引き取ったクマに餌をやる山本清号さん=三重県大紀町の「大内山動物園」
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 三重県大紀町の山あいでサルやクマ、トラなどの叫び声がこだまする。多くが行き場を失ったり、殺処分を逃れ保護されたりした動物たちでその数約720匹。「大内山動物園」は今も動物が増え続け、愛らしい姿で家族連れを迎えてくれる。

 動物園は経営母体が地方自治体の場合が多いが、大内山動物園は全国でも珍しい個人経営。名古屋市で建築会社を営む山本清号さん(67)が園長を務め、副園長の中村みゆきさん(44)や、19人の飼育員とともに年中無休で運営に当たる。

 同園では、山本さんの40年来の友人だった前園長の脇正雄さんが死去。平成19年ごろ、経営難から飼育舎は手入れが行き届かず、園内は悪臭が充満。ガチョウやヒツジはほとんど放し飼いで、行政の指導を受けることもあった。

 脇さんの家族から要請されたほか、大紀町からの「園を立て直してほしい」との声もあり決断を後押しした。「殺処分になる動物を助けたい」一心で経営を引き受けた。私財を投じ、飼育舎を補修、園内道路の整備を進め、21年2月に動物園を仮オープンした。

 動物たちは、動物園が閉園、行き場を失ったり、住宅地に出没し捕獲されたりしたものが7割を占める。11月下旬にも北海道・襟裳岬の漁港で保護されたゼニガタアザラシを迎えた。

産経WEST 2017.12.3 18:00
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