ソース元、朝日新聞デジタル2017年5月13日17時19分
http://www.asahi.com/articles/ASK5961S8K59UTNB014.html?iref=comtop_8_02

 埼玉県所沢市は4月から、2年続けた「ふるさと納税」の返礼品をやめた。

昨年は同時期に23件231万円あった寄付が、今年はゼロ(12日現在)。

それでも「決断して良かった」と言う藤本正人市長(55)に真意を聞いた。

 ――やめた理由は。

「どこの返礼品をもらおうか」とか、テレビ番組の返礼品特集とか、理念と違う。

自治体がほかとの差別化を意識し、終わりなきレースになっている。しかも参加したら最後、闘い続けなければならない。

とすれば、降りるしかないというのが今回の決断だった。

 ――レースがつらくなった?

 違う。レースを続ける体力はある。所沢市は山岳テントや天体望遠鏡、ファッション性のあるイヤホン、ローストビーフ、遊園地のチケットなど地産の商品やモノはたくさんある。

だが、これらをレースに使うあり方が、本来の理念からかけ離れている。

本来は自分を育ててくれた、世話になった場所に感謝や応援する趣旨だったはず。

それをモノで釣って、よその自治体に納められるはずだった税金を自治体間で奪い合う始末。

納税者もモノを得ることに夢中だ。他の自治体から奪う必要はなく、救われるべき弱小自治体にふるさと納税されれば、それで構わない。