横須賀のご当地グルメとして知られる「よこすか海軍カレー」の認定第1号店、
魚藍亭の「よこすか海軍カレー館」が27日、約15年の営業に幕を下ろす。
テレビや雑誌でもたびたび取り上げられた名物店で、関係者からは惜しむ声が出ている。

神奈川県横須賀市緑が丘にあるカレー館は、多い時には1日500食前後が出るという人気店。
お盆休みにも多くの観光客らが訪れ、「おいしかった」と横浜市青葉区の会社員松尾俊一郎さん(46)。
インターネットで店が海軍カレーの元祖だと知り、家族4人で初めて訪れたという。
「落ち着いた雰囲気のよい店なので閉店はもったいない」

よこすか海軍カレーは、昔懐かしい味わいが特徴。
横須賀市は明治以来の軍港で、カレーは旧日本海軍で乗組員の栄養対策のために採り入れたものだという。

「カレーを地域の活性化に利用できないか」と、市と商工会議所、海上自衛隊の3者が協力して復刻を検討。
市が1999年、「カレーの街」を宣言し、街おこしを始めた。

「魚藍亭」のおかみで料理研究家だった故・大河原晶子さんが
明治41年に発行された「海軍割烹(かっぽう)術参考書」のレシピに基づいて、
旧日本海軍のカレーを忠実に再現した。

魚藍亭は市などでつくる「カレーの街よこすか推進委員会」による認定第1号となり、
本店の活魚料理店でカレーを提供。

その後隣接地にカレー館をオープンさせ、
大河原さんは「よこすか海軍カレー」のPRの先頭に立ってきた。
2000年には「よこすか海軍カレー」が商標登録された。
今では市内四十数店がレシピを守った海軍カレーを提供する。

だが、08年に大河原さんが、今年4月には経営者で夫の千民さんが亡くなった。
二人のおいにあたり、カレー館の調理場に立つ栗田秀樹さん(55)が後を引き継ごうと模索してきたが、
建物が老朽化し、修繕に多額の費用がかかることなどから断念したという。

写真:閉店するカレー館の前に立つ栗田秀樹さん(右)と高田勇司館長
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170825001632_comm.jpg
写真:カレー館でよこすか海軍カレーを味わう人たち
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170825001637_comm.jpg
写真:よこすか海軍カレーの第1号の認定証
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170825001634_comm.jpg

以下ソース:朝日新聞 2017年8月26日10時36分
http://www.asahi.com/articles/ASK8K7KBKK8KULOB00Z.html