墓前にバラの花を手向ける参加者ら=2018年9月15日午前11時19分、静岡市葵区沓谷1丁目
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 1923年の関東大震災後の混乱の中で憲兵隊に虐殺された無政府主義者の大杉栄らの命日を翌日に控えた15日、静岡市葵区沓谷1丁目の沓谷霊園で墓前祭があった。約20人が大杉とその内縁の妻で大杉とともに殺された女性解放運動家の伊藤野枝、おいの橘宗一が眠る墓に赤やピンク、黄色のバラを手向けた。

 憲兵隊に連行された大杉らが、甘粕正彦大尉の部隊に虐殺された「甘粕事件」は、国内で軍国主義が思想や言論の自由を圧迫してゆく過程で起きた惨劇として知られる。寺の檀家(だんか)らに反対され、同市清水区にある父と同じ墓に入れなかった大杉ら3人を、静岡に住んでいた妹夫婦が沓谷霊園に埋葬し、墓が残る。

 墓前祭は没後80年にあたる2003年を最後にいったん途絶えたが、没後90年の13年に復活させた。以降、毎年この時期に開催している。墓前祭実行委員会の小池善之さんは「大杉らを忘れないために、毎年墓前祭を開き、没後100年の23年を目指したい」と話した。(宮廻潤子)

朝日新聞デジタル 2018年9月16日03時00分
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