聞き取り調査に応じ、障害者への物件仲介の実情を語る不動産店の代表(左)=長岡京市長岡1丁目
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 京都府の乙訓地域の福祉施設などでつくる「乙訓圏域障がい者自立支援協議会」(事務局・長岡京市井ノ内)が実施した同地域の不動産仲介業者への聞き取り調査で、過半数が、単に精神障害や知的障害があるという理由で入居を断る賃貸物件のオーナーや管理会社が存在する、と回答したことが9日までに分かった。同協議会は「入居の実績を積み重ね、偏見を解消していきたい」としている。

 調査は、精神や知的の障害者が地域生活を送る際、住居確保が高いハードルとなっているのか実態を明らかにし、自由な家探しにつなげようと、初めて実施。アパートなどの賃貸物件を扱う乙訓地域の13業者から昨年5〜7月に聞き取り、11月に結果をまとめた。

 自殺などで「事故物件」になるとしてオーナーが事前に障害者への物件紹介を断る▽障害者のトラブルがあって以降、オーナーが障害者の受け入れを一切拒否▽精神障害者の入居可能な物件は全体の1割以下−などの回答があり、同協議会は「オーナーや管理会社に障害への偏見や先入観が残っている現状が分かった」とする。

 一方、仲介業者の間では「障害者だからトラブルが多い」との意識があるのは半数未満にとどまった。「件数的には一般の人のトラブルが多い」「ごくまれなケースがオーナー仲間の口コミで伝わってしまうことがある」などの指摘があり、常時連絡がつく相談先や支援者の見守り体制を望む声が目立った。

 調査を担当した同協議会メンバーで長岡京市内のグループホーム所長を務める安西桂子さん(59)は「仲介業者側の敷居が低かったことは大きな発見で選択肢が広がる。支援者の存在をアピールし、オーナー側との接点を増やして理解を広げていきたい」と話す。

 2018年度、調査結果を紹介する講演会を予定する。結果をまとめた冊子を作成済みで、希望者には無料で渡す。問い合わせは同協議会事務局。

京都新聞 2018年01月10日 11時50分
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