCがいる。たまたま、偶然、そういう位置関係になっている。
この女は、しょっちゅう司会者の方向に顔を向けている。そしていつも、その方向には自分がいる。
芦田とMCの間には、自分がいる。だから、芦田がMCのほうを見るのは、イコール自分のほうを向いていることになる。
本当に偶然なのだろうか? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています