電車内で手作りしたラーメンを食べる外国人観光客たち(京都市右京区・嵐電嵐山駅)
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 電車に乗って京都観光しながら、揺れる車内で麺を作り、終着駅でラーメンを楽しむ。ちょっと聞いただけでは「何それ!?」という感じの新しすぎる体験プログラムを、京都でラーメン作りの体験施設を運営する企業がこの秋から始めた。その名も「Ramen Express(ラーメン・エクスプレス)」。10月のとある昼下がり、日本を旅行中の外国人ゲストを乗せて出発すると聞き、記者もカメラ担いで「ラーメン列車」に飛び乗った。

■出発進行!レッツ・メイク・ラーメン!

 嵐電の四条大宮駅(京都市下京区)。集まったのはニュージーランドやアメリカ、イタリアから来た観光客ら11人。ラーメンのイラストが描かれた前掛けを身に着け、頭には日本手ぬぐいをキリリと巻いている。気合十分。ラーメンにかける情熱がびんびん伝わってくる。案内に従い、貸し切り列車の中へと進む。目指すは京都有数の人気観光地の嵐山。車内に並ぶ机の上には、小麦粉が入ったボウルがずらり。発車を告げるメロディーが流れると、ラーメンを愛する11人は拳を高々と突き上げた。「レッツ・メイク・ラーメン!」ラーメン列車がついに出発した。

 ガタンゴトンと電車は行く。揺れる車内で麺作りが始まった。ボウルに入った小麦粉をこねて、麺棒で丁寧に生地をのばしていく。「エクスプレス(急行列車)」とはいうものの、嵐電は各駅停車。貸し切りのため扉こそ開かないが、窓からは車内が丸見えだ。ワイワイガヤガヤ、麺作りに奮闘する11人を、ホームの乗客が興味深げに見つめる。そりゃ気になりますよね、電車でラーメン作ってるんだから。揺れる車内でバランスを保ちつつ、麺を仕上げるのは結構難しそうだが、みんな一生懸命な表情。最後に麺を細く切り分けるため、手回しの機械に生地を入れてハンドルをぐるぐる回せば、オンリーワンの手作り麺が出来上がる。

■次は〜ゆでる〜食べる〜

 出発から約25分。麺作りを終えたころに電車は終点の嵐電嵐山駅に到着。ホームに停まった車内では、電熱調理器にかけられた鍋で湯が煮立っている。さあ、ゆでますよ!スタッフの指示に従い、3人ずつ仲良く並んで、鍋に麺を放り込む。ジャスト1分で、タイマーが鳴った。鍋からザルを上げ、麺をしっかり湯切りする。ザルを振る手つき、結構さまになってるなぁ。

 ゆで上がった麺をラーメン鉢に入れ、みそかしょうゆか、お好みのスープを注ぐ。盛り付ける具材は、チャーシュー風の鶏肉、フライドオニオン、青ネギ、煮卵。ムスリムの方にも対応できるよう、材料はすべてハラル認証を受けたものを使っている。お好みで香油をかけ、ラーメンのできあがり。シートに座り、じっくり味わっていただきます。お味はいかが?と聞くと、「ベリー・グッド・フレイバー」「プリティー・グッド」と満足気な様子。「3時間前にもラーメンを食べたんだ。ラーメン大好きだから!」という強者もいて、湯気立ちこめる車内は大盛り上がりだった。

■ちょっとお高いような気も…海外から熱視線 

 「Ramen Express(ラーメン・エクスプレス)」は、四条大宮―嵐電嵐山駅間を20万円で貸し切り運行し、25人まで乗車できる。ちょっとお高いような気もするが、先行して一部のインターネット旅行案内サイトで募集を始めたところ、すでに海外から複数の問い合わせがあるという。運営するジャパンフードエンターテイメント(左京区)の宮澤心代表取締役は「体験を楽しむ『コト消費』のニーズを満たすプログラムを目指した。京都を訪れる海外観光客だけでなく、日本人観光客の方々にも楽しんでもらえれば」と話している。

京都新聞 2018年10月25日 18時00分
https://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20181025000151