将棋
藤井六段、師弟対決に勝利 王将戦予選

毎日新聞2018年3月8日 18時28分(最終更新 3月8日 21時27分)

(写真)
王将戦1次予選で千日手の指し直しとなり、対局する杉本昌隆七段(右)と藤井聡太六段=大阪市福島区の関西将棋会館で2018年3月8日午後、川平愛撮影 



 中学3年の最年少棋士、藤井聡太六段(15)と師匠の杉本昌隆七段(49)が対局する第68期王将戦(毎日新聞社など主催)1次予選2回戦が8日、大阪市福島区の関西将棋会館であり、
藤井六段が千日手指し直しの末、111手で勝った。公式戦初の師弟対決で注目を集め、大勢の報道陣が詰めかけた。3回戦では井上慶太九段(54)と対戦する。

 杉本七段の先手番で午前10時に始まった対局は59手で同一局面が4回繰り返され、無勝負とする千日手が成立。指し直し局は先後を入れ替え、藤井六段の先手番で午後1時48分に始まった。
振り飛車が得意な杉本七段は、プロになれた原点だという四間飛車戦法を採用。これに対し藤井六段は堅い守りの穴熊に構え、6時20分、熱戦を制した。

 この勝利で藤井六段は14連勝。自身が持つ29連勝に次いで、今年度の連勝数単独2位も達成し、どこまで伸ばすかも注目を集める。

 5歳で将棋を覚えた藤井六段は日本将棋連盟東海研修会(名古屋市)で杉本七段と出会い、小学4年だった2012年9月に杉本門下で関西奨励会入会。
16年10月、14歳2カ月(中学2年)の史上最年少記録でプロ棋士になった。杉本七段によると、小学生時代からこれまでに100局程度練習将棋を指し、勝ったのは約2割という。


杉本七段「対戦うれしかった」

 棋士の間では、師匠に弟子が勝つことを「恩返し」と言うことがある。終局後のインタビューで杉本七段は、自身の師匠である故板谷進九段のことを思い出しながら、
「師匠は私がプロになる前の19歳のときに亡くなり、公式戦での対局はかなわなかった。形を変えて、師匠という立場だが藤井六段と対戦できたのはうれしかった」と、目を潤ませていた。
師匠の言葉に藤井六段は、「奨励会時代からたくさん教えていただき、公式戦で対局することができたのは本当にうれしい。さらに活躍していかねばという思いです」
と込み上げるものを抑えるような表情で語った。その後、2人は余韻を楽しむように、笑顔で1時間以上も対局を振り返っていた。【新土居仁昌】

https://mainichi.jp/articles/20180309/k00/00m/040/032000c