返還された日章旗を持つ西連寺至さん(左)と茨城町遺族連合会の丸山昇一会長=茨城町役場で
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 旧日本兵のものとみられる日章旗が25日、米国に住む持ち主から、遺族代表で茨城町南川又の西連寺至さん(71)に返還された。珍しい姓が、所有者にたどり着く決め手となった。日章旗はその場で、町遺族連合会に寄贈された。

 日章旗は縦70センチ、横100センチで「至誠」の文字の周りに約100人の名が寄せ書きされている。町によると、保管していたのは米ミズーリ州のベティ・ウィルソンさん(90)。第二次大戦の帰還兵の心療内科医をしていた父親が、治療を施した米兵の一人から贈られたという。

 しかし、その米兵が日章旗を入手した経緯などは不明で、旗には出征兵の氏名も書かれていない。このため長く放置されていたが、最近になってベティさんから相談を受けた米国在住の日本人が、寄せ書きに「西連寺」姓が多いことに気付き、町に問い合わせた。

 この姓は国内でも南川又地区に集中している珍しい姓。しかも日章旗の四隅に書かれた名前がいずれも至さんの父親、叔父らと一致したことから、遺族連合会が「西連寺一族の誰かが所有者の可能性が高い」と判断した。

 遺族連合会の丸山昇一会長(77)は「戦後72年を経て古里に返った旗を展示し、戦争の悲惨さを後世に伝えたい」と話した。【根本太一】

毎日新聞 2017年12月27日 地方版
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