高度化、巧妙化するサイバー犯罪に対抗するため静岡県警が力を入れている捜査員の育成で、
全警察官を対象にした独自のサイバー犯罪捜査検定の制度が浸透してきた。
2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、県警はネットを悪用した犯罪に対する捜査能力の底上げに注力。
今夏から民間企業への研修事業を導入し、専門性を備えた「サイバーポリス」を養成する。

サイバー犯罪捜査検定は2011年に始めた。
ネット犯罪の基礎知識を習得させ、学習意欲を引き出すことで、
警察業務の多様な分野で新手の犯罪に備える狙いがある。

これまでに基本的な捜査手順を理解する「初級」は全警察官の7割に当たる約4500人が取得。
今年1〜6月には約400人が検定を受けた。
担当者は「全警察官の初級取得を目指す」と意気込む。
16年からは情報通信の専門家や大学教授を招いて講習会も開いている。

7月20〜21日、三島市の情報通信会社で行われた研修。
派遣された県警サイバー犯罪対策課の若手捜査員が、
IPアドレス(ネット上の住所)から利用者の位置情報を特定したり、秘匿された通信を解析したりする手法を学んだ。

30代の男性捜査員は
「犯罪に悪用される恐れがある公衆無線LANの仕組みに理解が深まった。今後の捜査に生かす」と話した。

県警が人材育成を本格化させる背景には、サイバー犯罪が県民生活を脅かしている現実がある。
会員制交流サイト(SNS)を通じた詐欺や中傷、ネットバンキングによる不正送金、他人になりすました不正アクセス―。
16年に県警が受理したサイバー犯罪の相談件数は2241件と過去10年で最多だった。

同課の成宮康晴課長は
「最先端の知識や技術を持つ民間事業者などと連携を強化し、サイバー犯罪への対処能力を向上させたい」としている。

以下ソース:静岡新聞 2017/8/24 07:50
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/394368.html