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 宇都宮市中心部のファッションテナントビル「宇都宮パルコ」が撤退する方向で調整が進められていることが1日、関係者への取材で分かった。集客力が上がらず売り上げが伸び悩んでおり、5月末での閉店を検討しているとみられる。パルコ側も含め関係者らが後継事業者探しに注力しているという。県都の活性化に一役買った大型商業施設が、開業から22年で幕を下ろすことになりそうだ。

 同店は20代の若年層をメインターゲットに1997年3月、同市馬場通り3丁目にオープンした。宇都宮中心市街地の再開発事業の一つで、中心部の活性化の起爆剤として期待が集まった。

 現在は地上10階、地下1階に服飾店や書店、楽器店などがテナントとして入っている。ただ近年は空きスペースが目立ち、運営の行方に関心が集まっていた。

 商業施設の激戦区となった宇都宮市中心部は2000年以降、地場の老舗・上野百貨店や西武百貨店宇都宮店、ロビンソン百貨店宇都宮店などの閉店が相次いだ。

 規制緩和の流れで施行された大規模小売店舗立地法により、大型商業施設の郊外化が加速した。それまで一極集中していた地方都市の商圏は分散し、中心部は厳しい状況に置かれている。

 インターネットの台頭により消費者の買い物の仕方も多様化するなど、取り巻く環境が大きく変わる中、宇都宮パルコは大規模改装や各種イベントを企画しながら誘客を図ってきた。

 しかし抜本策は見いだせておらず、04年2月期に100億円近くあった同店の売り上げは、16年2月期に48億円まで半減した。19年2月期の月次テナント取扱高を見ると、同店は前年を2〜3割程度割り込む厳しい状況が続き、全国のパルコの中でも低迷している。

 同市中心部から大型商業施設が姿を消すことになれば、05年7月に閉店した109宇都宮以来となる。

 運営するパルコ(東京都)は16年に千葉パルコ、17年に大津パルコを閉店している。

https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/129245