【首都圏】
刻むビート、高鳴るハート… 幅広い世代にドラム講座が大人気

2017年6月28日
講師の鈴來さん(中央)のレッスンで楽しそうにスティックを振る受講生ら=東京都中央区の日本橋社会教育会館で
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 8ビートを叩(たた)いてみたい−。近年、社会人から高齢者まで幅広い年代でドラム人気が高まっている。「ずっとやってみたかった」と言う人や脳トレや認知症予防にと動機はさまざま。東京都中央区の区民カレッジで初めて開催された初心者向けのドラム講座では、受講生たちが夢中になってスティックを振っていた。(佐藤あい子)
 受講生は三十〜七十代の男女十五人でほとんどが未経験者。音楽室には五台の電子ドラムが輪の形になって配置され、交代して演奏する。スティックの持ち方や振り方といった基礎的な説明のあとは、リズムの核となるスネアドラムを一人ずつ叩いていくリズムリレー。
そこに講師の鈴來(すずき)正樹さん(38)のドラムが加わり、心地よいグルーブ感が音楽室を包み込む。受講者たちは一体になり、音楽室は熱気に包まれた。保育士の樺山喜代子さん(65)は「中学生の頃に戻ったみたいで楽しい」と目を輝かせる。
 講座は全六回(五〜七月)。定員十五人に対し四倍もの応募があった。中央区主催とあって「音楽教室を探すのはハードルが高い」という人にも好評だ。IT関係の会社員笠間弘人さん(50)は「普段仕事ばかりの日常だが趣味ができてうれしい」と話す。経験者としてデモ演奏を披露した森田千会(ちえ)さん(78)は「私もやればできるというのを知ることができた。ドラムなしの生活は考えられない」とも。
 プロドラマーとして世界で活躍するほか、全国の小学校で出前授業を展開している講師の鈴來さんは「ビートを意識することでBGMでしかなかった音楽の聴き方が変わる。ドラムの楽しさを知ってもらい、日常の潤いや人生の豊かさづくりに貢献したい」と話す。
 ドラムは両手両足の動きが多様なことから、リハビリやレクリエーションとして医療や介護の現場でも注目されている。アンチエイジング(老化防止)に関する著書で知られ、自身もドラムに親しんでいる乳腺外科医の南雲吉則さん(61)は
「ドラムは筋力を鍛え、体中の血液の循環を促し、さらに脳を刺激する最高のツール」と絶賛。「コミュニケーションを取りながら行うレッスンは心にも体にも良いエクササイズになる」と話している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201706/CK2017062802000210.html