JR環状線玉造駅そばにあるスリランカ料理店「ラッキーランカ」(大阪市中央区)が、外国人留学生・就業者らを対象に無料提供している炊き出し弁当が好評を得ている。料理を手掛けるのは店主の“ラッキーさん”こと、ラックスマン・フェルナンドさん(58)。異境の地での予期せぬ新型コロナウイルス感染拡大を不安に思う人々のため、一流の料理人が自慢の腕を振るっている。

 ラッキーさんは、1990年に大阪・鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会(花博)」で、出店されたスリランカ料理レストランの料理人として初来日。会期中はカレーなどのメニューが人気を呼び、オーダーは多い日で約8千食、ゴールデンウイーク中は約1万食にも上った。

 閉幕後も各地の店で母国の味を提供。「ラッキーランカ」は、災害や農業、地域文化などの支援に取り組む一般社団法人「まがたま」(田中慶彦代表理事)のビル内に、今年1月にオープンした。

 母国や子どもたちを思いやるラッキーさんと、社会的役割に取り組む田中代表理事(53)との思いが合致し、留学生らの心のよりどころとなっている。

 オープン後、程なくして新型コロナウイルスの感染が拡大。「ステイホーム」が叫ばれた今年のゴールデンウイーク中の6日間には、親子を対象に1日10セット(20食)のカレーを無料提供した。

 今回の炊き出しは、ラッキーさんと田中代表理事が出入国制限で帰国できなかったり、収入が断たれたりとコロナ禍による厳しい現実に直面する人々のために実施。「まがたま」は費用面でサポートしている。

 提供するのは、店の休業日である毎週水曜日の正午〜午後2時で、8月いっぱい続ける。チキンカレーやベジタリアンのための野菜カレーが用意され、ネパールの留学生ススミタ・バストラさん(27)は「とてもおいしい。こうした取り組みはとてもありがたい」と笑顔。ラッキーさんも「皆さんの『楽しみに待っている』という言葉が何よりの励みになる」と、さらに意欲を燃やす。

 田中代表理事は「実際に海外から帰国できなくなった状況を考えたらとても切なくなり、『何かできないか』とラッキーさんに相談したところ快諾を得た。どんどん来てほしい」と期待。

 現在は九州豪雨災害の被災地支援にも尽力しており、「まだまだできることがいっぱいある。さらに専門的に取り組んで太い柱にしたい」と意気込みを語った。


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ラッキーさん(左)

大阪日日新聞 2020年7月28日
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