2017年7月20日 3時00分
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デビュー直後にYUKIさんが同店を訪れた写真を手にするサウンドパパの吉田専務
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ライブ当日は手作りのボードを店頭に飾りYUKIさんファンを迎えるグリーンゲイブルズの米田さん
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 函館出身の歌手でシンガーソングライターのYUKIさんが22、23の両日に函館アリーナで単独公演を行う。彼女がボーカルを務めていたロックバンド「JUDY AND MARY(JAM)」(2001年解散)時代を含め、
函館で大規模なコンサートを行うのは今回が初めてとあって、チケットは発売と同時に完売状態。YUKIさんが学生時代に足しげく通い、「聖地」として親しまれている市内の楽器店や喫茶店などには、ファンからの問い合わせが相次ぐなど、ポップス界のスターの“凱旋”に函館は沸いている。

将来の夢など相談に 楽器店「サウンドパパ」

 YUKIさんが遺愛女子高時代から連日のように足を運んでいたのが、楽器店で貸しスタジオも経営している「サウンドパパ」(杉並町)。YUKIさんと同年代のGLAYのメンバーも常連で、当時の函館の最新音楽情報の発信地ともいえる場所だった。
 高校時代のYUKIさんはレベッカのNOKKOに憧れ、自身の女性バンドでもレベッカのコピーが中心だったという。同店の吉田正人オーナーは「当時は高価だったワイヤレスマイクをバイト代をためて購入するなど、歌に対する思いは高かった」と振り返る。
 吉田オーナーの妻で同店専務のいづみさんは、プライベートなことから将来の夢などさまざまな相談に乗ったという。「本人には漠然とプロになりたいという思いがあったが、その手段が分からないというのが本音だったよう」と明かす。
 転機となったのは、深作欣二監督の映画「いつかギラギラする日」の函館ロケに、知人を通じて吉田さんがYUKIさんをエキストラとして紹介したこと。ここで出会ったベーシストで後にJAMのリーダーとなる恩田快人さんが、YUKIさんの歌声を聞きスカウトしたことがグループ誕生のきっかけとなった。
 吉田さんは1975年から2000年にかけて、市内の若手バンドを対象にした「はいからコンサート」を全100回にわたって開催。このコンサートでは1989年から91年にかけて、デビュー前のGLAYとYUKIさん所属のアブノーマルが数度にわたり共演した。
「まさか函館出身の同世代の2組が、日本を代表するアーティストに成長するとは想像もしていなかった。あの時の女子高生が函館アリーナを2日間満杯にする時が来るとは」と感慨にふける。

店内にグッズや写真 カフェ「グリーンゲイブルズ」

 旧イギリス領事館の近くの元町地区の高台に構えるカフェ「グリーンゲイブルズ」(末広町)は、オーナーの米田時子さんが1980年にオープン。自らのコレクションであるアンティークの家具や雑貨が並ぶ雰囲気と、手作りのシフォンケーキなどが人気を集め、来客が絶えることが無い。
 YUKIさんは大谷短大時代からの常連。個性的なファッションが目を引き、米田さんとすぐに顔見知りに。しかし当時は音楽活動をしているということは一切話さず、「しばらく姿を見ないなあと思ったら、彼女から手紙が来て、デビューに向けて上京したことをはじめて知った」という。
 JAMとして人気が出ると、「聖地」として大勢のファンが訪れるようになり、専用の書き込みノートは何十冊にもなるという。またファンが持ち寄ったグッズや写真などは店内の一角のYUKIコーナーに展示している。
 YUKIさん自身も、今でも家族連れでふらっと訪れることがあるという。米田さんは「当時からお気に入りのイチゴのシフォンケーキをおいしそうに食べてくれる姿を見ると、いつまでも店を守っていかなければと思う」と話す。
 アリーナ公演が決まってからは多くのファンから問い合わせが殺到。「当日は相席にすることで、少しでも多くの人が利用できるようにしたい。YUKIちゃんを応援してくれるファンが、函館も好きになってもらえればうれしい」と話している。(小川俊之)

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