山梨県立中央病院(甲府市富士見)は5日、緊急会見を開き、薬剤部が調剤用に保有する睡眠導入剤(向精神薬)
のうち約3万7千錠が紛失したと発表した。

 先月30日から今月2日の朝にかけて約500錠の紛失が明らかになり、電子カルテで過去分を調べたところ、
昨年8月以降の大量紛失が判明した。同院は5日、甲府署に被害届を出した。

 小俣政男理事長は会見で「誠に遺憾。職員と信頼回復に取り組む」と謝罪した。

 同院では先月、交通事故で搬送された60代男性の救急患者に異型輸血を行い、処置後に男性が死亡している。
神宮司禎巳院長は相次ぐ不祥事に、「気を引き締めたい」と述べた。

 同院によると、紛失したのは向精神薬「ゾルピデム」。睡眠効果は最も低い第三種向精神薬だが、「大量服用で
昏睡(こんすい)状態になることもある」(神宮司院長)という。

 同薬剤は薬剤部で一括管理し、調剤量に応じて調剤室の棚へ補充していた。法令で帳簿管理の義務がないとして、
購入量は確認していたものの、保管量と調剤量の把握はしていなかったという。

 帳簿管理は先月、金曜日夜に約500錠を調剤棚に補充。2日に出勤してきた薬剤部の薬剤師が、未使用の薬剤が
見当たらないことから紛失が発覚した。

 同院は過去分の調査で、毎月の薬剤消費量にあたる購入額が8月以降、それまでの2倍、今年3月以降は3倍に
急増していることが分かった。

 睡眠導入剤は薬剤部の棚に保管。休日や夜間など薬剤師が不在の時には、部屋を施錠している。県は立ち入り検査
する方針で、薬の管理に問題がなかったか調べる。

 同院は再発防止策として防犯対策の徹底のほか、5日から毎日、ゾルピデムの補充量と調剤量を帳簿管理し、
第三種の他37種も毎月、帳簿管理する。

 盗難の可能性もあるとみられるが、神宮司院長は「盗難だとしても使途が分からない」としている。

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相次ぐ不祥事を受け、会見で謝罪する山梨中央病院の小俣政男理事長(中央)ら=5日、甲府市富士見